「AAA(トリプル・エー)」の宇野実彩子が4日、配信シングル「最低な君にさっきフラれました」をリリースした。大好きだった恋人との失恋直後の心境を女性目線で赤裸々に描いた歌詞と、鋭くとがった言葉の1つ1つが切なく響く繊細な歌声で、これまでにないタイプのラブバラードが生まれた。さらに初挑戦となるドラマ仕立てのミュージックビデオ(MV)で、俳優・山田裕貴との豪華な共演も実現。最高に愛していた君が最低な君へと変わっていく姿を映像美で見事に表現している。今回は前編後編の2回にわたって新曲の魅力についてインタビュー。前編は宇野の新たな挑戦について聞いた。（取材・文＝福嶋剛）

　宇野は2020年、新型コロナウイルスの影響でコンサートツアーをはじめ活動の自粛が続く中、34歳の誕生日となった7月16日にこれまでにない大胆な挑戦を打ち立てた。シングル「Stand UP!」の配信開始。延期していたホールツアーを21年1月からスタートすると発表。さらに現在多くのファンの間で話題にもなっているYouTubeチャンネル「MISAKO UNO OFFICIAL」の開設。そしてオフィシャルオンラインサロン「MISAKO UNO Inc.」の創立。中でもオンラインサロンは、ファンと直接触れ合う機会がない今だからこそ、宇野とファンを1つにつなぐための必要なツールだという。

「私は自分の曲を聞いてくれるファンのことを出来る限り知りたくて。普段どんな生活を送っていて、どんな洋服がお気に入りで、どんな人と仲が良いのか……。(これまでは)ライブに来てくれたファンの方たちを見るように聞くようにしていたのですが、今は直接会えないのでサロンを立ててコアなファンの方々と密につながって、まるでLINEをするみたいに『どんな曲を聞いているの？』と投げかけたり。身近に感じることでファンの皆さんと共感していきたいんです」

　そんな大きな一歩を踏み出したことが、ラブバラード誕生のきっかけになったという。

「ファンの声を拾っていくと、みんなバラードが好きという声が聞こえてきて、来年のツアーに向けて会場で歌ったとき、みんなの心がキュンと切なくなるようなバラードを極めたいと思って。そんなパワーのあるバラードを作りたいと思いました」

　完成したバラードのタイトルは「最低な君にさっきフラれました」。鋭く胸に突き刺さる題名だけでなく、むき出しの感情や直接相手にぶつけるような言葉をそのまま詰め込んだ歌詞がとても印象的だ。

「フラれた直後の傷ついた乙女心を言葉を選ばずに表現していて、切ない心をえぐられるようなラブバラードです。失恋した後って思い出になるに連れて、振り返ると結構きれいな言葉になってしまうと思うのですが、別れた直後の本当にこの部屋から彼がいなくなった後の実際の心って、もの凄く痛くて毒が混じっていてそんなきれいなものじゃない。だからきれいな言葉じゃなくて、隠していない言葉、どうしても出てきてしまう言葉とか本音を歌詞にすることで、余計に共感してもらえるような、そんなパワーを持ったバラードを作りたかったんです」

　歌詞を作るにあたり、これまでとは違った“生みの苦しみ”を味わったという。

「ずっと自宅のリビングでひたすら歌詞と向き合いながら何度も書き直しました。“最低な君”の最低なところや最高なところ『なぜ愛してしまったの？』『なぜ終わりに向かってしまったの？』『もし私だったらどういう気持ちで彼を待っていたんだろう？』とか一気に書いて。やっぱりここまで最低って言えるのは、最高に愛していたから。そう言わないと終わりに出来ない。だからそのリアルな感じ、女性側の苦しみを表現するには、言われたことを書かないと毒にならないなと思って。私も書きながら本当にとても苦しかったです(笑)」