井上祐貴、30歳で実感した俳優としての変化「覚悟を持った顔に」 2度目朝ドラで見せた新境地
俳優の井上祐貴が、30歳の節目に新たな挑戦を続けている。NHK連続テレビ小説『風、薫る』(月~土曜午前8時)では、これまでのイメージを覆すような役柄に挑戦。7月31日には、初のフォトブック『MADEKARA』(東京ニュース通信社刊)を発売した。22歳で俳優の道を歩み始めてから8年。初主演作『ウルトラマンタイガ』、コロナ禍での葛藤、大河・朝ドラへの出演を経て、井上は今、どんな“顔”で次のステージを見据えているのか。

初のフォトブック『MADEKARA』を発売
俳優の井上祐貴が、30歳の節目に新たな挑戦を続けている。NHK連続テレビ小説『風、薫る』(月~土曜午前8時)では、これまでのイメージを覆すような役柄に挑戦。7月31日には、初のフォトブック『MADEKARA』(東京ニュース通信社刊)を発売した。22歳で俳優の道を歩み始めてから8年。初主演作『ウルトラマンタイガ』、コロナ禍での葛藤、大河・朝ドラへの出演を経て、井上は今、どんな“顔”で次のステージを見据えているのか。(取材・文=中村彰洋)
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井上にとって、2作目となる朝ドラ出演は、オーディションで手にしたものだった。今作で演じる横沢は、これまでの“井上祐貴像”を壊すかのような挑戦的な役柄。最初に説明されたのが、「陽気なイタリア人」という一言だった。
「僕に対してそういうイメージってあまりないと思うんです。そういう役をやったことがないので、うれしかったです。自分の中の引き出しが増えますし、『試されているな』と、気合が入りました」
『虎に翼』(2024年)以来となる朝ドラ出演だったが、「朝ドラならではの独特な雰囲気というものはありました」と振り返る。カメラマンをはじめとしたスタッフには『虎に翼』からの顔なじみも多く、「帰ってこれたといううれしさもありますし、変わらずアットホームな空間でした」と明かす。「ちょっと肩の力を抜いた状態で現場に入れた気がします」。
2023年には初大河『どうする家康』に出演。翌24年には朝ドラ『虎に翼』、25年に『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』、そして今回の『風、薫る』と大河と朝ドラへの出演が交互に続いている。さらには、27年1月からNHK総合でスタートするドラマ10『デンジャラス』と、NHK作品への出演が続くが、これも井上が信頼を勝ち取っている証だ。
「昨年主演を務めさせていただいた『明日、輝く』(25年/NHK)で監督をされていた板垣麻衣子さんが、『デンジャラス』のプロデューサーを担当されていて、そのご縁でお声を掛けていただけました。期待してくださっているからこそ、呼んでいただけたと思うので、期待を裏切りたくないですし、良い方向に裏切っていかないといけないなと気が引き締まります」

30歳で振り返った過去、支えてくれた周囲の人々への感謝「自分は一人じゃない」
6月6日には30歳という節目の誕生日を迎えた。初のフォトブック『MADEKARA』も7月31日に発売された。同作は、「TVガイドdan」で連載されていた『井上祐貴の○○男子図鑑』を1冊のフォトブックとしてまとめたものだ。
「今回のフォトブックでは、いろんなシチュエーションで撮影をしていただいて、それぞれのテーマごとに、僕のその時の感情などをつづっています。30歳というタイミングで出させていただくので、これまでを振り返ってみたりもしました。そういった文章などを考えていると、写真集とはまた違うなと感じました」
「○○男子」にちなみ、「和装男子」や「弓道男子」などさまざまなシチュエーションで撮影が行われた。「かなり挑戦的なカットもあったので、僕も何が正解か分からずに撮っていました」と笑いながらも、「見てくださった皆さんから『いつも見ない姿を見れて面白い』などの反応がいただけたので、良かったです」と手応えも感じている。
タイトルとなった『MADEKARA』はマネジャーの発案だった。「ゴールではなく、通過点に過ぎない。ただ節目ではあるので、これまでを振り返りつつ、これからを見据えてまた走り出していくという分岐点になればいいなと思っていたので、とてもしっくりきました」。
これまでは節目というものにあまり意識を置かない性格だった。だが、周囲から「もうすぐ30歳だよ」といった声をもらううちに、「ちょっと見つめ直してみるか」と意識が変化していった。改めて振り返ってみた時に、転機だったと感じるのが初主演作『ウルトラマンタイガ』(2019年)とコロナ禍での経験だった。
「デビューからまもない時期に『ウルトラマン』をやらせていただいたので、どうしてもヒーロー芝居がなかなか抜けず、悩んだこともありました。僕がデビューしてから2年たたないうちに、コロナ禍に入ってしまい、せっかく決まった仕事も無くなってしまったりと、今思うと本当に腐っていた時期でした。今その状況になったら、やれることもあるとは思いますが、当時は『最悪な時代に俳優業を始めてしまった』と、落ち込んでいました。
でも、いろいろな経験をしましたが、役者を辞めようと思ったことは1度もないんです。『向いてないんじゃないかな』と思ったことは何回もあるんですけどね(笑)。『自分はなんで続けることができたんだろう』と考えた時に、家族や友達、マネジャーさん、事務所の方々、これまで現場で出会った人たち、そういった方々が気にかけてくださったことが大きかったなと改めて感じました。すごく力になりましたし、自信にもなりました。『自分は一人じゃない。頑張ろう』と思えるんです。フォトブックを作りながら、不思議とそういうことを思い返していました」

2026年は「吸収する1年に」
2025年は、3年ぶりの舞台挑戦となった『マクベス』、NHK大河『べらぼう』への出演とまさに「挑戦の1年」だった。「あの1年をもう1回過ごしたいかと聞かれると嫌ですね」と笑いながら本音をこぼす。
「とにかくプレッシャーだらけでした。初めは『マクベス』の稽古と『べらぼう』をぬっていました。『マクベス』本公演が始まってからは『べらぼう』の撮影がお休みに入ったので、埼玉公演と地方公演の合間でせりふを覚えるつもりだったのですが、気が休まるタイミングがなく、あっという間に大千穐楽でした。やっと『べらぼう』に集中できると思ったら、とんでもないせりふ量と、役を理解し求められている内容に直面した時、その壁の高さに『試されているな』と感じました。常に挑戦を続けていた1年でした」
それでも、1年を走り切ったことは確かな自信にもつながっている。「その時の150%を出せるように自分と戦い続けました。体調も崩さず、『よく頑張りましたね』と一言ぐらいは掛けてあげたいです」。
2026年は「吸収する1年にしたい」と意気込む。「今年も変わらず挑戦は続けていきますが、去年はアウトプットだらけの1年だった気がしているので、今年は、自分の足を動かして、いろんなところに行って、見て、感じて、インプットする1年にしたいです」。
22歳の遅咲きのデビューから8年。最も変化した部分については「顔ですかね」と笑う。「あの頃よりは覚悟を持った顔になれているんじゃないかなと思います」。30歳を迎え、これまでの経験を刻んだ“顔”で、次なるステージへ向かおうとしている。
□井上祐貴(いのうえ・ゆうき)1996年6月6日、広島県出身。2017年に「第42回ホリプロタレントスカウトキャラバン」で審査員特別賞を受賞。18年にミュージカル『ピーターパン』で俳優デビュー。19年に『ウルトラマンタイガ』でテレビドラマ初主演を果たす。現在放送中のNHK連続テレビ小説『風、薫る』に出演中。7月31日に初フォトブック『MADEKARA』を発売した。
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