骨が皮膚を貫通寸前…「1年欠場」宣告から復帰の田中きずな、9か月の苦難乗り越え見据える夢

今年1月、左足の脱臼骨折という大けがを負ったマリーゴールドの田中きずな。ここまでの大けが・長期欠場は自身にとっても初めてのことだった。そのきずなへの2年ぶりのインタビュー場所は、お台場。海が好きな彼女が、プロレスのことを一人で考える場所で、何を語ったのか。前編はそのけがについて、そしてビクトリア弓月・瀬戸レアという同期について話を聞いた。

欠場中の思いを語った田中きずな【写真:橋場了吾】
欠場中の思いを語った田中きずな【写真:橋場了吾】

けがをしたときは頭が真っ白になり、次の日も試合に出ようと思っていた

 今年1月、左足の脱臼骨折という大けがを負ったマリーゴールドの田中きずな。ここまでの大けが・長期欠場は自身にとっても初めてのことだった。そのきずなへの2年ぶりのインタビュー場所は、お台場。海が好きな彼女が、プロレスのことを一人で考える場所で、何を語ったのか。前編はそのけがについて、そしてビクトリア弓月・瀬戸レアという同期について話を聞いた。(取材・文=橋場了吾)

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 今年1月17日、マリーゴールドの大阪大会の試合中に、田中きずなは左足脱臼骨折の大けがを負った。プロレスラーとしてデビューしてから3年が経とうとしていたタイミングで、長期欠場につながる負傷をしてしまった。

「試合が終わった後、すぐに病院に行ったのですが、足首の骨が完全にずれてしまっていて……もう少しで(皮膚を)貫通していたと。結果、手術は3回することになりました。大会を途中で中断させてしまったので、関係者の方々にLINEを送ろうと思ってスマホを見たら『田中きずな、緊急手術』とXに書いてあって。実は、けがをした直後は頭が真っ白になってしまって、いつ全身麻酔をして手術をしたのか覚えていなくて。

 手術前は、明日も試合に出る気持ちでいたんですが、病院の先生からは『いやいや、今日即入院だし、1年は欠場になると思うよ』と言われて。そこまでは覚えているんですが、それから手術後まで何が起こったかわからなかったくらい真っ白になっていましたね。ただ、手術前に、足は痛くて仕方ないんですけど、両親(田中稔・府川唯未)に電話をして、二人ともすごく心配性なので明るく電話しなきゃと……笑いながら、大丈夫だよみたいな感じで話しました」

 9か月の欠場中も、きずなはリングアナウンサーやセコンドとしてマリーゴールドの試合会場に顔を出していた。

「私が欠場中も、リングアナウンサーのようなチャンスをくださって、本当にそれってありがたいことだなと思いますし、欠場中もずっと団体からサポートを受けていて、みんなが優しくて。自分が迷惑をかけてしまってすみませんと連絡したときも、みんなから『待っているよ』みたいな返事が来て……本当にマリーゴールドは温かい団体だなと思いました」

10.24両国国技館大会で復帰した【写真:(C)マリーゴールド】
10.24両国国技館大会で復帰した【写真:(C)マリーゴールド】

同期の二人の試合を見て、誇らしく思い背中を押してもらった

 きずなの欠場中、同期の二人が大躍進を果たした。10.24両国国技館大会ではUN王座を失ってしまったが、ビクトリア弓月はDREAM*STAR GPで初優勝を果たした。そしてその決勝戦の相手となった瀬戸レアも、岩谷麻優・青野未来という大先輩を2タテした。

「焦るには焦ったんですけど、けがをする前の私だったら、多分『また差ができてしまった』とか『もう追いつけない』というようなマイナス思考をしていたと思うんですけど、今は逆なんです。去年のDREAM*STARの終盤から腰の痛みがひどくて、プロレスに対して楽しいという気持ちが持てなくなってきたタイミングでけがをしてしまったんですが、欠場中にいろいろ考えてどんどん前向きになれましたし、二人の決勝戦を見たときも、こんなに素晴らしい同期がいることが誇らしくて、背中を押してもらった感じでしたね。あの二人があんなに頑張っているんだから、私も頑張ろうみたいな。あの同期の二人の存在は、私にとって大きいですね」

 2023年デビューの3人に加え、南小桃、橘渚、山岡聖怜、山﨑裕花、ザ・レディAI、鈴夏といった選手たちが2024年以降にデビューし、今のマリーゴールドは若手戦線が充実している。

「ひょっとしたら、この状況は見る人から見ればマイナスにも見えるのかなとも思うんですけど、逆にいえばプラスにも変えられるわけですし、団体としての個性でもありますし、この若手が多い状況も今のマリーゴールドのメンバーだったらプラスにできるんじゃないかなと思っていますし、自分が引っ張っていきたいなと思う気持ちが強くなりました」

 復帰したばかりのきずなだが、マリーゴールドに入団した2年前に立てた目標は、まだ心の中に残っている。

「マリーゴールドに来て最初に立てた目標が、弓月とツインスターのベルトを獲ることだったんですよ。弓月と一緒に、マリーゴールドを引っ張っていけるようになりたいとずっと思っていて……やっぱり誰と(本格的な)タッグを組みたいかといったら弓月しか見ていないので。今、弓月はシングルでも活躍していますが、チャンスがあれば弓月と狙いたい気持ちはあります」

(31日配信の後編へ続く)

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