“世界のTK”高阪剛が語る、師匠・前田日明の教え「プロとアマチュアとは何が違うか」
1994年にプロデビューを果たし、「RIZIN.35」(4月17日、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ)にて正式に現役を引退した“世界のTK”高阪剛。TKといえば、WOWWOWでもUFCの解説席に座っているが、かつてアーティスト・福山雅治がゲスト解説を果たした際に、気さくなやりとりがほほ笑ましかった。そこで今回はTKが考える福山雅治評を聞いた。また、リングス時代の破天荒な飲みっぷり武勇伝についても振り返ってもらった。
プロとアマチュアの違い
1994年にプロデビューを果たし、「RIZIN.35」(4月17日、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ)にて正式に現役を引退した“世界のTK”高阪剛。TKといえば、WOWWOWでもUFCの解説席に座っているが、かつてアーティスト・福山雅治がゲスト解説を果たした際に、気さくなやりとりがほほ笑ましかった。そこで今回はTKが考える福山雅治評を聞いた。また、リングス時代の破天荒な飲みっぷり武勇伝についても振り返ってもらった。(取材・構成=“Show”大谷泰顕)
――いつだったかUFC中継の実況席で、福山雅治さんから「TKどう思う? これは今どうなっているの?」みたいに聞かれていたりして、どんな方なのかなあと聞いてみたいと思っていました。
「ものすごく格闘技のことが好きで、試合を見ていらっしゃるし、自分の試合も見ていただいて。ついこの間もライブにご招待いただいて行ってきたんですけど、全てにおいて素晴らしいですよね。もちろん、アーティストとしては、自分なんかでは計り知れないものがあるんですけど、ものすごいものを持っていらっしゃる」
――というと?
「自分がいつも福山さんに関して思っていおるのは、自分自身を追求されていて、なおかつアーティストっていうのをされてもいる。例えばライブ一つにしても、ちゃんと届けようとしているんですよ。その姿勢は素晴らしいなと思っていますね」
――届けようとしている、というのはどういう部分で分かるんですか?
「福山さんのステージっていうのは、どこの席にいても福山さんの姿がちゃんと見えるように工夫されているんですね。そうやって福山さん自身も、しっかり届けようとしているんです。360度全部に。それをあれだけギター弾いて歌って、パフォーマンスをしながらやるんですよ。そこまで目配り・気配りができるのって、すごいとしか言いようがないですよね。すごい力だなあと」
――超一流なんですね。
「自分は、試合でもそうなんですけど、とくにプロになってからは、これは前田さんに言われたことっていうか、教えをいただいたことがあるんです」
――師匠からの教えですね!
「ええ。プロとアマチュアとは何が違うかと言ったら、プロは何をやっても当たり前だと思われることだよって。普通に勝っても、何かが起こったくらいにしか見てくれない。すごい技で勝ったとしても。だから見る人の期待を、いい意味で裏切っていく何かを持った人間でいないと、プロとしては成立しない。だから、なんでもいいからそれを持てる人間になれって」
――そんなアドバイスがあったんですね。
「だから自分は、それを常に思いながら試合をしていて。だから試合中、単純に『見ている人は面白いのかなこれ』っていう気持ちにかられたりすると、ちゃんとしっかりお客さんの中で試合をしているんだから……っていう意識を、もう一回奮い立たせてやるっていうようなことをやっていたんですよ、できるだけ」
――試合中に、もう一人の客観的に自分を見る自分がいたと。
「ええ。そこから福山さんの話に戻ると、想像を超えるものを、頭の中やカラダ中に持っているものを、表現するだけじゃなくて、できるだけ届けようとするんですよ。そういうところも勉強させてもらって。プロっていうものの存在はどういうものなのか、とか。だからすごい存在なんですよ、自分にとって福山さんっていうのは」
――そういう方から「TK」って呼ばれる関係性が、やっぱり面白いですよね。
「そう言っていただいているのは光栄です」
――その気持ちも分かります。
「福山さんは格闘技に関して、すごく真摯なんですよ。真正面から見ようとするし、理解しようとしているんです。たぶん、福山さんの活動自体がすごくそういう方向なので、ものを見る、理解する時の方向もそうなるんだろうなと思います。おそらく格闘技だけじゃなくて、すべてにおいてそういう方向で見られているんだろうな、とは思いますけどね」