ほこりまみれでネズミのすみか…12年眠っていたお宝「イチかバチか」奇跡の公道復帰 夢中になる父に娘あ然
「お父さん、動かない車を買ってきてどうするの?」――。中学生の娘にあきれられた。50代の自動車整備士の男性が我が家に持ってきたのは、約12年も動かないまま眠っていたイタリア旧車。1968年式のアルファロメオ スパイダーだ。ほこりにまみれた不動車を、休日の日曜日にコツコツと2年間かけて復活させた。家族はちょっぴり困惑してしまったが、言わば“大人の趣味”の結晶でもある。そんな情熱の愛車秘話とは。

【愛車拝見#390】 「作り上げちゃうと、終わっちゃうからつまんないんですよね(笑)」
「お父さん、動かない車を買ってきてどうするの?」――。中学生の娘にあきれられた。50代の自動車整備士の男性が我が家に持ってきたのは、約12年も動かないまま眠っていたイタリア旧車。1968年式のアルファロメオ スパイダーだ。ほこりにまみれた不動車を、休日の日曜日にコツコツと2年間かけて復活させた。家族はちょっぴり困惑してしまったが、言わば“大人の趣味”の結晶でもある。そんな情熱の愛車秘話とは。
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前の持ち主が年齢を重ねて乗る機会がなくなり、車検が切れたまま不動車に。約12年もの間、ガレージで眠っていた。
そんな1台を巡って、「譲ってもいい」という話を聞きつけた。手を挙げたのは、2023年の冬のことだ。「自分へのクリスマスプレゼントのような感覚でした」。
引き継ぐ決意をしたものの、車の状態は想像以上だった。タイヤは固着して回らず、エンジンもかからない。ほこりをかぶった名車。「車内はネズミのすみかになっていました(笑)」。それでも男性の目には、違うものが映っていた。
「磨けば光ると思いました。『これはいけるな』って」。プロとしての確信があった。
心がうずき、一直線。週末はもっぱらマイカーの修正・整備に費やした。ブレーキや足回りから始め、日曜日に少しずつ手を入れていった。「サンデーメカニックです(笑)。本当に、1/1のおもちゃですよね」。エンジンはオリジナルで、ボディーも全塗装が施されていただけに、磨いてみたら輝きを取り戻した。
修理の流れはつかめたが、部品調達にひと苦労。海外から自分で取り寄せるなど工夫を凝らし、結果的に費用も安く済んだという。
作業を始めて2年。ようやく整備のめどが付いた。「イチかバチか、もう車検に出しちゃおう」と決めた。結果は「一発合格でした!」。見事によみがえらせたのだ。
車検を通した後、初めて公道を走った時の感動は忘れられない。ハンドリングや乗り心地、お尻に伝わってくる振動。「いやもう、本当にうれしかったですよ」と振り返る。
車好きの家族。一方で、夢中になる父に対して冷静だったのが、中学生の娘だった。引き取ったことを意気揚々と報告したところ、「動かない車なんて買ってきてどうするの? 動かないでしょ、これ」と言われてしまった。ちょっと痛いところを突かれたが、男性は「でも、動かすんだよ」と返した。内心はもう火がついていた。
復活を遂げたアルファロメオ。直してから初めて愛車に乗せたのは、まな娘だ。乗り心地を聞いても、「何も言ってくれなかったですね」と苦笑い。年頃の女の子だから無理もない。今も助手席に乗ってくれているという。言葉はなくても、父の情熱はきっと伝わっているだろう。
歴史とブランドを築いてきたイタリア車。50数年前に製造された旧車を整備して驚いたのは、完成度の高さだった。「バラしてみると、今どきなんですよ。すでに出来上がっていました。エンジンの造りなんかも見ていると、技術が詰まっているなと。温故知新でしたね」
お気に入りはたくさんあるが、意外なポイントを教えてくれた。「お尻なんですよ。ボートテールと呼ばれるリアのデザインで、ほれぼれしちゃいます」と目を細める。
乗るのは近所を回る程度。普段は大事に車庫にしまっている。「イタリアの文化、当時の技術を自分なりに引き継いでいきたい。そんな思いを持っています。それと、自分はやっぱり、車をいじるのが好きなんです。プラモデルや工作もそうなのですが、作り上げちゃうと、終わっちゃうからつまんないんですよね(笑)。この車は、まだ手を加えたいところがいっぱいありまして(笑)。それを少しずつやっていけたらいいかなって」。いとおしそうに相棒を見つめる。
ほこりだらけで眠っていたお宝。日曜日の“お父さんの至福時間”はまだまだ長く続きそうだ。
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