ヘルプマークで悪ふざけ、嫌気が差した障がい者の“選択” 取得拒否した複雑胸中「不謹慎で許せない」
ヘルプマークを巡り、不適切な使用が問題になっている。体が不自由だったり、外見からは分かりにくい疾患を抱える人が対象となるはずが、ファッション感覚で身に着けたり、過度にアピールして電車の優先席を要求するなどの事例だ。このような風潮とイメージに嫌気が差し、対象であるのにヘルプマークの利用を拒否する障がい者もいる。当事者に話を聞いた。

障がい者を装うSNS投稿に衝撃…「承認欲求を満たす人物がいる」
ヘルプマークを巡り、不適切な使用が問題になっている。体が不自由だったり、外見からは分かりにくい疾患を抱える人が対象となるはずが、ファッション感覚で身に着けたり、過度にアピールして電車の優先席を要求するなどの事例だ。このような風潮とイメージに嫌気が差し、対象であるのにヘルプマークの利用を拒否する障がい者もいる。当事者に話を聞いた。
「ヘルプマークを本来の用途とは違う使い方をする人については、率直に申し上げて怒りを感じています。私は限定的ですが、障がいによる不便を感じることがあり、その不便を極力減らして過ごせるよう日々工夫してなんとか人並みの日常生活を送っています。障がいを抱えて人並みの生活に苦労する私が踏ん張っているのに、障がいがない人間がヘルプマークで楽をしたり、楽しんだりするというのはあまりにも怠惰で不謹慎で許せないです」
こう話すのは、2年前に精神障害者保健福祉手帳3級と診断されたジャムコさん(男性)だ。発達障害はヘルプマークの対象だが、現在も所有していない。
体調は「不測の事態に陥ると混乱しがちな傾向」はあるものの、平穏に暮らしていれば、常に支援や配慮が必要という状態ではない。電車やバスの優先席も、「本当に体調が優れない時しか座らないようにしています」と、その時の状態と照らし合わせて利用してきた。
だが、ヘルプマークを持たないと決めたのは、決定的な理由があった。
「障がい者なので取得すべきかと義務的な動機を感じたこともありましたが、その頃にXにてヘルプマークをこれ見よがしに掲げ、障がい者を装うように舌を出してほうけた顔をさらした写真を投稿する人物の画像を見ました。私は発達障害であることは自分の特性だと割り切って受け入れるようになりましたが、だからこそ、それを理由に腐りたくない、障がいとうまく向き合いながら自立した人間として生きたいという矜持(きょうじ)があります」
ヘルプマークを持って悪ふざけをしたSNS上の投稿は、猛烈な不快感となって記憶から離れなくなった。
「承認欲求を満たすためにそういった投稿をする人物がいるのを知って、『自分が苦しんでいる障がいの証を視聴数稼ぎの道具にするのは許せない』『こういう恥知らずと同列になりたくない』『基本的に日常生活に支障がない自分が持つと自分もそういう輩と思われ勘違いによる被害を受けるかもしれない』と感じました」
病気や障がいの有無にかかわらず希望すれば配布されるヘルプマーク
ヘルプマークは診断書の提出など、受け取るための条件や確認がない。たとえ、SNS上のバズる材料として使ったり、外出時にアクセサリー感覚で身に着けていたとしても、モラルが問われるだけだ。提示すると医療費の減額や公共交通機関、施設などの割引が受けられる障がい者手帳とも一線を画している。
「現在の状況を改善するには、まず障がい者手帳や正式な医師の診断書が必須だと思います。また、証明できる物がない人物がマークを使っていると分かった場合は、高額な罰金を支払わせるべきだと思います」と男性は指摘した。
5月には妊婦マークをつけて優先席に座っていた妊婦が、ヘルプマークをつけた乗客から「見えませんか? 譲って!!」と移動を求められたという投稿が物議を醸した。ヘルプマークの対象であっても、一部の心ない人の行動により、イメージが悪化し、本来、援助を受けるべき人たちが敬遠してしまうのは本末転倒といえる。
東京都福祉局は、公式サイト上で主なヘルプマークの対象について、「義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、妊娠初期の方など、援助や配慮を必要としている方」と明記し、趣旨に沿った適正な利用を呼びかけている。
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