東京都による若年層を対象とした予約不要のワクチン接種が8月末から始まり、会場の渋谷区立勤労福祉会館では、抽選券を求める若者たちで連日行列となっている。都の予約不要ワクチン接種は、都内在住、もしくは在勤・在学中の16歳から39歳までの人が対象だ。一方、渋谷区の集団接種会場の一つで、勤労福祉会館からわずか徒歩5分ほどのところにあるNHK渋谷フレンドシップシアターでは、連日予約がガラガラという状況だ。目と鼻の先で余っているワクチンを接種することはできないのだろうか。

　渋谷区のホームページ上で公開されている9月接種分の予約枠空き状況を確認すると、NHK渋谷フレンドシップシアターでは9月2日～30日まで、すべての日で「予約可能」となっている。他の集団接種会場や個別医療機関の予約状況も空きが目立ち、予約困難とまでは言えない状況だ。

　実際、渋谷区では接種対象者へのワクチン2回接種を9月末までに完了できる体制を整えており、すでに12歳以上の区民21万2424人のうち、全体の45.8％が2回接種を完了、62.2％が1回目の接種を終えている（9月1日時点）。10月以降は会場・接種枠ともに縮小するため、9月中に2回分の接種が終わるよう、早めの接種を呼び掛けている。

　渋谷区地域保健課の新型コロナウイルスワクチン担当者は「都の予約不要の接種は直前まで情報が入っていなかった。連日の行列を見ていて、こちらでも接種ができればという思いですが、残念ながら管轄が違うため、区民以外は接種できないのが現状です」と話した。