「この裏切り者」チーバくんに襲い掛かった“自粛警察” 県が明かした活動休止と再開の舞台裏
千葉県のマスコットキャラクター「チーバくん」が9月28日、見合わせていた県外での活動を再開した。わずか4日前に休止を発表したばかりだったが、その背景には「自粛警察」ともいえる一部のネットユーザーから浴びせられた理不尽な批判があった。なぜ県外活動を一度休止する事態となり、そこから活動再開へと踏み出すことができたのか。千葉県総合企画部報道広報課の担当者に詳しく聞いた。

「台風から逃げた」「裏切り者」…チーバくんに殺到した心ない声
千葉県のマスコットキャラクター「チーバくん」が9月28日、見合わせていた県外での活動を再開した。わずか4日前に休止を発表したばかりだったが、その背景には「自粛警察」ともいえる一部のネットユーザーから浴びせられた理不尽な批判があった。なぜ県外活動を一度休止する事態となり、そこから活動再開へと踏み出すことができたのか。千葉県総合企画部報道広報課の担当者に詳しく聞いた。
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「お友達のみんなへ 先週は、やさしいコメントをたくさんくれてありがとう いろいろ悩んじゃったけど、今日から、県内外で活動することにしたので、見かけたら声かけてね~」
9月28日、チーバくんは公式Xで県外活動の再開を発表した。これに対して、SNS上では「おかえりなさい!チーバくんは、今まで通りでいいんだよ」「チーバくんは千葉県民の誇りです。がんばれ~!」などと歓迎の声が相次いだ。
チーバくんは9月24日、「しばらくの間、県外での活動をお休みすることになりました。今は千葉がたいへんなときだから、チーバくんにできることを一生けんめいがんばります!」と県外活動の休止を発表。これを受け、9月26~27日に群馬・前橋市で開催された「ご当地キャラカーニバルinぐんま2026」への出演も見合わせていた。
千葉県では9月20日から21日にかけて台風25号の影響で大雨となり、土砂崩れや道路の冠水など各地で被害が発生。そんな最中、チーバくんは大阪で開かれていた千葉県の期間限定アンテナショップでPR活動をしていた。
9月21日にチーバくんが登場した際の様子が一般ユーザーによってSNSに投稿されたことから、事態は思わぬ方向へ転がった。県の担当者はこのように話す。
「SNS上で『千葉県が大変な時に逃げ出したのか』『この裏切り者』などの批判的なコメントが多数投稿され、一時はXのトレンド3位になるほど炎上してしまいました。いったんは静観していたのですが、その後、チーバくんが被災した県民に寄り添う投稿をすると、そこもひどいコメントで埋め尽くされるような状況になりました」
実際、チーバくんの被災者に寄り添う投稿を確認すると、「大阪へ亡命してたのによく言えたもんだな」「お前台風から逃げて梅田にいたやんけ」といった批判がコメント欄で散見された。
批判コメントには、深刻な災害や社会的な問題が起きた際、他人に過剰な自粛を求める「自粛警察」を思わせる言葉が見受けられる。また、いわゆる「ネタ」として面白半分に書き込まれたものも少なくないようだが、それが集まれば“言葉の暴力”となる。
千葉県民からも、こうした批判を疑問視する声が上がっている。千葉市内に住む70代の女性は、相次ぐ災害に心を痛めてきたが、それでもチーバくんへの批判に対しては「そんなことを言われるのはおかしい。筋違いだと思う」と首をかしげる。
さらに女性は、「深刻な被害を受けた観光スポットがある一方で、千葉県にはたくさんの名所・名物があります。千葉が立ち直ってまた元気になるためにも、チーバくんには県をPRするために全国で活動を続けてほしいです。千葉県民の1人としてチーバくんを応援したい」と話した。
「チーバくんを守るためにも」県が明かした活動休止と再開の裏側
県がチーバくんの県外活動休止を決断した理由は、一つ一つの書き込みというより、おびただしい数の批判が集中している状況だったという。
「本来、チーバくんのアカウントを訪れる方は、癒やしやほっこりとした雰囲気を楽しみにされていると思います。そこで嫌な思いをさせることは避けたい。また、このまま県外活動を続ければ、心ないコメントがさらに増える恐れがありました。チーバくんを守るためにも、速やかに対処すべきだと考えました」
ところが、9月24日に公式Xで県外活動の休止を発表すると空気は一変した。チーバくんへの批判は姿を消し、全国から応援や活動再開を求めるコメントが続出した。その数は「こちらも予想できないほど」だったという。
9月25日には、熊谷俊人知事がXで「どんどん県外に行って千葉を元気づけてください。自粛は必要ありませんよ。チーバくんの県外での活動にもやもやする方は私や県庁にご意見ください」と発信。担当者は「チーバくんの復帰を後押しするための投稿で、県外活動再開に当たり、大きな影響がありました」と明かす。
ファンからの励ましの声や県知事の発信に加え、熊本県の「くまモン」からは「復興に向けて一緒に前に進んでいくモン」、群馬県の「ぐんまちゃん」からは「無理しないでね!また会えるのをたのしみに待ってるよ」と、全国のキャラクターからエールも届いた。そうした熱い声が活動再開を後押しした。
「キャラクターや全国の皆様から応援、励ましをいただき、チーバくんがこんなにもたくさんの方に愛されていたのかと、改めて実感しました。本当にありがたく思っています」
名前も形も千葉県を表し、県民からも愛されているチーバくん。担当者は「今回いただいた皆様からのエールを力に変えて、これからも県内外を問わず、チーバくんの役割である千葉県のPR活動に取り組んでいきます」と話した。
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