佐々木蔵之介、昭和気質の刑事役も「台本はデータ派」 タブレット活用術と飾らない素顔

俳優の佐々木蔵之介が、今月19日からスタートしたWOWOWオリジナルドラマ『ALIUS -特定事象捜査ファイル-』(日曜午後10時、全6話)で主演を務める。演じるのは、警視庁捜査1課の刑事・佐野省吾。科学では説明できない不可解な事件に、科警研から出向中の神崎透流(中川大志)、バディの羽住杏奈(恒松祐里)とともに向き合っていく。佐々木が語ったのは、チャレンジングな作品に挑む面白さと、若い共演者たちとの現場だった。

インタビューに応じた佐々木蔵之介【写真:増田美咲】
インタビューに応じた佐々木蔵之介【写真:増田美咲】

WOWOWオリジナルドラマ『ALIUS -特定事象捜査ファイル-』で主演

 俳優の佐々木蔵之介が、今月19日からスタートしたWOWOWオリジナルドラマ『ALIUS -特定事象捜査ファイル-』(日曜午後10時、全6話)で主演を務める。演じるのは、警視庁捜査1課の刑事・佐野省吾。科学では説明できない不可解な事件に、科警研から出向中の神崎透流(中川大志)、バディの羽住杏奈(恒松祐里)とともに向き合っていく。佐々木が語ったのは、チャレンジングな作品に挑む面白さと、若い共演者たちとの現場だった。(取材・文=平辻哲也)


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「そんなにたってましたっけ、という感じです」

 約24年ぶりのWOWOW出演について聞くと、佐々木はそう笑った。今回は、WOWOWの連続ドラマでは初主演となる。

「こういうチャレンジングな作品でお話をいただいて、ありがたいです。監督が『マイホームヒーロー』でご一緒した山本大奨監督で、すごく安心できる監督だったというのもありました」

『ALIUS』は通常の刑事ドラマとは少し違う。事件の奥には、科学だけでは説明しきれない事象が潜んでいる。

「もう一つの人類がいたとしたら、みたいな話で、『そんな壮大な話をやるの?』と思いました。それを本当にコツコツ作ってきはったんだなと。じゃあ、ちょっと乗っかってみようかな、山に登ってみようかなと思いました」

 佐野省吾は、足で稼ぎ、自分の目で見て、耳で聞いたものを信じる刑事だ。昭和気質の男でもある。

「佐野は目で見て、耳で聞き、自分で感じたことを信じる人です。現場で大志くん・恒松さんのお芝居から頂くものも多かったですし、ロケ地の雰囲気や空気を感じながら、佐野というキャラクターを、撮影を重ねるごとに作っていった感じがします」

 佐野には、もう一つ大きな核がある。3年前に理由も分からないまま去った元妻・薫(坂井真紀)の存在だ。

「理由も分からずに妻に離婚を突きつけられた。その妻が事件のかぎを握っているかもしれない。これをなんとか解明したいという核を持ちながら、次から次へと不可解な現象が起こってくる。まさか、とても解釈しきれない、自分の容量を超えたことを突きつけられる。それを一歩一歩、肌で感じる怖さみたいなものがある。これはちょっと面白いなと思いながらやっていました」

 連続ドラマだからこそ、現場で役も変わっていく。

「1か月を重ねて演じていくうちに、そういう役の造形も作っていった感じですね。自分自身だけではなく、中川大志君とかと会話しながら作っていけた気がします」

 神崎透流を演じる中川との関係も、物語の中で変化していく。

「彼は最初、なんじゃこいつは、というところから入るんですけど、彼の言うことがちょっと現実味を帯びてくる。でも最後に、彼があんな結末になって……というドラマがすごくあるので、それは話を進めていって、自分の役を作っていた気がします」

若手共演者に感じた世代差「どんな体力してんねん」【写真:増田美咲】
若手共演者に感じた世代差「どんな体力してんねん」【写真:増田美咲】

「1本30分とは思えない」濃密な時間

 全6話で、1話30分。数字だけを見ると短い。だが、佐々木の体感は違った。

「僕は1時間ものを6本ぐらいの感覚でした。1本30分とは思えなかったですね。割とギュッと濃縮されている感じがしたので。起こる出来事の数とか登場人物の数とか、とても30分×6本という感じには見えないぐらいでした」

 シナリオにも手応えを感じていた。

「各話、最後の裏切りがよく作られていました。本当に。監督・スタッフの熱量であったり、僕たち役者が入る前に、どれだけ労力をかけてここまで作り上げてきたかが見えていた。現場が始まったら、ここはもう役者の力、腕力で、カメラのアングルで持っていくぞというのがあって、みんな現場で協力して作っていた感があります」

 現場では、中川、恒松という若い2人と組んだ。年齢差もある。ジェネレーションギャップを聞くと、佐々木は少し笑った。

「早起き大丈夫なんやなと思いましたね。僕は夜になったら集中力がないけど、全然やるなとか。中空きにゴルフの打ちっぱなしに行っているとか、どんな体力してんねん、というのはありました。底抜けの体力ですね」

 一方で、芝居では支えられたという。

「芝居に関しては、本当に2人には助けられています。しっかり作ってくれるので。助けられましたよ」

 劇中の佐野は、昔気質の刑事だ。では、佐々木自身に昔気質な部分はあるのか。

「僕、台本はもうデータ派です。昔は紙でスケジュールをほしいと言っていましたけど、データ派になってしまった。タブレットで読むんです。便利だから。何冊も持たなくていいからという感じです」

 ただし、何でもデジタルで済ませるわけではない。

「ネットで服を買ったり、カバンを買ったりはしたことがないです。物は買ったことがない。ホテルとエア(航空券)は買いますけど、他は買ったことないですね。服とかは、実際に着ないと大きさも分からへんし」

 昭和気質の刑事を演じながら、本人は台本をタブレットで読む。その距離感も、佐々木ならでは、かもしれない。

□佐々木蔵之介(ささき・くらのすけ)1968年2月4日、京都府京都市出身。神戸大農学部卒業後、広告代理店勤務を経て、劇団「惑星ピスタチオ」の旗揚げに参加。看板俳優として活躍し、1998年に退団して上京した。2000年、NHK連続テレビ小説『オードリー』で注目を集める。近年の主な出演作に大河ドラマ『麒麟がくる』『光る君へ』、TBS系連続ドラマ『ハンチョウ』シリーズ、映画『超高速!参勤交代』『空母いぶき』『ゴジラ-1.0』など。

○作品情報『ALIUS -特定事象捜査ファイル-』

 7月19日午後10時からWOWOWで放送・配信されている全6話のクライムサスペンス。警視庁捜査1課の刑事・佐野省吾は、3年前に突然去った元妻・薫の存在を心に抱えながら、不可解な事件に向き合う。都内の地下駐車場で、喉に4本のナイフが刺さった脳神経外科医の変死体が発見され、佐野は科警研から出向中の神崎透流、バディの羽住杏奈とともに捜査に乗り出す。出演は佐々木蔵之介、中川大志、恒松祐里、坂井真紀ら。監督は山本大奨、脚本は小島聡一郎。原作はALIUSプロジェクト/WOWOW・楽天。制作プロダクションは東北新社、製作著作はWOWOW。

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