【DEEP】高校中退を止めた伊澤星花の“金言” 愛弟子・山内梨緒がMMAデビュー戦で勝利

格闘技イベント「DAYS Presents DEEP JEWELS 53」(24日、東京・ニューピアホール)でMMAデビュー戦を迎えた“伊澤星花チャレンジ”の山内梨緒(18)。見事な柔道仕込みのテイクダウンなどを見せ、判定勝利で初陣を飾った。柔道・柔術をバックボーンに持つ山内が、師匠の伊澤星花とともにインタビューに応じた。

師匠・伊澤星花の前で勝利を収めた山内梨緒(右)【写真:ENCOUNT編集部】
師匠・伊澤星花の前で勝利を収めた山内梨緒(右)【写真:ENCOUNT編集部】

「RIZIN甲子園柔術フェスティバルカップ2024」で準優勝

 格闘技イベント「DAYS Presents DEEP JEWELS 53」(24日、東京・ニューピアホール)でMMAデビュー戦を迎えた“伊澤星花チャレンジ”の山内梨緒(18)。見事な柔道仕込みのテイクダウンなどを見せ、判定勝利で初陣を飾った。柔道・柔術をバックボーンに持つ山内が、師匠の伊澤星花とともにインタビューに応じた。

 試合の感想を問われると、「少し緊張と楽しみっていうのが半々くらい。でも入場してからは緊張が上回ってきて、『やるぞ』という気持ちになりました」と語り、それでも「柔道に比べたら気持ちはちょっと楽で戦えましたね」と笑顔を見せた。

 その言葉の裏には、名門・北海高校柔道部で味わってきた壮絶なプレッシャーがあったという。

「高校の柔道部には『全階級制覇』という目標があって。他の階級は北海同士で決勝を戦うことが多く、全国行きがほぼ決まっているんですが、自分の52キロ級だけ違うところで。絶対に自分だけが取らなきゃいけないというプレッシャーが毎年ありました。それに比べたら、今回の“個人戦”はちょっと違う緊張感でしたね」

 しかし、デビュー戦は決して楽な展開ではなかった。1Rには強烈なボディーへの膝蹴りを被弾。誰が見ても分かるほど、苦悶の表情を浮かべる場面もあった。「めちゃくちゃ効いちゃって。初めて(あんな打撃を)もらったので『ヤバい』と思ったんですけど、そこで変に崩れないようにしないとって」と振り返る。

 ケージ際の組みの攻防では、右手で相手の脇を差すように指示が飛んでいたが、なかなかこれを実行できなかった。声は届いていたが、不安でなかなか実行に移せなかった。インターバル中には、セコンドについた伊澤から背中を叩かれ、「1R取られてるから、次は絶対いかないと」と気合を入れ直されたという。その言葉通り、2Rからは表情が変わり、前に出てテイクダウンを奪い、得意のグラウンドへ持ち込んだ。

 中学時代には柔道で全国5位、柔術では「RIZIN甲子園柔術フェスティバルカップ2024」で準優勝という実績を持つ山内。実は、伊澤聖花チャレンジのオーディションを受ける際、高校を中退して上京することも考えていたという。

「大学に行っても自分が学ぶものがないかなと思って。柔道は大学で腐るという話も聞いていたので、それだったら新しい道に進んで上に行けたらいいなって。5歳から十何年やってきた柔道はもういいかな、辞めてもいいかなって思っていました」

 大学推薦の候補も複数あった中での決断。両親も「受けてもいいんじゃない。落ちたら大学に行けばいいし、ダメなら柔術もあるから」と背中を押してくれた。高校の先生も最初は「人殴るの?」と驚きつつも、「こっちでやりたい」という山内の熱意を受け止め、応援してくれたという。

 そんな“前のめり”だった山内を諭したのが、他でもない伊澤だった。当時の山内は卒業まで残り数か月の状態。「せっかく推薦をもらって高校に行っているんだから、もったいない。最後までやり遂げたほうがいいよ」と落ち着かせた。

 その真意について伊澤は「あと半年くらいで卒業でしたし、せっかく2年半積み上げてきたものを途中で辞めるのはもったいない。やりきった経験って絶対次に生きるんです。何かを捨てて格闘技をやる選手は多いですが、そういう人は大体成功していないと思うんです。何かを途中で投げ出した選手は、試合でも途中で投げ出しちゃう。そうなってほしくないし、やりきった実績を持ってMMAを始めたほうが、将来何をするにしても役に立つと思ったんです」と丁寧に説明した。

 若くして頂点に立った伊澤のこの言葉に納得した山内は、高校生活を全うすることを決意。卒業までの間は、高校柔道部の先生からウエイトトレーニングのアドバイスを受けたり、地元の柔術ジムに通い詰めたりと、格闘家になるための準備期間に充てた。

「練習量が多い」と聞いていた伊澤星花チャレンジ。上京前は不安だったそうだが、なんとかついていけているという。「ただ、考えることが多くて難しい。試合中も伊澤さんの指示は聞こえているんですけど、どうやったらいいか分からなくなってしまって……」と明かすと隣にいた伊澤が「苦手なんだよね」と優しくフォローを入れた。

 デビュー戦で折れない心を見せた山内。インタビューでは緊張する様子なく、自分の胸の内を的確に言語化する姿が印象的だった。「もっと寝技で極められる選手になりたい」と“伊澤星花チャレンジ”1.5期生の18歳はすでに次を見据えていた。

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