元櫻坂46でキャプテンを務めたタレント、俳優の菅井友香（27）が新境地を開いている。今年2月から関西テレビ系（西日本ネット）の競馬中継番組『競馬BEAT』（日曜午後3時）のMCに就任。競馬ファンから愛される存在へと日々前進している。小学校時代は乗馬、さらに馬場馬術で、輝かしい実績を残してきた芸能界きっての“ウマジョ”にインタビュー。競馬の魅力や、今後の夢について聞いた。（取材・文＝角野敬介）

　菅井の目は輝いていた。昨年11月の全国ツアーファイナルをもって、櫻坂46を卒業。7年間のアイドル活動に終止符を打った。そして、今年2月に新MCに就任した『競馬BEAT』が卒業後の初レギュラー番組となった。番組のオファーを受けた時の心境をこう振り返った。

「私でいいの!?って、すごくうれしかったです。小学5年生の時に乗馬を始めて馬の魅力を知って、それから10年以上馬術を続けていたので。競馬は自分にとって初挑戦のジャンルでしたが、大好きな馬と関われる、そして大好きな関西に毎週行けるお仕事というのは素直にうれしかったですね」

　菅井は小学5年で乗馬をはじめ、2011年には全日本ジュニア馬場馬術大会のチルドレンライダー選手権で2位に入った実績も持つ。大学でも馬術部に所属。日本馬術連盟のスペシャルアンバサダーを2017年から5年間務めるなど、馬は常に身近な存在だった。

　それでも競馬は未知の世界。『競馬BEAT』ではシャンプーハットの恋さん、岡安譲アナウンサーらとともに、主に京都、阪神競馬場などからレースを伝える役割で、前任は芸能界屈指の競馬通の麒麟・川島明が約8年間に渡りMCを務めた。その後任という大役に、重圧も感じている。

「責任のある立場ですし、競馬は一から勉強しているので、不安もあります。自分の前任が川島さんだったこともあり、すごく頑張らないとな、という思いもありました」

　競馬新聞の読み方から勉強をはじめ、競馬雑誌に目を通し、競馬関連のYouTubeも見るようになった。また共演者から教えてもらうことも多いそうだ。

「今は、恋さんや岡安さんをはじめ周りのスタッフさんなど、競馬のことを教えてくれる方々が増えたので、みんなで予想する楽しさも味わいながら、日々勉強させてもらっています」

　番組に携わって約半年。今、菅井はどんどん競馬に魅了されている。

「それぞれの馬に物語があることがわかってきました。新たな馬との出会いも、すごく楽しいです。最近は、引退してしまった馬のデビューから引退レースまでを見るのが好きな時間なんです。さらにその馬に携わった方々のインタビューを見ると、1頭の馬にすごく情熱と愛情をかけていることがわかりますし、人と馬とのつながりも知っていくと、より応援したくなるって思いましたね」

　そんな菅井が強く心引かれた馬がいる。昭和～平成の競馬ファンなら誰もが知る伝説的な名馬の名前を挙げ、熱い口調で話し始めた。

「オグリキャップです。大活躍していた中で、スランプになってしまって、でも最後の引退レースとなった有馬記念でまさかの1着になって、スタンド中がオグリコールに包まれたシーンを映像で見た時に、すごく感動しました。最後まで諦めちゃいけないんだな、諦めずに頑張り続けたら、最後にこんなすてきな報われる瞬間があるんだっていうのを、馬から教えてもらえたような気持ちになりました。オグリキャップのレースは本当に感動しました」

　いまだ語り継がれるオグリキャップの引退レース、有馬記念は1990年の出来事。菅井が生まれる5年も前だが、当時の熱狂は今振り返っても胸に強く刻まれたようだ。

　引退レースの手綱を執った武豊騎手のことを調べる中で、オグリキャップの存在を知ったそうだが、「こうやって競馬の歴史を感じることができるんだなって。競馬を通して世代を超えてコミュニケーションをとれるというか、人とつながれるんだなっていうのを最近すごく感じています。それも競馬の魅力だなと思いました」。

　乗馬、馬術と自身も長く馬に携わってきたことで、「馬の気持ちが分かるときもあります」と笑う。「中継で一瞬しか見られないと、なかなか難しかったりするんですけど」と言いつつも、「馬の耳の向きとか、雰囲気とかで、今どういう感じかなって。そわそわしているかなとか、集中しているのかなっていうのは、ざっくりはわかりますね」と胸を張る。

　そんな菅井の競馬番組MCとしての夢の一つがフランスのパリ・ロンシャン競馬場で行われる、世界最高のレース・凱旋（がいせん）門賞を生観戦することだ。

「凱旋門賞は見に行ってみたいです。過去に一度、写真集の撮影でフランスに行った事がありますが、競馬場には行けませんでした。馬の博物館には行きましたが、そこで感じたのは、日本とはまた違う歴史があって、今もまだ馬と密接な関係がある町だということです。また日本とは違う雰囲気の競馬場も見てみたいなと思いますし、凱旋門賞はまだ日本馬が勝ったことがないので、いつか現地で日本馬が1着になる瞬間を目撃出来たら、もうこの上ないくらい本当にうれしいだろうなって思います」

　競馬好きが高じて、自身で馬主になって愛馬を走らせる芸能人もいる。質問の最後に「夢として自分の馬を持ってみたいと考えたことは？」と聞くと、こう答えてくれた。

「一口馬主とかもありますよね。考えたことはあります。でももうちょっといろいろ勉強してからにしようかなと思っています。そういう目線での競馬の楽しみ方もあると知ったので、将来的にはちょっと興味があります。（名前をつけられるなら？）うーん、変な名前しか思いつかない（笑）。走りそうな名前がいいですよね……。『ガンバリキ』が入った馬名だったらわかりやすいし、愛着が湧きそうだなと思います」

　櫻坂46時代から「100万馬力でがんばりき！」が菅井の決めゼリフ。いつか「ガンバリキ」と命名された馬が、ターフを走る日が来るかもしれない。