台風で“完全孤立”した住宅街 浸水被害の住民が明かす切実な不安「車も動かず買い物も歩き」【現地取材】
千葉や神奈川など関東地方を中心に甚大な被害をもたらした台風25号から10日あまり。千葉・酒々井(しすい)町の「開運団地」では、大雨の影響で崩壊した盛り土が用水路をふさぎ、大規模な冠水被害が発生し、住民が孤立状態に陥っている。今なお“陸の孤島”と化したままの現地を取材した。

冠水により車が使えないため、生活の足は徒歩に限られている
千葉や神奈川など関東地方を中心に甚大な被害をもたらした台風25号から10日あまり。千葉・酒々井(しすい)町の「開運団地」では、大雨の影響で崩壊した盛り土が用水路をふさぎ、大規模な冠水被害が発生し、住民が孤立状態に陥っている。今なお“陸の孤島”と化したままの現地を取材した。(取材・文=幸田彩華)
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都心から電車を乗り継ぎ、JR総武本線の南酒々井駅へ。無人駅から開運団地へ続く約300メートル、徒歩4分ほどの最短ルートは冠水によって通行不能となっており、道が水に沈み閉ざされた光景が広がっている。
現場では町役場が国土交通省から借り受けたポンプ車が24時間体制で稼働しているものの、排水作業は難航。坂や山道、階段が続く迂回路を15分ほどたどり、ようやく到着した団地は、車による侵入経路が完全に遮断されていた。
開運団地に約30年住んでいるという70代男性は、「ここまでの被害は初めて。以前にも一度冠水がありましたが、一番ひどい場所でも床下浸水で済みました。今回は床上どころか、ひどいところは胸の高さまで水につかっています」と肩を落とす。
団地内の用水路を兼ねる馬橋川には、盛土規制法施行前から複数の盛り土があり、町は土を搬入した複数の業者に撤去を求めてきたが、資金難を理由に撤去が進まない状況が続いていた。今回、残土によって用水路がふさがれたことで、一帯は冠水。水が引き始めたのは、台風から11日が経過した1日以降だといい、「ようやく水が引き始め、15センチほど下がりましたが、それまでは増え続けていて不安でしかなかった」と語る。
住民の多くは高齢者世帯。冠水により車が使えないため、生活の足は徒歩に限られているが、駅に出るまで山道を歩かなくてはならないため、食料の買い出しにも苦慮している。
「車の移動が一切できない。もう歩くしかない。幸い、総武線が動いているので、千葉や八街まで電車で買い物に行っています。物資の支援は何もない。腕いっぱいに2~3日分の食料を抱えて運ぶしかありません。生活排水もなるべく抑えるよう町からお願いされているため、排水にも気を使っています」
不適切な対応が指摘されてきた盛り土が招いたとみられる今回の水害。男性は「人災だと思っています。団地と町はずっと交渉はしてきたんですけどね、それも(撤去作業は)途中で止まってる状態でした」と憤りを隠さない。
一向に復旧作業が進まないなか、台風27号の接近も気がかりだ。「雨がない状態で、ようやく少しずつ排水できている状態。これ以上雨が降るとまた水位が上がってしまう。大雨になれば消防の排水も追いつかなくなる」。早急な対策と支援が待たれる。
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