「東京女子を知らない人がまだ多い」最高峰王者・荒井優希が明かす悔しさとベルトを背負い続ける覚悟

3.29両国国技館大会で、念願のプリンセス・オブ・プリンセス王者となった荒井優希。プロレスデビューから5年、SKE48を卒業して1年で、東京女子プロレスの最高峰王座を手に入れた。そして10.3 EBARA WAVE アリーナおおた大会では、鈴芽をチャレンジャーに迎え5度目の防衛戦に臨む。その荒井へのインタビュー後編では、理想の王者像について聞いた。

王者としての自分を語った荒井優希【写真:橋場了吾】
王者としての自分を語った荒井優希【写真:橋場了吾】

新品は好き、でも旧ベルトには「間に合わなかった」

 3.29両国国技館大会で、念願のプリンセス・オブ・プリンセス王者となった荒井優希。プロレスデビューから5年、SKE48を卒業して1年で、東京女子プロレスの最高峰王座を手に入れた。そして10.3 EBARA WAVE アリーナおおた大会では、鈴芽をチャレンジャーに迎え5度目の防衛戦に臨む。その荒井へのインタビュー後編では、理想の王者像について聞いた。(取材・文=橋場了吾)

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 3.29両国国技館大会。荒井優希は渡辺未詩に勝利し、見事第17代プリンセス・オブ・プリンセス王者になった。

「自分が東京女子に来たときに、先輩たちが夢の舞台として上げていたのが両国国技館でした。両国大会に向けて、みんなで頑張りたいという話をよく聞いていたんです。(荒井自身が出場した中では)1回目の両国のときがインター(ナショナル・プリンセス王座)のベルトへの挑戦で、2回目で先輩もたくさんいる中で、私と未詩さんでメインに立てたというのは嬉しいですし、ここまで来れたことをまず褒めたいなと(笑)。でも、責任重大というか、その前の試合では素晴らしい選手たちがつなげてくれたので、最後に出るのはすごいプレッシャーではありました。

 ベルトを持っていないときでも自分が引っ張りたいという気持ちはありますし、むしろわかりやすいプレッシャーがない方がのびのびできるのかもしれない……自分にはその方が合っているとは思っていましたし、東京女子にとって私がベルトを持っていることがいいのかなとも思ったこともあって。でも、荒井がここにいる意味を自分の中でちょっとずつ見つけられたらいいなと思いましたし、チャンピオンとしていてほしいと少しでも多くの人に思ってもらえるように頑張ろうって思うようになりましたね」

 この大会から東京女子プロレス管轄のベルトが一新し、荒井は新ベルトを初めて巻いたプリプリ王者になったわけだが……。

「新品は大好きなので嬉しいです(笑)。その新品のベルトの価値をガンガン上げていかないと。でも……ちょっと寂しさもあります。私がずっと見てきたベルトは、これじゃないから。(旧ベルトには)間に合わなかったんだと思います。先輩たちが争っていた、私が見てきたベルト。新品は好きですけど……好きですけど、そっちには間に合わなかった。去年7月に瑞希さんに勝っていたら、間に合ったんですけどね。その寂しさはあります」

すでに4度の防衛に成功、新ベルトが板についてきた【写真:(C)東京女子プロレス】
すでに4度の防衛に成功、新ベルトが板についてきた【写真:(C)東京女子プロレス】

ベルトが似合うようになってきたと言われるのは不思議な感覚

 荒井はその後4度の防衛に成功。特に7.16後楽園ホール大会では、山下実優にシングルで初勝利。そして10.3EBARA WAVE アリーナおおた大会では、同じ年齢であり、荒井からインターナショナル・プリンセス王座を奪った鈴芽が相手だ。

「これまでとは立場が違いますし、6WAYとは違って確実に1vs1で向き合える試合で山下さんに勝てたのは、感覚的に全然違いますね。鈴芽さんに関しては、1試合1試合結果を残して駆け上がっていく姿を見ていたんですが、羨ましくもあり戦いたいなとも思っていたので、(挑戦表明は)嬉しかったですね。同世代の鈴芽さんが『東京プリンセスカップ』で優勝したのを見て、刺激的でもあって嬉しくもあって、その同世代の鈴芽さんとビッグマッチのメインで試合ができるのも嬉しいです。私は地上から離れられないので(笑)、鈴芽さんみたいに飛ぶ選手との試合は不安がいっぱいです。ただ(2025.1.4に)負けて以来のシングルなんで、勝たないといけないんですよ」

 ここで改めて、2021年5月にプロレスラーとしてデビューした荒井に、現状について聞いてみた。

「(デビューした当初は)何も想像していなくて、こんな続けているとも思っていなかったですし……私がチャンピオンになったら、(ファンの方が)応援のしがいがないのかなとも思っていました。私は勝手に、自分は挑戦者が似合うと思っていたんですよ。“挑み続ける”ところが、応援してもらえる理由だと思っていて。アイドル時代は、そういう姿が好きってずっと言ってもらっていたので、『チャンピオンになったときに、みんなはどういう気持ちで私のことを見るんだろう』と。5年でここまで来て、不安もちょっとあったんですよ。でも、意外とチャンピオンとして戦っている私を好きだと言ってくれる方々が多くて、すごくびっくりしました。ベルトが似合うようになってきたと言われて、不思議な感覚でしたね」

 山下に勝利した7.16後楽園大会のバックヤードには、TikTok用のカメラが備え付けられていた。その映像に映っていたのは、リラックスして笑顔を見せる荒井の姿。数分後、自分のテーマ曲がなるタイミングで、だ。

「もう、一周しているんですよ。(筆者「一周?」)はい、意味ないって知っているんです、緊張しても。これはとっくの前に気づいていて、緊張しても意味がないので平常心でいた方がいいんです。あのタイミングで、あれしようこれしようと考えても遅いですから。日々の蓄積があれば大丈夫、というか入場したら飛んじゃいますから(笑)。どうせ飛んじゃうんだったら、あれこれ考えても意味がないから平常心でいる、ですね。ダンスもプロレスも、それまでにしっかり練習しておこうよ、という感じです」

 最後に、改めて王者・荒井優希としての抱負を語ってもらった。

「私の性格上、みんなを引っ張っていけるタイプではないんですけど、このベルトがやっと一歩前に出られる力をくれましたね。3月にベルトを取って、まだまだ変えられていないのは悔しいです。お客さんがたくさん来てくれるようになっているのは感じていて、それはすごく嬉しいんですけど、まだまだ東京女子を知らない人が多いので。
 
 プライベートの友達は、私がプロレスのチャンピオンであることにすごく食いついてくれるんですけど、逆に言うと『知られていない』ということなんです。その知ってもらえるきっかけを、私が作らなきゃいけないのに、自分のことで精一杯でその段階まで行けていないことが悔しいですし、申し訳ないという感じです。なので、10.3で防衛して、このベルトを持って東京女子をまだ自分が背負っていたいなと思っちゃいますね」

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