「AKB48歌唱力シリーズ」仕掛け人が「ファイナリストLIVE」出演メンバーに贈る“感謝の言葉”

数々のドラマとヒロインを生んできた、「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」の第4回大会ファイナリストらによるスペシャルステージ「ファイナリストLIVE」が、8月31日に行われた。生演奏をバックに本気で挑む一夜限りの特別ライブ――。イベントの仕掛け人であるTBSの竹中優介プロデューサーが、AKB48グループを代表する歌い手9人へ感謝の言葉を贈る。

「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦ファイナリストLIVE」は第4回も大盛況だった
「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦ファイナリストLIVE」は第4回も大盛況だった

竹中プロデューサーがファイナリストLIVEメンバーを語る

 数々のドラマとヒロインを生んできた、「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」の第4回大会ファイナリストらによるスペシャルステージ「ファイナリストLIVE」が、8月31日に行われた。生演奏をバックに本気で挑む一夜限りの特別ライブ――。イベントの仕掛け人であるTBSの竹中優介プロデューサーが、AKB48グループを代表する歌い手9人へ感謝の言葉を贈る。(取材・文=小田智史)

■池田裕楽(STU48)
・ファイナリストLIVE出演:2大会連続2回目
・ソロ歌唱:「未完成ガール」(鈴木愛理)/「喝采」(ちあきなおみ)/「気にならない孤独」(本人オリジナル)

 池田さんはこれまで昭和歌謡のイメージが強かったかもしれませんが、「未完成ガール」みたいなポップな曲もしっかり歌えて、より音楽性の幅が広がっています。まだまだ上手くなるのかと、末恐ろしさを感じました。

 唯一、これからの課題を挙げるとすれば、ハモリですかね。耳が良いので、伴奏を聞いて一番正しい音程の位置をきちんと取れるし、何がいいかを瞬時に理解できる。その分、誰かと一緒に歌うと、そっちにメロディーを持っていかれることがあります。同じSTU48の矢野帆夏さんとのデュエットでは、練習のときから苦労して嘆いていて、凄い人なのにこんな一面もあるのかと、ほっこりしました。ただ、本番はしっかり成功させていたので、相当な努力をしてきたんだと思います。

「長い間」(Kiroro)は、矢野さんの希望にあって、後輩の池田さんとどうかなと思って聞きました。池田さんにとっては、(卒業を控える)矢野さんと一緒に歌えるのは最後の場だろうということ、そしてデュエットは「ゆらさら(池田裕楽×清水紗良)」、「ゆうなぁ(村山彩希×岡田奈々)」だろうというみなさんの予想を良い意味で裏切りたかったところがあります(笑)。10代の等身大の女の子感が出ていて、かわいかったです。

■坂本愛玲菜(HKT48)
・ファイナリストLIVE出演:3大会ぶり2回目
・ソロ歌唱:「だから僕は音楽を辞めた」(ヨルシカ)/「初恋」(奥華子)

 坂本さんは(2019年3月開催の)第1回ファイナリストLIVEを楽しんでいました。「もう1回出演したい」と出場した第2回、第3回の歌唱力No.1決定戦では、ファイナリストに一歩届かなかった。例えば、(STU48)池田裕楽さんはプロ級の正確な音の取り方や解釈をしてきます。坂本さんの特徴は中音域の音色の綺麗さですが、高音域でわずかな乱れが出てしまって、“歌唱力ガチ勢”に後れを取っていました。ただ、ファイナリストLIVEはそういったことも気にしなくていいので、自分の武器が前面に出ていましたね。

 特に、「初恋」と「点描の唄」は歌い出しで持っていかれるというか、(AKB48岡田)奈々さんが「天使の歌声」と表現していましたけど、本当に、甘くて、切なくて、かわいい声が出るんです。ファイナリストLIVEで初めて坂本さんを見た人は、きっとびっくりしたはずだし、本人も自分の強みは何か手ごたえはあったと思います。

「ソロでの参加は最後にしようかな」とも言っていましたけど、坂本さんはほかのメンバーにない音色の武器を持っているので、何か覚醒したら、絶対に優勝に絡めるはずです。第1回大会から出場してくれていて、強い思い入れがある分、自分の100%を発揮しきれないまま諦めてほしくない。ソロで「これぞ坂本愛玲菜だ」と見せてほしいとファイナリストLIVEで思いました。

(左から)HKT48坂本愛玲菜、STU48池田裕楽、STU48矢野帆夏
(左から)HKT48坂本愛玲菜、STU48池田裕楽、STU48矢野帆夏

STU48矢野帆夏は「企画を象徴する主役の1人だった」

■矢野帆夏
・ファイナリストLIVE出演:2大会連続3回目
・ソロ歌唱:「月と水鏡」(横山由依)/「逢いたくていま」(MISIA)/「Goodbye Yesterday」(今井美樹)

 矢野さんは、歌との向き合い方の深さが異次元です。第4回の歌唱力No.1決定戦は正直優勝するかと思いましたが(最終結果は3位)、そこからさらに上手くなっていました。この企画に対するストイックさは、「No.1」と言ってもいいはずです。ソロ歌唱ブロックの最後に、矢野さんが歌う「逢いたくていま」を持ってきたのは、その信頼でもあります。本家のMISIAさんよりも半音上げた高いキーで歌いながら、あれだけ高音域が切なく、優しく、強く出るのは本当にすごい。舞台袖で見ているメンバーたちも感嘆していました。

(アンコール2曲目の)「Goodbye Yesterday」に関しては、ゴスペラーズの黒沢薫さんも絶賛していました。ファイナリストLIVEが終わったあと、「(グループ卒業後も)歌を続けてほしいな」と連呼していましたね。

 すごくストイックで、プロフェッショナルなのに、少し抜けているのが矢野さんのかわいいらしい魅力。歌唱力No.1決定戦が終わると、ふと矢野さんの歌をまた聞きたくなるんです。優勝はかないませんでしたが、それに値するくらいすばらしい歌を歌唱力シリーズで残してくれました。もう優勝です。この企画を象徴する、主役の1人だったのは間違いありません。

■村山彩希(AKB48)
・ファイナリストLIVE出演:初
・ソロ歌唱:「たばこ」(コレサワ)/「青空のナミダ」(高橋瞳)

 村山さんには、ずっと注目していました。歌声を聞いたとき、音程やリズム感がいいし、音色もかわいいから、なぜ歌唱力No.1決定戦に出ないんだろうと思っていました(笑)。初出場の第4回大会で審査員特別賞に選ばれ、今回が初めてのファイナリストLIVEでしたが、決勝大会のときが10段階のレベル4だとしたら、レベル8くらいに急成長していました。高音域の強さのほかに、音楽的なストーリー表現が緻密になっていて、ゴスペラーズの黒沢薫さんとびっくりしましたね。

「たばこ」は繊細なコントロールを見せられる曲。村山さんは音程とリズムがすごく正確で、プロの表現者としての勘とストイックさを備えているので、コツを掴むスピードが半端ない。

「はじまりの唄」(Nona Diamonds)の、最後のフェイク(「イエーイ」のパート)は、最初は(SKE48)古畑奈和さんにやってもらおうと思っていたんです。オリジナルでは(HKT48)秋吉優花さんと古畑さんが交代でやっていたのが、秋吉さんのパートも含めて古畑さんがすべてをやるのは負担が大きかったので、黒沢さんが「村山さんにやってもらおう」と提案してくださって。音合わせでやったのを聞いて、人を惹きつける高音の伸びに、2人で「すげー!」ってなりました(笑)。古畑さんとの変化も付いて良かったです。

 今回ファイナリストLIVEに出演して、きっと何か発見があったはずです。「シアターの女神」と言われているように、ダンスができて、アイドルとしての人気があるなかで、歌も武器になったら本当の女神様になる。僕は歌唱力No.1決定戦を通じて歌も強くなって、本物の女神になってほしい。個人的には、次回は優勝に絡むと思っています。

次のページへ (2/3) STU48今村美月の「音楽への愛情にあふれている」
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