ハリポタ名優に直撃…監督挑戦の真相とは

大ヒット作映画『ハリー・ポッター』シリーズのヴォルデモート役で知られる名優レイフ・ファインズだが、監督の面はあまり知られていないかもしれない。監督第3作『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』(5月10日公開)は実話を基に、“史上最高のバレエダンサー”と言われるソ連のルドルフ・ヌレエフが型破りの技術と性格でのし上がり、パリの空港で亡命するまでをスリリングに描くエンターテイメントだ。

俳優でもあり監督でもあるレイフ・ファインズ
俳優でもあり監督でもあるレイフ・ファインズ

レイフ・ファインズ監督第3作『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』

 大ヒット作映画『ハリー・ポッター』シリーズのヴォルデモート役で知られる名優レイフ・ファインズだが、監督の面はあまり知られていないかもしれない。監督第3作『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』(5月10日公開)は実話を基に、“史上最高のバレエダンサー”と言われるソ連のルドルフ・ヌレエフが型破りの技術と性格でのし上がり、パリの空港で亡命するまでをスリリングに描くエンターテイメントだ。名声をほしいままにする名優が、監督にチャレンジする理由とは何か?

――この実話に心を鷲掴みにされたそうですが、具体的にはどんな部分ですか?

「1人の若者が夢を実現する決意の強さです。冷戦の時代にソ連で育った1人の少年が政治的な理由からではなく、踊りたいという思いで亡命しようとします。イデオロギーによって、いかに個人が抑圧されるのか、アーティストの持つ貪欲さ、そして、友情の物語を描きたいと思いました。それに映画的なポテンシャルもあります。特に、空港内で亡命するシーンは分刻み秒刻み。彼がどんな選択をするのかという部分がすごく映画的だなと思いました」

『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』場面写真 (C)2019 BRITISH BROADCASTING CORPORATION AND MAGNOLIA MAE FILMS
『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』場面写真 (C)2019 BRITISH BROADCASTING CORPORATION AND MAGNOLIA MAE FILMS

――俳優だけでも忙しい中、監督に挑戦する理由は?

「映画の経験を重ねていく中で、映画における監督とはどういうものか、その意味みたいなものが少し見えてきた気がしたのかな。ちょっと言葉では説明しにくいんだけれども……。『ナイロビの蜂』のプロデューサー、サイモン・チャニング・ウィリアムズ(故人)との出会いが大きいです。彼は、ロケ地、作品の方向性など積極的に映画制作に関わらせてくれました。「レイフは僕よりも先に監督ができる人だ。僕がプロデュースする」と言い、僕に自信をくれ、最初の監督作『英雄の証明』(11)を撮ることができたのです。残念ながら、彼は亡くなってしまい、彼との仕事は実現しませんでしたが……。ストーリーに対して強い思い入れがないと監督はできません。“あ、ロマンチック・コメディって、いいかも”くらいの気持ちはできないんです。映画は長い時間がかかってしまうし、最後まで通さなきゃいけないから」

――ヌレエフの生き方に、自身の表現者としての思いを重ねたのではありませんか?

「彼の卓越した芸術性はとても分かるとは言えないけども、彼のパフォーマーになるまでの道のりはすごく響くものがありました。アートの世界でも、スポーツの世界でも逆境に置かれた人間が個人として乗り越えていく姿は、インスピレーションを与えてくれます。ヌレエフの姿を見て、観客の方に感じていただきたいのは、疎外されるようなことがあっても、自分を恥じることなく、受け入れることが大事だということです。これは自己実現をする旅の物語です」

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