「東宝シンデレラ」から10年・23歳神谷天音、起死回生でつかんだ『ウルトラマンテオ』ヒロイン…「いつか同郷の長澤まさみさんと」

ウルトラマンシリーズ60周年記念作品テレビ東京系『ウルトラマンテオ』(土曜午前9時)のヒロインを、キャリア10年の俳優・神谷天音(かみや・あまね=23)が演じている。2016年、第8回「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞。華々しく芸能界入りしたが、そこからの道のりは平坦ではなかった。焦り、葛藤が頭をよぎる中でつかんだ起死回生の大役。神谷に今の思いを聞いた。

真っ直ぐな瞳と艶やかな黒髪が印象的な神谷天音【写真:Jumpei Yamada】
真っ直ぐな瞳と艶やかな黒髪が印象的な神谷天音【写真:Jumpei Yamada】

静岡・磐田市生まれ 挑戦のきっかけは「面接の練習」

 ウルトラマンシリーズ60周年記念作品テレビ東京系『ウルトラマンテオ』(土曜午前9時)のヒロインを、キャリア10年の俳優・神谷天音(かみや・あまね=23)が演じている。2016年、第8回「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞。華々しく芸能界入りしたが、そこからの道のりは平坦ではなかった。焦り、葛藤が頭をよぎる中でつかんだ起死回生の大役。神谷に今の思いを聞いた。(取材・文=柳田通斉)


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 真っ直ぐな瞳と艶やかな黒髪。神谷は一つひとつ言葉を選びながら、自身の歩みを振り返った。

「オーディションを受けたきっかけは、母親の『大学受験では面接もあるから』でした」

 静岡・磐田市出身。第5回「東宝シンデレラ」オーディショングランプリ受賞・長澤まさみの故郷でもある自然豊かな環境で、神谷は生まれ育った。小学1年から高校1年までクラシックバレエに打ち込んだが、その原動力の一つは3歳上の姉の存在だった。

「姉がやることは、『絶対に私もやりたい。負けたくない』というタイプでした。『同じことをして、一番になりたい』。そんな気持ちが小さい頃からずっとありました」

 芸能界への憧れはなかったが、中学1年時に母親から思いがけない提案を受けた。

「ちょうどニュースで『これからの大学受験は面接も重視される方式に変わっていく』という話題が出ていたんです。それを見た母から『試しにこのオーディションを受けてみなさい。大人と話す経験を積んできなさい』と言われました。本当に面接の練習のつもりでした」

 初オーディションが、「東宝シンデレラ」。東宝と東宝芸能が主催し、長澤だけでなく、第1回では沢口靖子、第7回では上白石萌歌、上白石萌音、浜辺美波を輩出した名門審査会だ。第8回の総応募者数は9508人。神谷は書類審査と面接を突破し、ファイナリスト11人による最終審査へ進んだ。

「全く経験がないので、目の前にあることに必死に食らいついていくしかありませんでした。でも、初めてお芝居をやってみて『楽しい』と感じました。そして、『ここまで来たらグランプリを獲りたい』という思いが強くなっていました。結果は審査員特別賞。本当にうれしかったのですが、1番になれなかった悔しさを『これからにつなげていこう』と思いました」

 中学・高校時代は学業優先。地元の学校に通いながら、静岡から東京のレッスンへ通う日々が続いた。同じオーディションを経て事務所と契約した同期の俳優たちは、次々と上京。ゴールデン帯のテレビ連続ドラマで主要キャストを務める活躍などを知り、神谷の焦りは募るばかりだった。

「焦りはすごくありました。『自分は何もできていないのに…』と思って。東京に出てオーディションを受けても、結果を残せないことがずっと続きました。地元では学校もあって、やらなきゃいけないこともある。『もう、どうしたらいいんだろう』と、一人で迷っている時期は結構長かったです」

 転機となったのは、大学進学を機にした上京。2022年には映画『メイヘムガールズ』で主要キャストを務めるなど、少しずつ歩みを進めた。だが、大学生活も半ばを過ぎると、同級生たちは「就職活動」を意識し始めた。

「自分もこのまま結果が出なければ、今後どうするかを考えなければいけない」

ウルトラマン世代の父親に、サプライズでヒロイン決定を伝えた神谷天音【写真:Jumpei Yamada】
ウルトラマン世代の父親に、サプライズでヒロイン決定を伝えた神谷天音【写真:Jumpei Yamada】

 そんな背水の陣の状況で飛び込んできたのが、『ウルトラマンテオ』のオーディションだった。

「審査の回数がすごく多かったです。最終審査では男性キャストとのバランスを見る審査もありました。長くこの作品のことを考えたこともあり、『絶対に役をつかみたい』『絶対に芝居を続けていくんだ』という強い覚悟で挑みました」

 合格の知らせを受けた日、母親も静岡から上京していた。喜びを分かち合ったが、情報解禁日はまだ先。「お父さんには解禁直前まで内緒に」ということになった。

「実家に帰った時、テーブルの上にウルトラマンの人形を意味ありげに置きました。でも、なかなか気づいてくれなくて(笑)。やっと『これ、何?』となったところで、私から『ヒロインで出演が決まったよ』とサプライズで伝えましたが、なかなか信じてもらえませんでした。父は50代半ばで子どもの頃にウルトラマンを夢中で見ていた世代なので、『まさか』という思いだったようです」

『ウルトラマンテオ』は、故郷の惑星・H12を宇宙怪獣に滅ぼされ、地球に逃げて生き延びた宇宙人・テオ/光石イブキが主人公。神谷が演じるヒロインの風間エマは、イブキ(岩崎碧)と行動をともにする明心大獣医学部の学内サークル・天文研究会の会長で、明るく仲間思いでリーダー気質の21歳だ。人と関わる時にいったん慎重になる神谷にとっては、「一番かけ離れている役柄」だった。

「なので、テンションを上げられるようにコメディー作品を見て、面白い動きを参考にしたりしました。現場では、部室でメンバーを紹介するシーンが印象に残っています。私がうまくできずにいたら、監督が『じゃあ、みんなで一人ずつやってみよう』と提案してくださいました。共演者の皆さんが全力で手本を見せてくれて、最後に私がやるという流れを作ってくれたのです。あのチームワークには本当に助けられました」

次の目標は、朝ドラ、大河、長澤まさみとの共演…希望に満ちた神谷天音
次の目標は、朝ドラ、大河、長澤まさみとの共演…希望に満ちた神谷天音

主題歌『LINK HEARTS』も歌唱

 既に撮影は終了し、役作りのために染めていた茶髪も黒髪に戻した。初めての大役をやり切った今、その目はしっかりと前を見据えていた。

「これまでレッスンを重ねて、いろんな引き出しができました。今回、現場で役として生きることがすごく楽しかったですし、この先はアクションにも挑戦してみたいです。芝居を始めた時からの目標はNHK連続テレビ小説や大河ドラマに出演することで、絶対に叶えたいです。昨年は、憧れの先輩である長澤まさみさんに初めてお会いすることができました。その際にごあいさつはできたのですが、緊張し過ぎて同じ磐田市出身であることを言えませんでした。いつか長澤さんと共演できるように頑張りたいです」

 神谷はヒロインを演じながら、実は『ウルトラマンテオ』の主題歌『LINK HEARTS』(今月5日リリース)も歌唱していた。アーティスト名は、女性ボーカルユニットのASTRO DONUTSとされてきたが、その正体は神谷、和泉カンナ役の中田乃愛、シンガー・ソングライターのHarunaだった。

「『まさか自分が歌うことになるとは』という思いでした。ただ、歴史のある大事な作品の主題歌を任せていただいたので、『今、できる最大のものを出さなければ』と思ってやり切りました。ここから自分の可能性を広げ、いつか長澤さんとも共演したいですし、ミュージカルにも出演できるように頑張りたいです」

 「大学受験の面接練習」から始まった神谷のストーリーも早10年。これまでは長い助走期間で、ようやく大空へと飛び立つイメージが持てる段階になった。ウルトラマンシリーズでのヒロイン役は一つの勲章。神谷の「本当の戦い」がここから始まる。

□神谷 天音(かみや・あまね) 2003年6月20日、静岡・磐田市生まれ。16年、13歳の時に受けた第8回「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞。同期のグランプリは福本莉子。22年、映画『メイヘムガールズ』に主要キャストとして出演。趣味は読書、クラシックバレエ。特技は編み物。158センチ。

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