広瀬アリス、20代の“暗黒期”救った西田敏行さんの言葉「あの一言で頑張ってこれました」
「あの一言で20代は頑張ってこれました」。8年ぶりの映画単独主演作『沖晴くんの涙を殺して』(公開中)で、余命1年を宣告された女性教師を演じた俳優の広瀬アリス。30代に入り、演じる役の幅も広がっている。そんな現在に至るまでには、悩みを抱えた20代前半の日々と、支えになった名優からの言葉があった。

映画『沖晴くんの涙を殺して』で主演も気負わず「どんどん人任せに(笑)」
「あの一言で20代は頑張ってこれました」。8年ぶりの映画単独主演作『沖晴くんの涙を殺して』(公開中)で、余命1年を宣告された女性教師を演じた俳優の広瀬アリス。30代に入り、演じる役の幅も広がっている。そんな現在に至るまでには、悩みを抱えた20代前半の日々と、支えになった名優からの言葉があった。(取材・文=猪俣創平)
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同作は、額賀澪氏の同名小説を原作とするヒューマンドラマ。余命1年を宣告され、穏やかな死を迎えるために地元に戻ってきた女性教師・踊場京香(広瀬)と、幼少期に津波に流され死の淵をさまよい、「喜び」以外の感情を失うことで生き残った高校生の沖晴(木戸大聖)が出会い、命に向き合う姿を描く。
8年ぶりの映画単独主演。座長としての心境を聞くと、「どんどん人任せになっています。あまり自分を座長だと思っていません。引っ張っていくタイプではないですし、あまり考えずに、『みんなで緩くいきませんか?』みたいな感じです」と、照れくさそうに笑った。
「20代の頃は、『30代の女優さん』というだけで大先輩と感じて、ちょっと怖いと思っていたんです。10歳ぐらい離れていても、同じ現場で一緒にお仕事をすることは普通です。私も何となく怖く見られがちだと思うので、自分からフランクに話しかけるようにしています」
本作では、沖晴が喜び以外の感情「嫌悪・怒り・哀しみ・恐れ」と向き合い、少しずつ取り戻していく姿が描かれる。作品との出会いを通して、広瀬自身もマイナスな感情への向き合い方が変わったという。
「“暗黒期”とネタとして言っている時期があって、当時は本当にしんどかったし、きつくて、何をしてもネガティブな感情になっていました。『楽しい感情さえあったら、どれだけ楽なんだろう』『みんな楽しそうに生きていて、こういう考えができたら本当に幸せだな』と思っていたんです。でも、この作品に出会って、ネガティブな感情になる時は、ジャンプするために膝を曲げている瞬間で、高く上がる時は絶対に1回下がるから、『今はこの時期なんだ』と思ったら、あとは上がるだけなんです。ネガティブな感情も、その瞬間はしんどいけれど、踏ん張る力なんだと気持ちを整理できました」
2010年、15歳で『明日の光をつかめ』(フジテレビ系)の主演に抜てきされ、昼ドラ史上最年少主演として注目を集めると、その後もドラマや映画への出演を重ねた。その一方で、本人は20代前半を「暗黒期」だったと振り返る。

教師役で新たな経験「初めて感情にラベリングをしたかも」
「長い間くすぶっていたと思います。周りがどんどんお仕事を増やしていく中で、足踏みして焦っている自分もいましたが、『もうどうでもいいや』と面倒がっている自分もいました。『そんなふうに見えない』とよく言われるのですが、結構病んでいました。人並みにそういう感情になっていたと思います」
俳優という仕事に「場違いだから辞めたい」とまで感じていたその頃、背中を押したのが、ドラマ『釣りバカ日誌~新入社員 浜崎伝助~』(15年、テレビ東京系)で共演した西田敏行さんの言葉だった。
「支えられたのは、西田敏行さんの『アリスちゃんはコメディエンヌだね』と言ってくれた、あの一言です。その時は『ありがとうございます』と言いましたけど、『コメディエンヌ?』と、あまりピンときていなかったんです。でも、結果的に今は自分の強みだと自信を持って言えるものになっています。本当にその言葉だけで20代は頑張ってこれましたし、かなり背中を押してもらいました」
今では「コメディエンヌ」を自らの強みとして受け止めている。一方、本作の京香は、コメディーとは大きく異なる役柄とあって、「初めて感情にラベリングをしたかもしれないです」と新たな経験にもなった。
30代に入り、「いただく役が変わりました。今回のような教師であったり、“若い何とか”みたいな部類ではなくなったのは大きいです。それはそれですごく楽しんでいます」と前を向く。
20代の迷いを経て、自分の強みを知り、新たな役柄も楽しむ。その言葉からは、30代になった今の充実ぶりが伝わってきた。
□広瀬アリス(ひろせ・ありす)1994年12月11日、静岡県出身。2008年、映画『死にぞこないの青』でデビュー。09年、「ミスセブンティーン2009」に選ばれ、雑誌「Seventeen」(集英社)の専属モデルを務めた。10年、フジテレビ系連続ドラマ『明日の光をつかめ』では、昼ドラ史上最年少で主演を務め、注目を集めた。主な出演作に、NHK連続テレビ小説『わろてんか』(17年)、映画『地獄の花園』(21年)、NHK大河ドラマ『どうする家康』(23年)、連続ドラマ『なんで私が神説教』(25年、日本テレビ系)など。27年春には映画『全領域異常解決室』の公開を控え、同年3月公開予定の『ENJU エンジュ』でアクション映画初主演に挑む。身長165センチ。
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