大竹しのぶ「女の一生」再演で16歳から56歳まで演じ分け「宝石みたいなせりふがたくさん」

女優の大竹しのぶ、俳優の段田安則が12日、都内で行われた舞台「女の一生」の取材会に出席し、名戯曲に対する思い入れなどを語った。

イベントに参加した大竹しのぶ【写真:ENCOUNT編集部】
イベントに参加した大竹しのぶ【写真:ENCOUNT編集部】

段田安則、“令和の当たり役”に太鼓判「日本でこの人しかいない」

 女優の大竹しのぶ、俳優の段田安則が12日、都内で行われた舞台「女の一生」の取材会に出席し、名戯曲に対する思い入れなどを語った。

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 女優の杉村春子(1997年没)の当たり役(947回上演)として知られる舞台で、明治・大正・昭和の三時代(1905年=明治38年~1945年=昭和20年)を生き抜いた女性の16歳から56歳までの姿を、大竹が演じ分ける。

 大竹の夫役を務めると同時に演出も手掛ける段田は「2020年に(大竹主演で)上演することができました、あの不朽の名作でございます。文学座の宝ともいえる舞台。あらためてやってみて、素晴らしい作品だと分かりました。それを希代の名優、大竹しのぶがやる。日本でこの人しかいないじゃないでしょうか」と、“令和の当たり役”に太鼓判を押す。

 さらに「主人公の描き方が素晴らしい。他の役も素晴らしい。どの役でもやってみたい」と、演技者の欲求を刺激する役柄設定の巧みさをたたえた。

 演出については「たいしたことはないので俳優中心で見ていただければ」と照れをみせつつも、「私、怠け者ですから、この前うまくいったな、そのままでいんじゃないかと。変えようというプランは考えていません」と、絶賛を浴びた大竹主演による初演時の段田演出を踏襲することを明かした。

 段田に「希代の名優」とたたえられた大竹は「杉村春子さんがやり続けたいと思ったということが、戯曲と向き合ってよく分かりました。段田さんも、けいこ場で、『いい本だね、やればやるほど深いな、俺たち役者は本に書かれたことをそのままやればいいんだ』と言っていました」と戯曲の素晴らしさを絶賛する。

「初演が昭和20年4月というのが、胸に迫るものがある。戦時中にこの芝居をやろうと思った、幕を開けたいと思った、空襲警報が鳴ったらいつ幕が下りるか分からない中で芝居を届けたいという(舞台人の)思いが、コロナ禍でもお客さまに芝居を届けたいという私たちの思いと重なって、感慨深い初演になりました」と振り返った。

 16歳から56歳までの、まさに女の一生を演じることについては、「宝石みたいなせりふがたくさんある。けな気なヒロインが明るく生き抜いたんです、ということじゃなく、嫌なところもたくさんあって、そこが面白いところだなと思います」ときれいごとで収まらない内容に納得。「3時間弱で一人の女性の人生、人間の人生を目の当たりにして、いろんなことを考えてもらえたらうれしいなと思います」と呼びかけた。

 大竹の演技について、段田は「10代、20代で内面が変わるから、(共演者という)そばで見るのが楽しかった。共演者でありながら、お客さんという楽しさがある」と間近に見る大竹の演技に見惚れてしまったことを吐露。「内面の変化が(表に)現れるところが魅力です」と、役そのものになりきる大竹のスキルをたたえた。

 10月18日~23日まで、東京・新橋演舞場で上演。その後、京都・南座、福岡・博多座を巡回する。

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