英メディアが報じた日本のPCR検査の異常さ 体調不良の在日外国人がたらい回し

新型コロナウイルスの感染拡大により、日本では29日正午現在、1万3852人以上の感染者と389人の死亡者が公表されている。英公共放送「BBC」では「コロナウイルス 日本の検査数の低さが問題提起」と特集。他国と比較時に日本におけるPCR検査件数の少なさに注目し、日本在住の外国人がPCR検査を受けた際に起こった「異常な物語」も紹介している。

各国で検査体制が整っている【写真:Getty Images】
各国で検査体制が整っている【写真:Getty Images】

症状が悪化し、救急車を呼んだが…

 新型コロナウイルスの感染拡大により、日本では29日正午現在、1万3852人以上の感染者と389人の死亡者が公表されている。英公共放送「BBC」では「コロナウイルス 日本の検査数の低さが問題提起」と特集。他国と比較時に日本におけるPCR検査件数の少なさに注目し、日本在住の外国人がPCR検査を受けた際に起こった「異常な物語」も紹介している。

 世界各地で猛威を振るう新型コロナウイルス。各国でロックダウンなど様々な対策を講じている中、日本の検査数の少なさに海外メディアも焦点を当てていた。

 記事では「日本での状況を理解すればするほど、コロナ検査の実施数のあまりの少なさが当惑すべき疑問となっている。ドイツや韓国を見れば、日本の検査数は1桁足りていないようにも見える」と分析している。

 東京23区の人口は930万人。2月から検査数について「わずか1万981人」と指摘し、約4000人が陽性と診断されているデータも示した。

「この数字はどちらも印象的だ。テスト数はあまりに少ない。そのために、検査で陽性と発覚した数があまりに高い」と分析している。症状がかなり顕在化した患者に検査を限定している日本流について触れる一方で、外国人患者が日本でPCR検査を受けるまで大変な苦労を重ねた実例も紹介している。

 症状が顕在化した患者に検査を絞っている日本流について前置きした後、日本在住の米国人女性通訳のジョーデイン・ヘイリーさんが日本語に堪能ではない外国人の友人をサポートした体験に言及。ヘイリーさんの友人は4月10日に発熱や咳が悪化したが、ガイドライン通りに4日待機したという。

「その時には呼吸も辛い状態で、酸素不足からめまいも起こしていました。そこでコロナの電話相談ホットラインに電話しました。彼らは手助けを断りました。体調が悪ければ、救急車を呼ぶべきと伝えられました」とヘイリーさん。友人は15日、病院で胸部X線検査を受けた。新型コロナウイルス感染の可能性はあるものの、入院するほどではないという医師の判断で、自宅に戻ったという。

 そして、16日夜に症状は悪化し、救急車を呼ぶことに。受け入れ先を探すのに2時間要したという。地元の病院ではもう一度X線検査を受けた結果、PCR検査を受けるように指示された友人。検査のための紹介状は渡されず、タクシーで帰宅したという。

 ヘイリーさんは友人のために保健所に電話したが、「2時間たらい回し状態」に。ようやく、検査の予約にこぎつけたという。

 日本在住の外国人が味わうことになった苦労について、記事では「検査を受けようとする人たちの異常な物語」と分析。その上で、「生命の危機を感じている人々に引き起こす心痛は別として、これがなぜ問題なのか? つまるところ、日本は新型コロナウイルスによる死者がとても少ないのだ。依然として400人を下回っている」と指摘している。

 PCR検査数を絞る状況が続いている日本。緊急事態宣言の延長が伝えられる中、独自のコロナ封じ込め策は成功するのか、海外も注目している。

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