母親に漢字ドリル破かれ、泣きながら深夜に修復 年内引退のセクシー女優・MINAMOが明かした特異な幼少期

2026年末でAV女優を引退するMINAMOが14日に初の自伝的小説『母の泥舟』を発売した。自身の半生と向き合った執筆の背景には、本に没頭せざるを得なかった特異な幼少期や、家族との葛藤、そしてそれを乗り越えた心の変化があった。

インタビューに応じたMINAMO【写真:井上学】
インタビューに応じたMINAMO【写真:井上学】

自伝的小説『母の泥舟』を14日に発売

 2026年末でAV女優を引退するMINAMOが14日に初の自伝的小説『母の泥舟』を発売した。自身の半生と向き合った執筆の背景には、本に没頭せざるを得なかった特異な幼少期や、家族との葛藤、そしてそれを乗り越えた心の変化があった。(取材・文=島田将斗)


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 本を読むことが好きだったMINAMOにとって、小説を出版することは長年の夢の一つだった。きっかけとなったのは映画情報メディアでの連載を書籍化したフォトエッセイ『惑溺 MINAMOフォトエッセイ』。これを読んだKADOKAWAの担当者から「このエッセイを書く人が物語を書いたらどうなるのか見てみたい」とオファーを受け、その言葉に押される形で執筆に挑戦した。

 読書にのめり込む原点となったのは、小学3年生の時に実家から突然テレビが消えた出来事だ。どうやって誰が捨てたのか今でも不明なほど唐突だったが、大人になって母に経緯を聞くと、「個性を消されてほしくない」「大事な時期にテレビの脳になってしまう」という意向だったことが判明した。それまでは食事中こそ禁止されていたものの、帰宅後は当時の小学生から絶大な支持を得ていたアニメ『銀魂』を見るのが日課だった

「えーって思いました。明日から友達と話とかできないじゃんとか思って、小学生ぐらいの時はまあ恨んでいましたね。なんでそんなことせんでいいやんって」

 家から娯楽がなくなり、家にあった山本周五郎、宮沢賢治、村上龍、村上春樹の4人の本を読むようになった。

「初めて読んだのが宮沢賢治で、難しい言葉もあったんですけど、すごい面白く感じて。何もないんで、学校から帰ってきたら食事とお風呂以外はずっと本読んでいました。突然なくなるのはびっくりしたけど、テレビを見せない環境にしてくれて良かったと思っています。じゃないと本を読むことが好きじゃなくなっていたかもしれないし、自分で知ろうとする探求心も、テレビは無くしてくれて良かったなと思ったりしますね」

孤独な学校生活について語った【写真:井上学】
孤独な学校生活について語った【写真:井上学】

低学年で「友達なんていらねえ」

 当時の学校生活は孤独なものだった。ADHDに対する知識が教育現場に乏しかった時代。できないことが多いMINAMOは、学校側から「ただの怠惰」だと思われていた。

「なんでできないんですか、なんでやらないんですかみたいなのを言われる毎日で。いい先生にもあんまり恵まれなくて、学校は楽しくなかった。終わったら速攻帰って。小川に行って、道に寝そべって本読んだりしていました」

 友達は少なく、小学校低学年までは、未整備の駐車場の砂利の中から毎日お気に入りの石を見つける遊びも1人で楽しんでいた。また、小学1年生から鍵っ子だった彼女は、寂しさもあってか「私は飛べるんだ」といった嘘を友達についてしまったという。

「しょうもない嘘をつきまくっていて、それで『何この子』みたいになるじゃないですか。ある日突然グループにいたんだけど、話しかけても無視されるとか、よくあるいじめもありました。でも、1人遊びとか好きだったから、友達と遊ぶことが一番楽しいとは思えてなくて。低学年で『友達なんていらねえぜ』みたいに生きていたので、1人の時間も好きだったし楽しく過ごしていました」

 家庭内でも心休まる時間は少なかった。一般常識に厳しい両親のもと、忘れ物が多く宿題を出せないMINAMOは日常的に怒られていた。いまだに許せない記憶として残っているのが、宿題をやらないことにいら立った母親に漢字ドリルを破かれた事件だ。

「宿題をやらなくて『じゃあこんなんいらんやなー』って言ってビリビリって破いて。私が深夜に泣きながら、セロハンテープで全部貼り付けるみたいな。学校行ったらめっちゃ恥ずかしかったし、ずっと使い続けなきゃいけないから。それは今でも許してないですね(笑)」

「やりたくなくてやってないわけじゃない」という思いが強く、怒られるたび、母には唇を尖らせるなど分かりやすく不満をあらわにした。そのうちMINAMOの特性を理解してくれたようで「高校生ぐらいからはあんまり厳しくなくなって、逆に支えようとはしてくれていました」と明かした。

MINAMOが読者へ向けた思いとは【写真:井上学】
MINAMOが読者へ向けた思いとは【写真:井上学】

「私の本をきっかけにもう一度自分の中にある傷と向き合って」

 一方で、無愛想で不機嫌になると物を蹴ったり投げたりする父親の顔色を常にうかがい、ひどく萎縮して過ごしていた。その影響は大人になっても残り、他人の「ため息」や「物を置く大きな音」に過敏に反応してしまうという。

「ため息とかつかれたら『え、なんでため息ついたの? なんか嫌なことした?』みたいな。人が物を置く時に大きい音を出して置く人は、不機嫌だって思っちゃうからもう絶対付き合えないです。

 今まで人の顔色ばかりうかがってきたからだって思うとすっごい悲しくなったりしていました。自分が親の元で頑張って身につけたスキルが、いざ社会に出たら悪い方に出ちゃうんだって。大事な人を傷つけたり失ったりして気づいたりとかもして、LINEのメッセージとかが怖いのも全然抜けてはないと思います」

 しかし、周囲から「よく気がつくよね」「よく見ているよね」と褒められる経験を重ねるうちに、考え方は変化していく。

「自分にとってマイナスなことだけを気づくわけじゃなくて、人が困っている時とか、優しくしてくれたことにも多分気づける。その分、人に優しくできているんだって思うと、徳を積んでいるみたいな気持ちです。来世では自分のすごい理想とする人生に生まれ変われるのかなって思ったりします」

 厳しくはあったが、愛されていなかったわけではないからこそ、「『あんなことされた』と言ってちゃいけない、親に感謝して生きないと人間として成長できない」と考えてきた。歳を重ねて、自身も丸くなり親も丸くなったことで、現在親とは「仲良し」だという。関係が劇的に変化したのは、執筆活動。AVデビュー後に書いたコラムの最終章で母親について触れた際、それを読んだ母がショックを受けたという。

「『覚えてないけど、こんなこと言ってしもたんやったらほんまにごめんな』って謝られて。ずっと怒られてばっかりだったことを引きずってはいるんですよ。でもその時に、気持ちがフワッとちょっと軽くなったっていうのはあるから、この仕事をやってなかったら、私はちょっと沈んでいたかもしれないですね」

 大人になった今、実家を思い返すと、親も不器用なりに必死で家族を築こうとしていたと感じるようになった。

「洋服ダンスの上にドーンとテレビを置いたり、引き戸の前にテーブルを置いたり。そうやって家族ってものを親は必死に築いていこうとしていたんだろうなって。私が今子どもを育てきれるかって言われたらたぶん無理だと思う。『こうしてほしかった』って前面に出すのもいいけど、違う視点を考えてもいいのかなって。今まで逃げてきたんですけど、また新たな問題が出た時は、リアルタイムで向き合って家族で解決できればなと思います」

 今回の小説執筆において、MINAMOは自身の原点や過去の傷と深く向き合った。読者へ向けた思いをこう語る。

「私の本を読んで救われてほしいとまでは思わない。でも、多分本当に傷ついた人って、その傷を見ないようにして生きていってると思うから。私の本をきっかけにもう一度自分の中にある傷とちょっと向き合ってくれるとうれしいなって。あの時、お父さんやお母さんはこう思っていたのかなって、そういうふうに想像してもらえたらうれしいですね」

 そして最後には、これまでの活動を支えてくれた人々への深い感謝を口にした。

「紗倉まなさんをはじめ、AV女優をやりながら小説を出して道を作ってくださった先輩たちがいなければ、多分私の夢もかなわなかった。あと、フォトエッセイの連載もやってないとオファーもなかった。応援してくれているファンの人、この5年間たくさんお仕事くれた方々に感謝したいです。それがないと、やりたいこと何一つできなかったんで。本当に頑張ってきてよかったなって思います」

『母の泥舟』【写真:井上学】
『母の泥舟』【写真:井上学】


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■書誌情報

『母の泥舟』
○著者:MINAMO
○発売:2026年9月14日(月)
○発売・発行:株式会社KADOKAWA
○定価:1980円(10%税込)
○公式サイト:httpokawa.co.jp/product/322506000838/

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