【週末は女子プロレス♯24】かつては公務員もいじめで挫折 女子プロレスラーが変えた“真っ暗になった人生”「夢はひとつじゃない」
東京女子プロレスにレギュラー参戦する角田奈穂(かくた・なお)。「女優によるプロレス」がコンセプトのアクトレスガールズを退団した彼女は、昨年11月7日の東京ドームシティホール大会で参戦を表明し、11・14新木場大会からリングに登場。現在も舞台活動とプロレスを両立させている。が、かつては公務員として働いていた異色の経歴の持ち主でもある。今年4・17後楽園ホールでプロレスキャリア6年にして初めてタイトルマッチを経験。インターナショナル・プリンセス王者の上福ゆきから「普通すぎる」と揶揄(やゆ)されたが、それこそが、彼女が進もうとしていた人生でもあった。が、ある事件をきっかけに「普通の夢」は大きく変貌。新たなる夢を追いかける現在の方が、圧倒的に充実度が高いという。
公務員として区で採用もいじめに耐えた日々「病気が発症して…」
東京女子プロレスにレギュラー参戦する角田奈穂(かくた・なお)。「女優によるプロレス」がコンセプトのアクトレスガールズを退団した彼女は、昨年11月7日の東京ドームシティホール大会で参戦を表明し、11・14新木場大会からリングに登場。現在も舞台活動とプロレスを両立させている。が、かつては公務員として働いていた異色の経歴の持ち主でもある。今年4・17後楽園ホールでプロレスキャリア6年にして初めてタイトルマッチを経験。インターナショナル・プリンセス王者の上福ゆきから「普通すぎる」と揶揄(やゆ)されたが、それこそが、彼女が進もうとしていた人生でもあった。が、ある事件をきっかけに「普通の夢」は大きく変貌。新たなる夢を追いかける現在の方が、圧倒的に充実度が高いという。
「両親とも公務員だったんですよ。母親が保育士で、私も当たり前のように公務員を目指しました。公務員になって旦那さんを見つけて結婚するまでが将来の夢になってたんですよね。そして試験に合格、区で採用されて、保育士になりました。だけど、2か月でやめてしまったんですよね…」
原因は、職場でのいじめだった。それこそ初日からターゲットにされ、精神的にも肉体的にも追い込まれた。「ストレス性の病気が発症して、もう無理となってしまいました。夢がいきなり断たれてしまって、どうしようと途方にくれましたね」。とりあえず実家に戻り、アルバイトを始めた。しばらくすると、気晴らしに何か習い事でもしようと考えた。
「子供の頃には英会話、ピアノ、エレクトーン、塾で5教科習ってました。友だちと遊ぶよりも、放課後は毎日習い事に行ってるみたいな感覚。たぶんほかの家よりも多かったと思いますよ。なので、今回はありきたりのものじゃなくて、何か変わったものをやりたかったんだと思います。それで見つけたのがなぜか“殺陣”。どうやって見つけて、なぜやりたくなったのかはまったく覚えてないんですけど(苦笑)」
殺陣の練習をするスタジオでは週末に地下アイドルのライブが開催されており、ある日、メンバーにならないかと声をかけられた。「それこそ最下層の地下アイドルでしたね。これをきっかけにグラビアの事務所に入り、舞台のお仕事をいただきました。それからハマってしまって舞台役者になったんです。すごく楽しかったし、仕事として継続してやっていきたいと思いました」
とはいえ、小さな劇団だけに当時はチケット販売のノルマを抱えながらの活動だった。チケットをさばけなければ自腹で購入するしかなかった。職業として考えた場合、「食っていけない」と判断。彼女は裏方に回る決心をする。
「舞台は大好きだったので、年齢のことも考えて作る方になろうと思ったんです。制作会社に入ってキャスティングとか裏の作業をしていました。でも、舞台を見てしまうとどうして自分がそこにいないんだろうと考えてしまい、イヤになってしまったんです。やっぱり出たい。でも、戻っても現状が変わるわけではないし…」
現場復帰に悩んでいた頃、舞台関係者から女優のプロレスをコンセプトとした団体設立の話を聞いた。「プロレスやりながら芝居をしたら幅が広がるんじゃないか、新しいことを開拓できるんじゃないかと思って、これしかないとやってみることにしました」。集められた女の子たちがアクトレスガールズの1期生になった。「正直、みんな崖っぷちだったと思います」