苦境に立たされるパチンコ業界 豊丸産業撤退の衝撃…攻めの姿勢を貫いた唯一無二の老舗メーカー

パチンコ・パチスロ業界は苦境に立たされている。7月28日にはパチンコ遊技機メーカーの豊丸産業が、パチンコ事業停止を発表。ユニークな機種を世に輩出し続けたメーカーの決断に、多くのユーザーから悲しみの声があがった。豊丸産業とはどのようなメーカーだったのか。長年にわたり専門誌のライターとして活動を続ける濱マモルが解説する。

豊丸産業がパチンコ事業停止を発表(写真はイメージ)【写真:写真AC】
豊丸産業がパチンコ事業停止を発表(写真はイメージ)【写真:写真AC】

豊丸産業のラスト機種は江頭2:50とのコラボ機となった

 パチンコ・パチスロ業界は苦境に立たされている。7月28日にはパチンコ遊技機メーカーの豊丸産業が、パチンコ事業停止を発表。ユニークな機種を世に輩出し続けたメーカーの決断に、多くのユーザーから悲しみの声があがった。豊丸産業とはどのようなメーカーだったのか。長年にわたり専門誌のライターとして活動を続ける濱マモルが解説する。(文=濱マモル)

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 衝撃のニュースが飛び込んできた。老舗メーカー・豊丸産業がパチンコ事業の停止を発表した。

 ホームページによると、1960年設立の同社は昨今の事業環境や経営状況を踏まえ、今後の事業継続について検討を重ねた結果、2026年7月31日をもってパチンコ事業の停止を決定したとのこと。設置中の機種に関しては「直ちに遊技ができなくなるものではない」とし、「各遊技機の検定期間中の設置・運営については各パチンコホールの判断で継続される」と記載している。

 豊丸産業と聞いて、読者の皆さまはどの機種を思い浮かべるだろうか。筆者としては、94年にデビューした『ドラドラ天国3』と、翌95年登場した『CRコマコマ倶楽部』が印象的。前者は3回ワンセットの権利物で、281分の1という軽い大当り確率で多くのファンを魅了した。

 後者は大当り確率330分の1、確変突入率15分の4、以後2回継続のフルスペックタイプ。シンプルながらも味わい深い演出が魅力で、通常大当りが確変へと昇格する、当時では画期的な「再抽選」機能も採用していた。近年では演歌歌手・坂本冬美とコラボした後継機も人気だった。

 96年に誕生した一般電役『ナナシー』は、同社の代名詞ともいえる1台だ。大当り確率158分の1は、当時では破格の数値。大当り消化中にも大当り抽選が行われることから、ヒキ次第では一気にまとまった出玉を得られた。また、同機は伝説のパチプロ・田山幸憲氏が愛したことでも有名。2015年には、日本記念日協会に7月4日を「ナナシーの日」と認定された。

 豊丸産業は、他業種企業とのタイアップという、斬新な手法を用いたことでも知られている。餃子の王将、ソフトオンデマンド、すしざんまい、高須クリニック。2013年にリリースした『CR餃子の王将2』の新装初日、ストレートで10万円を溶かし、それをSNSでつぶやいたところ、同社の公式アカウントから「ドンマイ」との返信があって軽くイラっとしたものだが、今となっては笑い話だ。

 周知の通り、パチンコ業界は厳しい状況に立たされている。22年には『カイジ』シリーズなどを手掛けた高尾が民事再生法を申請し、オーイズミの子会社として再出発。23年には『花満開』『春夏秋冬』シリーズでおなじみの西陣が廃業を発表した。

 面白いものが売れる。それが理想ではあるのだが、どのジャンルにおいても、必ずしもそうはならない。営業力や宣伝力、その他諸々。さまざまな要素が合わさることで売り上げにつながるのが現実なわけで、となると、中小企業はより独創的なものを作り出そうと注力し、それが新たなカルチャーを生むこともある。

 豊丸産業は11年、『CRウィッチブレイド』にてヘソと電チューで確変割合が異なる「V-ST」を初めて搭載。25年からは超甘確率のLT機「超甘LT」、26年には、それを進化させた「遊moreLT」など積極的に新たなジャンルの創出に努めた。無論、大手メーカーがあぐらをかいているわけではないが、今後、攻めた台が減ってしまうのではないか。そう懸念するファンも少なくないのではなかろうか。

 いずれにせよ、ラストの台が『遊moreLT PエガブレイブVVV』というのは、ある意味、豊丸産業らしいという気もする。今まで、多くのマシンで楽しませてくれて、ありがとうございました。

□濱マモル(はま・まもる)フリーライター。1976年2月4日、神奈川県横浜市出身。大学卒業後、レコード会社勤務を経て、2002年に攻略誌「パチスロ必勝ガイド」でライターとしてのキャリアをスタート。パチンコ・パチスロやギャンブル系を中心に、音楽・野球・街情報など、幅広い分野で執筆する。趣味は飲酒、特技は料理。バンドマンとしての顔も持つ。

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