「今の子どもたちは折れやすい」 人気RPG『メガテン』生みの親・鈴木一也氏が語るクリエイター育成論
人気RPG『女神転生』シリーズの生みの親として、ゲーム史にその名を刻む鈴木一也氏。現在はクリエイターとしての活動と並行し、専門学校の教壇に立ち、未来のゲームクリエイターの育成にも力を注いでいる。多忙な中、なぜ教育の道を歩み始めたのか。そして、現代の若者たちと向き合う中で、何を感じ、何を伝えようとしているのか。独自の育成論に迫った。

厳しい業界を生き抜く「成功体験」をつかませる
人気RPG『女神転生』シリーズの生みの親として、ゲーム史にその名を刻む鈴木一也氏。現在はクリエイターとしての活動と並行し、専門学校の教壇に立ち、未来のゲームクリエイターの育成にも力を注いでいる。多忙な中、なぜ教育の道を歩み始めたのか。そして、現代の若者たちと向き合う中で、何を感じ、何を伝えようとしているのか。独自の育成論に迫った。(取材・文=関口大起)
長年にわたり、ゲームクリエイターとして第一線を走り続けてきた鈴木氏。一方で「マネジメントはすごく苦手」だという。プロジェクトのリーダーとしてメンバーを率いる際も、メンバー間のトラブルなどに後になって気づくほど、「人間分かんないから」と語る。
しかし現在、鈴木氏は専門学校で教壇に立ち、次世代のクリエイター育成に情熱を注いでいる。その根底には、現代の若者たちに対する深い洞察と、ゲーム業界の厳しさを知る者ならではの親心があった。
「まずですね、ゲーム業界って厳しいんですよ。しかも、今の子どもたちって折れやすい。とにかくすぐポキンと折れちゃう。だから、成功体験をさせてあげたいんです」
鈴木氏が指導する学生は、ハツラツとした、前向きな子どもたちばかりではないという。中には心に傷を抱えていたり、自分に自信を持てずにいたりする学生もいる。しかし、彼らにとって、ゲーム制作は自己表現の手段であり、救いでもある。
「そういう子たちが作る企画に対して、『いいよ、すげえよ』『いい発想だよ』って褒めてあげる。とにかくゲーム1個を最後まで作り上げるサポートをして、『自分はできるんだ』というのを実感させてやりたい。それがもう一番ですね」
この「成功体験」こそが、未来のクリエイターにとって何よりの武器になる、と鈴木氏は語る。一度でも自らの手で何かを成し遂げたという事実は、確かな自信となり、心の支えとなる。
「成功体験を持っていると、業界に入った後も簡単に折れないんですよ。そこがね、すごく大事。ゲーム業界って、飛び抜けた才能がなくても、努力を続けてかじりついていれば、実は残っていけるんです。その頑張れる“根拠”を与えてあげたいと思ってやっています」
AIはクリエイターの敵か、味方か
教育現場で若者と向き合う一方、鈴木氏自身もまた、現代のテクノロジーと向き合い続けている。特に、近年目覚ましい進化を遂げるAIの活用には非常に積極的だ。
「もう、めちゃくちゃ使ってますよ」
現在、「小説家になろう」で連載『カクリヨ東京 ~自宅警備員★神の使徒となって異世界で死闘する~』を投稿している鈴木氏は、原稿の一次チェックや、オカルトや神話といった諸説が入り乱れる分野のファクトチェックにAIを活用しているという。
また、イラスト生成AI「Midjourney」を使って小説の挿絵やSNSでの宣伝用画像を制作するなど、その活用範囲は多岐にわたる。もはや鈴木氏の創作活動において、AIは欠かせないパートナーと言えるだろう。
さらに、ChatGPTやGeminiといったAIと日常的な会話を楽しんだり、SNSであふれるニュースのファクトチェックを依頼したり、といった活用もしているそうだ。
「最近はGeminiが速くて、答えも正確なことが多いですね。ただ、チャッピー(ChatGPT)のほうが付き合いが長いから、ついついなじみのスナックみたいな感覚で使っちゃいます。会話していても楽しいんですよ」
次世代を担うクリエイターたちにとって、AIの使いこなしは必須スキルになっていくことは間違いない。鈴木氏自らがその可能性を追求し、楽しむ姿は、教え子たちにとっても最高の道標となっているに違いない。
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