Toshl、アフリカ旅で感動 壊れたピアノとマイクで即席公演に「盾となる鎧がハラリと脱げた」

アーティストの龍玄とし(Toshl)がABEMAの番組『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』(#1、#2はABEMAで無料配信中、#3は19日午後9時放送)にサプライズゲストとして参加した。同番組は「2ちゃんねる」の創業者ひろゆき(西村博之)氏がアフリカに放置され、手渡された10万円をもとに陸路のみでゴールを目指す姿を追ったもの。これまでバラエティー番組にも参加しているToshlだが、今回のアフリカ旅は特別だったと語る。

ABEMA『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』のサプライズ出演を振り返ったToshl【写真:荒川祐史】
ABEMA『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』のサプライズ出演を振り返ったToshl【写真:荒川祐史】

ABEMA『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』にサプライズ出演、Toshlインタビュー

 アーティストの龍玄とし(Toshl)がABEMAの番組『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』(#1、#2はABEMAで無料配信中、#3は19日午後9時放送)にサプライズゲストとして参加した。同番組は「2ちゃんねる」の創業者ひろゆき(西村博之)氏がアフリカに放置され、手渡された10万円をもとに陸路のみでゴールを目指す姿を追ったもの。これまでバラエティー番組にも参加しているToshlだが、今回のアフリカ旅は特別だったと語る。(取材・文=平辻哲也)

 最近では、Amazon Prime Videoオリジナル番組『風雲たけし城』にたけし城への攻撃軍の一員として出演したToshlだが、「2ちゃんねる」のひろゆき氏出演のバラエティー出演もビッグサプライズと言えるだろう。

「『風雲たけし城』は、子供の頃から(ビート)たけしさんの大ファンなので出たかったんです。いろんなバラエティー番組のお誘いを受けるんですが、今回のように何か新しいことが起きそうな予感がするもの、自分にとって殻をやぶるチャレンジングになりそうなものには積極的に取り組みたいと思っています。ひろゆきさんとはあまりお話できなかったのですが、短い間でもお話は印象的でしたし、放送内容は興味深いものになっていると思います」

 Toshlが合流するのは、俳優の東出昌大とともに旅するひろゆき氏の旅の終盤だ。

「アフリカは初めてでしたが、人生がひっくり返るような物凄い体験ができました。ちょっとしたトラブルや段取りが狂うこともあったけど、そのハプニングが逆によかったんです」と振り返る。

 ひろゆき氏の旅を見送ったToshlは、自身の目的を果たすことになる。それは、アフリカの子供たちに自分の歌を聴いてもらうというものだ。

「僕の歌をアフリカで歌ったらどうなるかという挑戦をしてみたかったんです。歌える場所、ピアノがある場所はないかとリサーチすると、タンザニアの中心地ダルエスサラームからだいぶ離れた村に、音楽教室があるらしいという情報を得たんです。村に近づくにつれ道の状態は非常に悪く、現地タクシーでの移動でしたが、結構大変でした」

 その音楽教室があったのは、村の豪邸という意外な場所だった。部屋には白いグランドピアノが鎮座していたが、そのピアノの中身がなんと空っぽ。

「でも、本来鍵盤あるところに小さいキーボードがちょこんと置いてあったので、それを使って即興コンサートを開催しました。音楽教室と言われる大きな部屋には、立錐の余地もないくらい、地域の子供たちや大人たちで溢れ、多分100人くらい? 熱気がすごかったです。マイクも一応用意してくれたんですが、線も繋がっておらず、これも使えなかったんです。最初に歌ったのは英語歌詞のオリジナル曲『CRYSTAL MEMORIES』です」

アフリカでの即席ライブは「本当に感動的でした」【写真:荒川祐史】
アフリカでの即席ライブは「本当に感動的でした」【写真:荒川祐史】

タンザニアで感動体験「みんなが大合唱してくれたんです」

 その澄み切った歌声は、豪邸の中に響き渡り、集まった地域の子どもたちや大人たちの心を捉えた。

「キーボードの音量もままならず、ほぼアカペラ状態でしたが、みんなが僕の歌に熱心に聴き入ってくれて、歌詞にも反応してくれ、掛け声が上がったり、歌い終わった時の拍手や声援は鳴り止まなかった。非常に感動的でした」

 2曲目は日本語詞のオリジナル曲『マスカレイド』を歌った。仮面をかぶって、素顔を忘れていく、という孤独な気持ちをせつせつと歌い上げるスローバラードだ。

「途中で感情が昂って鍵盤を叩くように演奏をしてしまうと、もはや音が出なくなってしまいました。そこで、キーボードを弾くのをやめ、僕は両手を大きく振りながらマスカレイドという言葉をリフレインするとみんなが大合唱してくれたんです。音楽は言語や国境を超えると言われますが、今回の経験で、その言葉の真実を知りました。遠い異国の初めて出会った方々と歌を通じて一つになるような瞬間を体験しました。本当に感動的でした」と声を震わせながら話す。

 日本国外でも数々のステージをこなしてきたToshlだが、このライブは特別な経験になった。子供たちの真剣な眼差しと一生懸命聴く姿勢、そして「相互に繋がり感じ合った感覚」に胸を打たれたのだ。

「小学校の4、5年生ぐらいの頃、歌うことが好きで歌い始めた感覚が鮮明に蘇ってきたんです。長年、歌を歌ってきて、時にはその歌というものに苦しめられ絶望を感じたこともありました。でもそのようなものが全部パーンと弾け飛んでいった。それで、歌い続けてきてよかったという思いが込み上げてきたんです。僕は海外でもコンサートもやりましたが、みんな僕がToshlだと思って、聴いてくれる。でも、ここではそんな名前も通用しない。でも、肩書も看板もマイクもキーボードも、派手な演出も格好つけもいらないんだ。その時間を共有してくださった皆さん、赤ちゃん、小さな男の子女の子たち、若者、大人たちのキラキラした瞳を見ていたら、自分が頑なに縋(すが)ろうとしてきた盾となる鎧がハラリと脱げ落ちて、心身がスッと軽くなった気がして、それでいいんだと思えたんです」

 3泊5日の短い旅は40年以上の音楽人生でも特別な瞬間で、新たな門出になった。

「今回アフリカでの体験を通して、歌の原点やその力を再確認することができました。今後の活動に関しても、新しい風が吹いている感じがします。今後は力を抜いて、素直に自分をさらけ出して、心のまま歌いたい。そんな感覚を大切にしたいです」。龍玄としは、これまでの「Toshl」としての仮面(マスカレイド)を取り去り、音楽活動に新たな覚悟で向き合っていく。

 番組は全9回。8月12日の初回放送後、毎週土曜日と日曜日の午後9時に最新回を放送する。

□龍玄とし(Toshl)2010年に音楽活動を再始動。13年に茶道を学び始め、人生を見つめ直すきっかけとなった。14年に自著「洗脳 地獄の 12 年からの生還」を出版し、ベストセラーに。18年には名前を「龍玄とし」に改名、音楽番組のみならず、バラエティー番組など意欲的に新ジャンルへ進出。また、初のカバーアルバム「IM A SINGER」もリリースしヒット作に。19年には羽生結弦さんとのアイスショーでのコラボや、「自身が作詞作曲した楽曲を描く」をテーマに絵画展も各地で開催。さらには数々の企業のCMキャラクターにも抜擢される。22年シリーズ3枚目のアルバム「IM A SINGER VOL.3」リリース。23年9月には石川県金沢市でコンサート、絵画展を開催する。

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