サイゼリヤ“100円ワイン”、実はすごいこだわりが…ソムリエ協会認定ワイン通の解説が大反響
「サイゼリヤの100円のグラスワインをただの安酒だと思ってる人が多すぎる」。8月下旬、ある一人のSNSユーザーの投稿が注目を集めた。サイゼリヤ100円ワインが持つ本来の魅力を解説したのは、だいすけ@ノムリエ(@daisuke_wine)さん。豊富な知識で100円ワイン=安酒のイメージを覆し、「このツイートで行ってみたくなりました!」と、大きな反響を呼んだ。ワインのエキスパートでもあるだいすけ@ノムリエさんに投稿の真意を聞いた。
14万反響「サイゼリヤのワインの印象がめちゃくちゃよくなりました!」
「サイゼリヤの100円のグラスワインをただの安酒だと思ってる人が多すぎる」。8月下旬、ある一人のSNSユーザーの投稿が注目を集めた。サイゼリヤ100円ワインが持つ本来の魅力を解説したのは、だいすけ@ノムリエ(@daisuke_wine)さん。豊富な知識で100円ワイン=安酒のイメージを覆し、「このツイートで行ってみたくなりました!」と、大きな反響を呼んだ。ワインのエキスパートでもあるだいすけ@ノムリエさんに投稿の真意を聞いた。
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「ちょっと言わせて。サイゼリヤの100円のグラスワインをただの安酒だと思ってる人が多すぎる」
こんな書き出しで始まるツイートがSNS上に話題になったのは8月末だった。
「ランチで水代わりにワインを飲むヨーロッパのように、『日本でもワインをコーヒーより安く提供して日常の飲み物にしたい』という創業者の情熱のたまもの。そんなサイゼリヤの意外と知られてない正式名称は『イタリアンワイン&カフェレストラン サイゼリヤ』。実は創業者が『ビジネスの原点』というほどワインの品質にはこだわりが」とツイートは続く。
さらに、サイゼリヤワインのこだわりについて、「イタリアのモリーゼ州から直輸入」「サイゼ専用タンクで発酵」「温度管理を徹底するため、高級ワインと同じ定温コンテナで輸送」「鮮度を守るため2ヶ月以内に消費」と社員も顔負けのうんちくを披露。そして「今以上に『格式ばった飲み物』というイメージが強かった創業当時。『どうしたら安くワインを提供できるか』を探りに、会長みずからイタリアへ。栽培、醸造、熟成、出荷をすべて徹底したプライベートワインを現地で造ることに。これがあの100円ワインのドラマ」と、結んだ。
価格が安いワインは品質もよくないと判断してしまいがち。一連のツイートで、目からウロコの読者からは「知りませんでした!」「このツイートで行ってみたくなりました!」「サイゼリヤのワインの印象がめちゃくちゃよくなりました!」「今すぐ飲みたい!」「すごい企業努力」「まさに情熱のワインですね」と驚きの声が上がり、投稿には9月7日までに14万を超える「いいね!」がつけられている。
だいすけ@ノムリエさんは「投稿した日の昼すぎから通知がとまらなくなりました。スマホでツイッターの通知欄をスクロールして更新しますよね。あれを何十回繰り返しても、本当に途切れることなく次から次といいね、リツイート、引用、フォローの通知がくるほどでした。ツイッター上の仲良しの方も、リアルのワイン仲間も、皆さん一緒に喜んでくれるのがうれしいです」と、実感を込めた。
実は日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートで、ワイン検定講師も務めているというワインのプロ。
「ツイッターでは以前から、コンビニで買えるワインの紹介など、普段ワインを飲まない方にも興味を持ってもらえるような発信をしてきました。サイゼリヤのワインについてもその延長で興味をもち、以前から本やネットで調べていました」
ワインへの造詣が深いのもうなずけるが、若いころからワインを好きだったわけではないという。
「10年ほど前、30歳を少しすぎたころです。知り合いで月に一度ワイン会を開いている方がいて、招いていただいたのがきっかけです。そのあと数年間は、週末にワインの飲めるお店を探して行ってみたり、月に2~3本買って自宅で飲むくらいの頻度。今のように産地や品種を気にしたりすることもなく、ただ気楽に飲んでいるという感じでした」
ワインにのめり込んだワケ 「こんなお酒、ほかにありませんから」
転機は5年前、とあるワインバーに通うようになってからだった。「オーナーさんがワインエキスパート(の資格)を持っている方で、お話しているうちに少しずつ興味が出てきました。まだ専門用語など何も分からず、ブドウ品種をいくつか言えるくらいの知識しかありませんでしたが、『それでも今から勉強したら絶対合格できる!』という言葉に後押しされ、『ワインエキスパート』の受験を決めました」
のめり込むのは早かった。ビールや日本酒とは異なる魅力に取りつかれた。「原料がブドウのみで、水さえ加えずに造られることですね。こんなお酒、ほかにありませんから」。自身も勉強を重ね、ワインエキスパートの資格を取得した。ソムリエとの違いは「ソムリエは3年以上飲食店に勤務した経験者のみ受験できます。一方のワインエキスパートは20歳以上なら誰でも受験できます」だが、1次の筆記試験と2次のテイスティング試験の難易度は同等というからかなりの知識と確かな舌が求められる。
初めてサイゼリヤワインを口にしたのも5年ほど前だった。「どの料理メニューにも合う、誰でも飲みやすい『やさしい味』だなという印象です」。ツイートはワインへの愛情がたっぷり。高級ワインだけではなく、一般人が手軽に購入できるワインに独自の解説を加えて魅力を何倍にも高めるのが、だいすけ@ノムリエさんの特徴の一つだ。
「『普段ワイン飲まないけど、たまにはコンビニやファミレスで試してみるかな』という方を想定して解説しています。なので詳しい人にしか通じないテイスティングコメントや専門用語は使わず、誰にでもイメージしてもらえるような言葉を意識しています。たとえば『ロッテのブルーベリーガムの香り』や『レモンの皮のような爽やかな苦味』という表現を使ったときは、『初心者でもイメージできました』といううれしいコメントを多くいただいたので、このように誰もが知っている香りや味のワードを使うように意識しています」と投稿のコンセプトははっきりしている。
安くてもおいしいワインの選び方を聞いてみると、「月並みですが、詳しい店員さんのいるお店で買うのがいちばん安全です。また、おいしさは人それぞれですから、まずは自分の好みのワインをひとつでいいから見つけると良いと思います。ひとつ見つかれば、そのブドウ品種と産地を覚えておいてもいいですし、ラベルの写真をとっておいてもいいです。それをワインショップやバーのソムリエに『このワインが好きだから、予算いくらくらいで』と伝えるといいと思います。それこそ『サイゼのワインが好きなんだけど』でもいいと思いますし、もちろん私にDMいただいてもいいですよ(笑)」と教えてくれた。
自身のワインの飲み方は、「『何を飲むかより誰と飲むか』これに尽きます。気の知れた仲間と肩肘張らずに飲むほうが、僕は楽しくて好きです」と、銘柄より雰囲気重視派。
ワイン愛好家を集めてイベントも開催しており、「月に一度、世田谷区のワインバーで、ビギナーさん向けの勉強会を開いています。『ボトルの形とラベルだけで好みに近いワインを選ぶ方法』などを主なテーマにしています。ツイートで告知しているので、お近くの方はぜひいらして下さい。目標は、こうしたリアルの場での勉強会やツイッターでの発信を通じて、『ワイン好きになりました』という方を1人でも増やすことです」と、熱く締めくくった。