林家木久扇さん骨折であらためて“高齢者の転倒骨折”に注目 専門家が語る予防策

人気落語家の林家木久扇さん(83)が、自宅の仕事場で転倒し大腿骨を骨折した。芝浦田町スポーツ整骨院・はり治療院の新盛淳司院長は、近年受傷ケースが増加傾向にあるというお年寄りの大腿骨骨折をいかに予防できるか、寝たきりにつながるリスク、そして、新型コロナウイルスの影響も解説してくれた。

高齢者は日常生活での骨折事故に注意が必要だ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
高齢者は日常生活での骨折事故に注意が必要だ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

スポーツ整骨・はり治療の新盛淳司院長が解説

 人気落語家の林家木久扇さん(83)が、自宅の仕事場で転倒し大腿骨を骨折した。芝浦田町スポーツ整骨院・はり治療院の新盛淳司院長は、近年受傷ケースが増加傾向にあるというお年寄りの大腿骨骨折をいかに予防できるか、寝たきりにつながるリスク、そして、新型コロナウイルスの影響も解説してくれた。

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 木久扇さんが診断されたという大腿骨骨折ですが、太ももの骨の骨折になります。体重を支えるために、体の中でも太く、高い強度を誇る大腿骨ですが、骨密度が低下し骨がもろくなっている高齢者が受傷するケースが多いです。特に、加齢などの影響で骨密度が下がる骨粗しょう症になりやすい女性に多い骨折です。

 高齢者の場合、大事故で受傷するというケースよりも、日常生活の中で起きた転倒で骨折してしまうケースが増えていることも特徴です。

「椅子から立ち上がった際に転倒」「床の上の新聞に乗って転倒」「朝起きて布団の端に引っかかり転倒」「2、3センチの段差につまずいて転倒」など、若い頃なら骨折には至らないささいなアクシデントです。それが住み慣れた自宅内で起きてしまうことが大きな注意点になります。

 治療は手術が基本になります。大腿骨骨折の怖いところは、けがをした後、寝たきりになるケースが少なくないことです。

 大腿骨の骨がくっつきにくい箇所もあり、人工関節にしたり、プレートやスクリューなどで固定することもあります。高齢者は筋力がそのまま戻らないケースもあります。

 寝たきりを防ぐ為に、早期にリハビリを開始する必要があります。寝た状態から起き上がれるまで、坐位(ざい)訓練からスタートします。そこから自分で歩けるようにリハビリを進めます。

 大腿骨骨折を防ぐには、2点注意が必要です。まずは骨を強くすること。そして、転倒しないための筋力をつけることが必要になります。骨の強度を高めるために、カルシウムやカルシウムの吸収を促すビタミンDを摂ることが重要です。ビタミンDは食事から摂ることだけではなく、日光に当たることも有効です。

 新型コロナウイルスの感染予防で、ステイホームが呼びかけられています。お年寄りの方で、外出機会が減り、日光に当たらず、運動不足で筋力が弱っている方は特に注意が必要です。

 新聞やビニール袋などを床に置かないようにするなど、日頃からの転倒対策も重要になります。

 緊急事態宣言などの状況もありますが、日頃の運動習慣や栄養摂取もけがの予防に重要になります。木久扇さんの1日も早い回復をお祈りしています。

 □新盛淳司(しんもり・じゅんじ)、芝浦田町スポーツ整骨院・はり治療院院長、新浦安しんもり整骨院入船院代表。柔道整復師、鍼灸師。サッカー元日本代表の中村俊輔(横浜FC)をセルティック時代から10年以上パーソナルトレーナーとして支えている。関東リーグ・ブリオベッカ浦安のチーフトレーナーも務めている。

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