子宮の異変、大量出血から希少がん…公表したセクシー女優・豊岡さつき 抗がん剤治療で人生の決断「悔いなく生きる」
突然見舞われた子宮の病気、度重なる病魔、がんの告知……。セクシー女優の豊岡さつきは、妊娠時に胎盤をつくる絨毛(じゅうもう)細胞から発生する「絨毛がん」に罹患(りかん)したことを公表した。希少がんで、「20代でもそういう病気になるんだ」と戸惑い、ショックを受けながらも治療に臨んだ。一方で、抗がん剤治療を「やめる」という人生の選択をした。病院を退院した現在、体の状態は安定しているという。悩んだ末の決断、闘病生活、これからの生き方について聞いた。

「20代でもそういう病気になるんだ」 豊岡さつきが公表
突然見舞われた子宮の病気、度重なる病魔、がんの告知……。セクシー女優の豊岡さつきは、妊娠時に胎盤をつくる絨毛(じゅうもう)細胞から発生する「絨毛がん」に罹患(りかん)したことを公表した。希少がんで、「20代でもそういう病気になるんだ」と戸惑い、ショックを受けながらも治療に臨んだ。一方で、抗がん剤治療を「やめる」という人生の選択をした。病院を退院した現在、体の状態は安定しているという。悩んだ末の決断、闘病生活、これからの生き方について聞いた。(取材・文=吉原知也)
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事の始まりは子宮からの大量出血。今年1月、検査を受けた病院で子宮内の異常を指摘された。絨毛性疾患で、診断名は「胞状奇胎(ほうじょうきたい)」だった。
「子宮の異変に気付いたきっかけは大量出血でした。婦人科を受診し、エコー検査を受けました。その際、『赤ちゃんになる細胞が確認できない一方で、細胞自体は増えている』と説明を受けました。また、妊娠している状態ではないにもかかわらず、妊娠時に反応するホルモンが尿検査で確認されたため、詳しく調べるために血液検査を行いました。約1週間後、血液検査の結果、(経過をみる目安となる)hCG値が異常に高かったことから、胞状奇胎と診断されました。初めて聞く病名で、不安になりました」。1月中旬に除去手術を受けた。
これで終わらなかった。手術後の経過観察・検査で、「hCG値が下がりきっていないと言われました」。その後、詳しい検査の結果、絨毛性疾患の一種「侵入奇胎」であることを告げられた。「医師からは、抗がん剤治療を行うという説明がありました」。
侵入奇胎に対する抗がん剤治療を通院の形で4クールほど受けた4月下旬、MRIなどの検査を実施することになった。ところが、結果を聞く予定だった日を待たずして、病院から緊急の電話が入った。
「電話があったということは、良い知らせではないんだろうなって。電話に出てみると、悪化していること、すぐに入院の必要があることを聞かされました」。残酷な知らせだった。
慌ただしく入院。検査の結果、肺への転移が確認され、「絨毛がん」と診断された。「入院したのは大学病院だったのですが、先生から『見たことがない症例』と言われました」。医師からは抗がん剤の治療方針を示された。3種類か5種類の薬剤を使う方法を提示されて前者を選び、4月末から治療が始まった。点滴による投与で、1日数時間・週5日受け、その後に血液検査の結果を受けて設定する休薬期間を挟み、次の投薬サイクルに入るというのが主な流れ。脱毛や吐き気などの副作用は覚悟で臨んだ。
2017年にデビューし、AV業界をメインに、歌手活動などにも取り組んできた。不意の病で自分のことで精いっぱいになる中で、ファンの存在が気がかりだった。突然に表舞台から姿を消してしまえば、心配や誤解を与えかねない。「急にパッといなくなっちゃうのは、それは意味が分からないですよね。だから、『こういう理由なんです』とお伝えしようと考えました」。SNSを通して、1月末に病気であることを明かし、4月末には絨毛がんになったこと、抗がん剤治療を始めていることなど、自身に関する詳細な情報を公表した。「これから先の 私の長い人生の中の『試練』を乗り越えた先に 幸せがあると信じて頑張ります!」と前向きなメッセージを添えた。

入院中は「母に『薬がつらい』『しんどい』と漏らすことが増えました」
しかし、今回の副作用は想像以上のものだった。投与開始から2週目には髪が抜け始め、クールを重ねるごとに過酷なものになっていった。
「特につらかったのが、口腔内の症状です。口の中に潰瘍ができて粘膜が腫れてしまい、痛くて食事もできない、水を飲むのも大変。舌も動かせず、うまく話せない。私の場合は立ちくらみのようになって倒れてしまうこともありました。最後のクールでは酸素吸入も行っていました。点滴の針もうまく刺せなくなってしまって。弱っていくかもしれないと思い、怖くなってしまったのも確かです」
むくみで顔がパンパンに張り、髪の毛に加えて、まつげも眉毛もどんどん抜け落ちた。覚悟はしていたものの、鏡を見るたび落ち込む自分がいた。「今まで人前に出て“女性としての自分”を見せる仕事をしてきました。それだけに、精神的にもきつかったです」。
天真らんまんで愚痴を言わない性格。明るいメンタルの持ち主だが、顔色も次第に悪くなっていった。「母からは『あなたは我慢強くて弱音を吐かない子』と言われて育ってきましたが、闘病が始まってからは、母に『薬がつらい』『しんどい』と漏らすことが増えました。自分が自分らしくなくなってしまうのが、一番怖いことだなと感じました」。苦しむ娘の気持ちを和らげようと、家族はあえて明るく接してくれたという。
4クール目が終わるタイミングで、「肺の転移はほぼ見えない状態になったと聞きました」。一方で、子宮内の病変の縮小ペースは緩やかで、医師からは、抗がん剤5種類を使う治療への変更・別の抗がん剤への変更・子宮全摘手術・専門機関への転院・セカンドオピニオンという5つの選択肢が提示されたという。自ら選んだのは、そのいずれでもなく「抗がん剤をやめる」という道だった。
自分らしい生き方とは何か。病床で悩み抜き、たどり着いたのは、「悔いなく生きる」という結論だった。医師からは、抗がん剤治療を中断した場合のリスクについて、はっきりとした説明があったという。
「病院からは次に再発したら、同じ抗がん剤での治療が難しくなる可能性もあるため、『極端に言うと、命に関わりますよ』と言われました。分かってはいますが、自分が納得できる生き方とは何かを考えました。もしも別の病気を併発してしまい、それで死んでしまったら後悔するとも思いました。これはあくまで私個人の判断ですが、後悔しないように生きたいと考え、抗がん剤の中断を決意しました」
最後の抗がん剤投与は6月中旬。治療継続を促す病院側と何度も話し合いを重ね、そのたびに意思を確認し、結論に至った。7月7日に退院した。
退院後は、より一層健康に気を配った生活を送り、定期的な検査を受けている。経過観察を続けているが、hCG値は下がり、現状は安定しているという。
闘病中、絨毛性疾患の情報の乏しさが不安につながった。自身の闘病体験を事細かに発信する理由として、「ネットで調べてもあまり分からないことが多く、少しでも役に立てたらという思いがあります。こういう体験談もあるよね、ぐらいのフランクな感じで受け取ってもらえたら」と話す。実は、入院中は体温や血圧、食事内容、副作用の症状、使用した薬剤名とその効果まで詳細に書き留めた「闘病ノート」をつけていた。病気と闘った証しであり、“誰かのために”という思いが込められた資料でもある。

仕事復帰「裏方としてでも携われるなら。それだけでも幸せです」
なぜ自分が病気になってしまったのか。そう悲観することはないという。「私はこれまでにも複数の子宮の病気にかかったことがあります。過去の病気が関係しているのか、お医者さんに聞きました。お医者さんは『それらは関係なくて、たまたま引き寄せてしまったのだと思います』と話していました。ある意味、運なのかな。そう思っています。これも自分の運命なのかなって」。
そのうえで、多くの女性に向けてこう呼びかける。「もともと体は強い方だという自負があったのですが、20代でもがんになるんだと、自分自身びっくりしています。健康であることはやっぱり大事なことだなって。不正出血などの異常があった際は、自分の判断だけで“大丈夫だろう”と思い込まず、一応婦人科に相談してみて、必要ならば検査を受けることが大切だと思っています」。
退院して1か月あまりで、抜けていた髪が生え始めた。髪の毛が少しずつ伸びていくことで、生きていることを実感できている。病気を経験して、「私はわりと楽天的で、何も考えずに生きてきた部分があったのですが、一つ一つを大切にしていこうという気持ちが大きくなりました」と実感を込める。
退院後は、体調を最優先にしながら仕事にも復帰している。作品への出演は難しいと考えているが、裏方としてADの仕事に携わりながら、ファンとの接点となるイベント出演は続けていくつもりだ。
「入院中はファンの皆さんからのたくさんのメッセージに支えられました。本当にありがたく思っています。だからこの仕事からは離れたくない。この業界も作品作りも大好きなので、裏方としてでも携われるなら。それだけでも幸せです」。目に涙を浮かべながら心境を明かした。
きちんとごはんを食べる、ぐっすり寝る、自分が楽しいと思うものを楽しむ。当たり前だった日常のありがたさを改めて実感した。「できる限り、元気でいること。自分らしく生きていきたいです。当たり前の生活を当たり前に過ごしていきたい。それが一番ですね」。やわらかな笑顔を見せた。
※抗がん剤治療の中断は、病状の進行や再発などにつながるリスクがあります。本記事は個人の体験と判断に基づく記述であり、治療の継続・中断に関しては必ず主治医・専門医と十分に相談してください。
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