VOODOOーMURDERS（ブードゥーマーダーズ）に電撃「復帰」した全日本プロレスの諏訪魔。赤い髪にし、ふてぶてしい笑みを浮かべている。

　リングネームを本名の諏訪間幸平から諏訪「魔」にしたのも、2006年にブードゥー入りしたからだ。その後、いろいろなユニットを組んで活躍してきたが、ずっと諏訪魔のまま通して来た。悪党ではないが、暴走ファイトを展開。どこかに魔性を持ち続けていたのだろう。

「大暴れ」とは比喩的な言い方だが、諏訪魔は、まさに「大暴れ」だ。大日本プロレスの岡林裕二のファイトも「大暴れ」に該当するが、暴走ではない。諏訪魔は暴れた上に暴走する。これだけ大暴れする選手は珍しいのではないだろうか。

　そんな諏訪魔への声援で、非常に印象に残ったものがある。コロナ禍以前の東京・両国国技館大会だった。升席からキャリアウーマン風の妙齢女性が、3冠戦を戦っている諏訪魔に「諏訪魔～！　貯金しろ～！」と元気良く声援を飛ばしていた。

　今までいろいろな団体で、様々な声援やヤジを聞いてきたが「貯金しろ！」というのは初めて。続けて「個人年金受け取り型にしろ?！」には驚いた。

　試合後に話を伺うと、メガバンクにお勤めで、諏訪魔の自宅近所の支店だという。「友だちに誘われて初めてプロレス観戦に来たのですが、ド迫力に興奮してしまいました」と顔を上気させて照れ笑い。

「諏訪魔さんが近所だと聞いて親近感がわいて、応援しようと思いました。でも、頑張れとか負けるな！　とか言いつくして、何か出さなくちゃと思ってつい…。だけど、友だちには 『声援でもヤジでもなく営業だわ！』 と笑われてしまいました」と、しきりに恐縮していた。

　後日、全日本の選手が同席した宴席で一緒になり「この方が諏訪魔、貯金しろの人です」と紹介したところ、噂を聞いていたのか「ああ、あ?。あれは強烈でしたね。諏訪魔さんに貯金すすめて下さい」と高笑いだった。