【プロレスこの一年♯32】「1,2,3,ダー!!」の原点、新日本が全日本の協力で東京ドームに6万人以上を動員 90年のプロレス

1990年2月10日、新日本プロレスの東京ドーム大会は、プロレス界における歴史的な一大イベントとなった。今から31年前のこの時期、プロレス界のベルリンの壁が崩れ、新日本プロレスと全日本プロレスが協調路線を敷いたのである。ドイツ分断、東西冷戦の象徴だったベルリンの壁は前年11月に市民の手によって崩され、90年10月にドイツは統一された。世界の歴史的な出来事がプロレス界にも投影されたような形になったのだ。

「日米レスリング・サミット」でがっちり握手を交わしたジャイアント馬場(全日本)と坂口征二(新日本)【写真:平工 幸雄】
「日米レスリング・サミット」でがっちり握手を交わしたジャイアント馬場(全日本)と坂口征二(新日本)【写真:平工 幸雄】

東京ドームで実現したWWF&新日本&全日本3団体共催による「日米レスリング・サミット」

 1990年2月10日、新日本プロレスの東京ドーム大会は、プロレス界における歴史的な一大イベントとなった。今から31年前のこの時期、プロレス界のベルリンの壁が崩れ、新日本プロレスと全日本プロレスが協調路線を敷いたのである。ドイツ分断、東西冷戦の象徴だったベルリンの壁は前年11月に市民の手によって崩され、90年10月にドイツは統一された。世界の歴史的な出来事がプロレス界にも投影されたような形になったのだ。

 事の発端は1月4日に行われたジャイアント馬場(全日本)と坂口征二(新日本)の会談である。このときの話し合いにより、両団体の協調路線が確認された。新日本2・10東京ドームにNWA世界ヘビー級王者リック・フレアーの参戦が馬場の了承のもと決定。代わりに新日本は、スティーブ・ウィリアムスを全日本に移籍させることとなったのである。

 ところが、フレアーの来日が急きょキャンセルされるハプニング。しかし、これがかえって両団体の協調路線を強烈にアピールする結果となった。なんと全日本がジャンボ鶴田、天龍源一郎、谷津嘉章、(2代目)タイガーマスク(当初の川田利明から変更)、スタン・ハンセンのドーム大会派遣を許可。これにより、木村健悟&木戸修VS鶴田&谷津組、ビッグバン・ベイダーVSハンセン、長州力&ジョージ高野組VS天龍&タイガー組という3大対抗戦が実現したのである。東京ドームは6万3900人、超満員札止めの大観衆であふれかえった。外野席までファンで埋め尽くされ、期待感から自然発生するウェーブの景観は圧巻の一言に尽きた。

 対抗戦以外では元横綱・北尾光司がクラッシャー・バンバン・ビガロを相手にプロレスデビュー。しかし、ロープワークでのちぐはぐな試合運びや、違和感ありすぎのパフォーマンスで大ブーイングを浴びる前途多難な船出になった。また、マサ斎藤がラリー・ズビスコを破り、日本人として2人目のAWA世界ヘビー級王者に。メインでは、アントニオ猪木&坂口組が蝶野正洋&橋本真也組に勝利。猪木が「1、2、3、ダー!!」のパフォーマンスを行ったのは、このドーム大会が初めてだった。

 4月13日にはWWFが日本侵攻。とはいえ単独での開催は困難と見て、日本の団体に協力を仰いだ。すると全日本と新日本が協力し、3団体共催の「日米レスリング・サミット」が東京ドームで実現した。メインはハルク・ホーガンとハンセンの一騎打ちで、ホーガンがアックスボンバーからピンフォール勝ち。馬場はアンドレ・ザ・ジャイアントと夢の巨人タッグを結成し、デモリッションを撃破。天龍はランディ・サベージとの名勝負でマネジャーのシェリー・マーテルごと粉砕、日本人レスラーの誇りを満天下に見せつけた。

 しかし、その天龍が突如として全日本を退団、メガネスーパーがプロレスに進出する新団体SWSへの移籍を表明したのである。天龍は4・19横浜文体で鶴田の三冠ヘビー級王座に挑戦。これが全日本ラストマッチとなり、26日に退団。5月10日にSWSの設立が発表された。全日本からは天龍をはじめ9選手が離脱。新日本ではジョージ、佐野直喜がSWSに新天地を求めた。

 大量離脱でピンチに見舞われた全日本では、5・14東京体育館でタイガーが試合中にマスクを脱ぎ捨て、素顔の三沢光晴としてやってくことに。これをきっかけに全日本は若い力への方向転換で現状打開を図った。これに先立つ1月2日には小橋建太の七番勝負がスタートし、谷津を相手にムーンサルトプレスを初公開。4・9岡山では小橋がタイガーとのコンビでダグ・ファーナス&ダニー・クロファット組からアジアタッグ王座を初戴冠。若い力が急速に伸び始めた時期である。この年には三沢、川田、小橋、菊地毅が超世代軍を結成、鶴田の壁に挑んでいくこととなる。

 御大・馬場は9月30日のデビュー記念日に後楽園で「デビュー30周年記念試合」をマッチメーク。馬場がアブドーラ・ザ・ブッチャーとの越境タッグを結成し、ハンセン&アンドレ組と夢の対決を行った。

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