【気になる人】デビュー45年「ある家族」で映画初主演の川崎麻世が初めて明かす生い立ちと20年来の病

10代でアイドルとしてデビューし人気を博した川崎麻世さん(58)。7月30日には初主演映画「ある家族」が公開される。デビュー45年で映画初主演とは感慨もひとしおだろう。この間、さまざまな困難を乗り越え活動を続けてきた川崎さんだが、その裏で機能性発声障害に苦しんできたことを、この3月にブログで告白し話題になった。機能性発声障害とはどんな病気なのか。そして、俳優として、この病とどう付き合ってきたのか。川崎さんに詳しい話を聞いた。

機能性発声障害を公表した川崎麻世さん【写真:荒川祐史】
機能性発声障害を公表した川崎麻世さん【写真:荒川祐史】

20年前の裁判が発症のきっかけだった

 10代でアイドルとしてデビューし人気を博した川崎麻世さん(58)。7月30日には初主演映画「ある家族」が公開される。デビュー45年で映画初主演とは感慨もひとしおだろう。この間、さまざまな困難を乗り越え活動を続けてきた川崎さんだが、その裏で機能性発声障害に苦しんできたことを、この3月にブログで告白し話題になった。機能性発声障害とはどんな病気なのか。そして、俳優として、この病とどう付き合ってきたのか。川崎さんに詳しい話を聞いた。(取材・構成=中野裕子)

 機能性発声障害を発症したのは、20年前です。当時、僕はある裁判を抱えていました。事実無根の報道をされたので、名誉毀損で訴えたのです。裁判所で相手の言い分を聞いてみると、裏も取らず、他人から聞いたことだけを根拠に記事を作っていました。そのずさんさに「うそを書かれた僕にとってはすごく大きなことなのに、そんな軽い考えで記事を作っていたのか」と大きなショックを受け、それと同時に声がかすれ額から脂汗がワーッと出ました。「なにこれ……!?」とビックリ。その後も大きなストレスがかかると、声が出にくくなりかすれる症状が現れるようになりました。

 最初は声帯や喉に何かあるのではないかと思い、耳鼻咽喉科に行って調べてもらいました。でも、異常はなし。医者に症状を説明してもなかなか理解してもらえず、納得のいく治療も受けられませんでした。でも、心と身体のバランスがうまく取れない状況は続き、声以外の症状も出てきました。例えば、車を運転中に全身がしびれ、慌てて車を停め救急車で運ばれたことが何度かありました。そのときは過呼吸による過換気症候群と診断されました。11年前には耳の調子がおかしくなりました。聞こえが安定しないんです。耳管開放症との診断を受けました。

 この20年間、こうした症状が出たり、落ち着いたりを繰り返してきました。心療内科を紹介され、通ったこともあります。でも、安定剤を処方され、「様子をみてください」と言われただけ。安定剤は飲むとちょっと頭がぼうっとして集中力がなくなるので、ほとんど飲みませんでした。

 症状がありながらも、舞台やテレビの仕事は続けることができました。プライベートで話すときの声はかすれても、“仕事用の声”は舞台で声を出すときのように腹式呼吸を使えば、しっかり、大きく、出すことができましたから。ただ、ずっと意識して声を出し続けなければならないので、すっごくエネルギーが必要でしんどいんですよ。僕の仕事は人前に立つこと。声は重要です。だから、声が出にくいことは秘密にし、周りに気軽に相談することもできませんでした。

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