廃車予定の車を10万円で購入「失敗しても壊れてもいい」 復活した日産ローレルが手放せない

最初は「大嫌い」な車種だった。それが、今や愛着の1台に。31歳の男性会社員が所有しているのは、ローレル。日産の高級セダンとして知られるが、30代の若者がなぜ、“おじさんが好きな”渋い名車に乗っているのか。しかも、廃車予定から激安で手に入れたという。どういうことなのか。

神山竜司さんの愛車は1991年式のローレルだ【写真:ENCOUNT編集部】
神山竜司さんの愛車は1991年式のローレルだ【写真:ENCOUNT編集部】

「もとが安いので、自分の好き勝手にいろいろやりました」 ハードトップのローレル

 最初は「大嫌い」な車種だった。それが、今や愛着の1台に。31歳の男性会社員が所有しているのは、ローレル。日産の高級セダンとして知られるが、30代の若者がなぜ、“おじさんが好きな”渋い名車に乗っているのか。しかも、廃車予定から激安で手に入れたという。どういうことなのか。(取材・文=吉原知也)

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「小さい頃から本当に車が大好きなんです。でも、ローレルは中学生の頃は、街中で見かけても『絶対にああいう車には乗りたくない』と思っていたんです」。オーナーの神山竜司さんは、ローレルに抱いた最初の印象についてこう明かす。

 1991年式のローレル メダリスト ツインカム24Vターボ。4ドア・ハードトップのボディーは堂々としたたたずまいだ。なんと、21歳の時に手に入れ、10年乗っている。

 ちょっとした紆余曲折が。「いろいろあってめっちゃ話が長いのですが(笑)。まず、父がずっとスカイラインが好きで、ケンメリ、R30、R32(GTS-t)の3台に乗ってきました。僕は18歳で免許を取って、父のR32に乗っていたのですが、自分の車が欲しくなって。そう思っている時に知人にローレルの車種を紹介されました。エンジン音を聞いてみるとR32と同じような音がしたんです。スポーツカータイプから出てくる音で、『なんだこれ』と不思議に思い、興味を持ったことがきっかけです」と振り返る。

 カタログを見るなどして調べていくうちに、本物の木を使ったパネル、質感・触り心地のいい内装にも、引き付けられるように。「ピラー(窓柱)のないハードトップにも憧れていて、だんだん好きになっていったんです。よくよく見たら、かっこいいなって」。

 大阪に置いてあった現在の愛車ローレルだが、所有者が持ち切れず、廃車に回すことになっていた。33万円の売値だったが、買い手が付かず、10万円まで値下がり。「じゃあこの値段なら、別に失敗しても壊れてもいいかなと思って買うことにしたんです。車も見ずに、送ってもらいました。ちなみに、最初に別のローレルC33クラブSを買ってすぐに手放したので、自分にとって2台目のマイカーになりました」という。

 自己流でカスタム。外装を“前期化”させ、「エクセーヌ内装」を施した。「もとが安いので、自分の好き勝手にいろいろやりました。でも運転中に『カンカンカン』と変な音がしてきて、エアコンが壊れて、そのときはユニットを総とっかえで36万円もかかっちゃいました。幸いエンジンは調子よく、今もばっちりです。目立った故障はなく、本当に恵まれています。オートマなので運転も楽ですし」。

 これまで、整備やカスタムにかけた費用は?

「購入費と合わせると、200万円ぐらいですかね。でも、もとが10万円なので、現状の中古市場の値段感を見ていると、こんなもんかなと思います!」と笑顔を見せる。

 写真も趣味で、おしゃれな景色や建物と愛車を撮影した写真をSNSにアップ。「品がある。華美ではないというか、シックというか、この本物感がいいんです。都会の街中で撮影すると、絵になるんですよ」とメロメロだ。

 一方で、父親が乗ってきた、家に元々あった3台の車をコンプリートしたい夢もある。「R30は同じ仕様で別の個体を5年前に買い戻して、R32は父が29年間乗り続けています。いつか、最終的にケンメリに乗りたいです。いま現在も節約生活を送っていて複数台持ちはきついので、ローレルはそのときは……。どうかな」と悩ましげな表情。それでも、「ローレルは『譲って』と声をかけられることもあるのですが、現状気に入っちゃっているんで、まだちょっと乗っていたいです。構えずに乗れるので、降りる気はなくて。それに、自分の中で、だんだんと手放せなくなるポジションにはまっている感じですね」。なんだかんだ言っても、ずっと乗りたい相棒になるだろう。

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