広瀬アリス、失敗に“生きている”実感「私も人間だな」 日記を始めて感情整理「いい方法見つけた」
俳優の広瀬アリスが、映画『沖晴くんの涙を殺して』(公開中)で8年ぶりとなる映画単独主演を飾った。演じたのは、余命1年を宣告された女性教師役。減量にも取り組むなど、生と死に向き合った役作りと本作への思いを語った。

映画『沖晴くんの涙を殺して』で主演…余命1年を宣告された女性教師役
俳優の広瀬アリスが、映画『沖晴くんの涙を殺して』(公開中)で8年ぶりとなる映画単独主演を飾った。演じたのは、余命1年を宣告された女性教師役。減量にも取り組むなど、生と死に向き合った役作りと本作への思いを語った。(取材・文=猪俣創平)
人気俳優の韓国からスタートした愛車遍歴…“顔”で決めるクルマ選び(JAF Mate Onlineへ)
同作は、額賀澪氏の同名小説を原作とするヒューマンドラマ。余命1年を宣告され、穏やかな死を迎えるために地元に戻ってきた女性教師・踊場京香(広瀬)と、幼少期に津波に流され死の淵をさまよい、「喜び」以外の感情を失うことで生き残った高校生の沖晴(木戸大聖)が出会い、命に向き合う姿を描く。
オファーを受けた際は「ちょっと毛色の違う作品だな」と感じたといい、「その時から木戸さんのお名前が書かれていて、お芝居がすてきだという印象があったので、ぜひご一緒したいと思いました。自分としても、30代に入ったからこそ演じられる何かがありそうだなと思って、お受けしました」と語った。
撮影は広島県江田島市などで行われた。瀬戸内海や空、山々が作り出す風景も、本作を形作る大切な要素になっている。広瀬も、特に海が見える屋上での撮影が強く印象に残ったと振り返る。
「あれは『ずるいな』と思いました。『これはきれいな画、撮れるに決まってるじゃん!』みたいな(笑)。沖晴君の家の庭から見える景色も本当にきれいですし、あそこでは朝日も見ました。みんな夜中の1時、2時に起きて撮っていたので、広島じゃなかったら撮れない画でした。撮影は去年の本当に暑い時期だったんですけど、とにかく画がきれいでした」
京香を演じるにあたって、撮影直前から徐々に体重を落とし、約1か月の撮影期間を通して4キロ減量した。「やせるためにホテルでずっと自炊して、ヘルシーな脂質なしの食事を意識していました」と明かし、外出することもあまりなかった。
地方でのロケ中は自分を見つめ直す時間にもなった。「なんとなく日記を付け始めました。自分を分析してみようと思ったんです」と明かし、「今までは面倒くさいと思っていましたが、その日によって文字や言葉の雑さや丁寧さなどが違って、後から自分で見てもすごく面白かったです。今でも、空いている時に書いています」と、日記が新たな発見につながったようだ。
「文章を見るだけでその時の感情が戻ってくるので、そこからまた分析するんです。『私は何が嫌だった?』とか、なぜそう思ったのかとか。でもその分析がプラスにつながるとも限らないですけど、消化していくパターンも結構ありましたし、書いたらスッキリで終わることもあります。感情がプラスになっていくというよりも、ゼロになって終わるので、いい方法を見つけたなと思っています」

余命1年の役どころも…あえて避けた「悲劇のヒロイン」
役作りでは体を絞る一方、決して京香を弱々しく見せない演技を意識した。矢崎仁司監督からも、撮影に入る前から「かわいそうな子に見せたくない」と伝えられていた。
「監督には、『悲しい表情だったり、セリフの間だったりは、すごく気をつけてほしい』と言われていたので、なるべく肩の力を抜いてお芝居をしていました。撮影中も『ちょっと今の表情、悲しそうに見えたのでもう1回』とか、『今の間合い、すごく悲劇のヒロインみたいだから、もう1回』というのが、実は多かったんです」
撮影を続けるうちに、広瀬自身の中でも「死」に対する捉え方が少しずつ変わっていったという。
「死ぬことは、とても大きな事件だと思いがちです。でも、意外と人の死はあっけないものだと思いました。その人の人生はそこで終わりですけど、周りの人にとっては、次の日にはまた普通の1日がきます。死は意外ととても近いものなんだというのを撮影を重ねていく中で思いました」
生と死に向き合う物語。では、広瀬自身が日常の中で「生きている」と実感するのは、どんな瞬間なのだろうか。
「せっかく早寝したのに5時間ぐらいで目が覚めて、もがいている時です(笑)。今日も気づいたら二度寝してしまいました。失敗している時の方が『私も人間だな、生きてるな』と感じます。すごく変かもしれませんが、何か困難がないと生きている感じがしないんですよね。嫌なのに、苦しい選択を選びがちで、すぐきついことをしようとします(笑)」
今作でも「もう2度と夏の仕事はしたくない!」と思うほどの暑さを経験したが、「多分、数年後にはまたやっています。あれ、何なのでしょうね」と笑う。
「『つらい、眠い』とか言っていても、撮影が終わった時には、みんなで『イェーイ!』と喜んで、その瞬間のために3、4か月頑張っています。それは素晴らしいことだと思います」
困難な道を選び、その先にある達成感を味わえば、また次へ。そんな繰り返しもまた、広瀬にとって「生きている」と感じる瞬間なのかもしれない。
□広瀬アリス(ひろせ・ありす)1994年12月11日、静岡県出身。2008年、映画『死にぞこないの青』でデビュー。09年、「ミスセブンティーン2009」に選ばれ、雑誌「Seventeen」(集英社)の専属モデルを務めた。10年、フジテレビ系連続ドラマ『明日の光をつかめ』では、昼ドラ史上最年少で主演を務め、注目を集めた。主な出演作に、NHK連続テレビ小説『わろてんか』(17年)、映画『地獄の花園』(21年)、NHK大河ドラマ『どうする家康』(23年)、連続ドラマ『なんで私が神説教』(25年、日本テレビ系)など。27年春には映画『全領域異常解決室』の公開を控え、同年3月公開予定の『ENJU エンジュ』でアクション映画初主演に挑む。身長165センチ。
あなたの“気になる”を教えてください
