初めて買った90年代初頭の1台で受けた“旧車の洗礼”。この女性オーナーは、そこから旧車の楽しさを知った。その車は92年式の軽スポーツクーペ「マツダ・オートザムAZ-1」だ。さらに2007年式の日産R35GT-R（スカイラインGT-R後継車）も所有、二刀流カーライフを送っている。このほど、YouTubeデビューを飾った、のんちゃんRに直撃した。（取材・文＝吉原知也）

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　今年2月に行われた日本最大級のクラシックモーターショー「第14回　Nostalgic 2days（ノスタルジック2デイズ）」で、ひと際注目を集めたのが、のんちゃんRのAZ-1だ。会期中ずっと、彼女と彼女の愛車に向けて多くの来場者がカメラのシャッターを切っていた。「特徴的なガルウイングに、まん丸でクリクリのおめめが気に入っているんです」。オーナー車両展示会のステージ上で、笑顔を見せた。

　のんちゃんRはもともとピンク色のGT-R乗りでSNSなどで活躍。このAZ-1は、旧車に興味を持ったことで、2年前にフルノーマルの状態でゲットした。

　自身にとって初めての旧車。当初は順調な走りを見せるも、約3か月たった頃に思わぬ事態に。友人たちと峠道をドライブしていたら……。

「急にエンジンから白煙が上がったんです。一緒にツーリングしていたメンバーに整備士の方がいて、その場で応急処置をしてもらい、どうにか無事に帰ることができました」

　そこから修理に出すことに。なんと約半年間もかかった。水回りを直し、ミッションはオーバーホール。いきなり旧車の洗礼を浴びることになったが、多くの学びを得ることができた。例えば、旧車はパーツが少なくなっていること。なのでタービンは交換せず、修理してそのまま使っている。それに、「いたわりながら乗らないとダメ、ということを実感しました」。ドライバーと車が一体となって運転することに「旧車の楽しさ」を覚えていったという。

「旧車は乗り方には気を使うところもありますが、現代の車にはない楽しさがいっぱいあります。いろいろなコンピューター制御がなされているGT-Rは、私でもそれなりには速く走れるかもしれません。ただこの子の場合は、やはりクルマをいたわりながらの運転を心がけています。どうしても現代的な車に慣れていますので、いつもと違った気持ちで運転しています。旧車好きの方の気持ちが少し分かった気がします（笑）」と笑顔を見せる。

　AZ-1のサイズ感も「私にぴったりで、自分を映し出しているような感じなんです」と、すっかりお気に入りだ。

　スポーツカー2台持ちのカーライフ。「峠はこの子で、サーキットはGT-Rでいきます」。それに、新しい人の輪が広がっていることを実感しているといい、「GT-Rでは、同じGT-R乗り、スーパーカーのオーナーさんと知り合いになるのですが、この軽スポーツカーに乗ることで新しい人のつながりができました。いろいろな車に乗ることで勉強ができ、それぞれの個性ある車のオーナーさんとお話しさせていただけて、とっても楽しいです」。クルマ趣味の世界の視野も広がった。

　のんちゃんRは「一般社団法人 日本スーパーカー協会」事務局で広報担当の役割を担っている。スーパーカーや自動車文化の発信にも取り組んでいるのだ。それに、自身も女性カーオーナーを集めたコミュニティー「R35club G-spec」を主宰している。

「車が趣味の女の子はまだ少ないと言えますが、自分の体感としては増えている印象です。私自身はもともとカスタムが好きで、お洋服選びやファッションと同じ感覚で楽しんでいます。車に乗れば、いろいろなところに遊びに行くことができます。行動の幅、範囲も広がっていきます。車乗りの女の子たちと『みんなで大黒に行こうよ』みたいに、PAやレストランにご飯を食べに行っています。コミュニティーが広がっていく、そんな大きな魅力があります。これからももっとクルマ好きのみんなで楽しんでいきたいですね」。爽やかな笑顔でアツい思いを教えてくれた。