安西ひろこ「私はギャルではなかった」 “カリスマ”と呼ばれた時代の葛藤と「超真面目」な素顔

モデル・タレントの安西ひろこは、2000年代に“ギャルのカリスマ”として一世を風靡(ふうび)した。人気絶頂だった01年にパニック障害と診断され、実に13年間にも及ぶ闘病生活を経て芸能界に復帰。実は内面的にもギャルとは真逆で、「期待を裏切ってはいけない」とプレッシャーを感じていたという。

平成のギャル文化を象徴する存在だった安西ひろこ
平成のギャル文化を象徴する存在だった安西ひろこ

「ギャルの“境目ガイド”が欲しい」と切望

 モデル・タレントの安西ひろこは、2000年代に“ギャルのカリスマ”として一世を風靡(ふうび)した。人気絶頂だった01年にパニック障害と診断され、実に13年間にも及ぶ闘病生活を経て芸能界に復帰。実は内面的にもギャルとは真逆で、「期待を裏切ってはいけない」とプレッシャーを感じていたという。(取材・文=小田智史)

 劇団で子役からスタートし、16歳だった1996年にグラビアデビューした安西。平成ギャルを代表するカリスマ的ファッションリーダーとして人気を集めた。

 かつては、「ギャル」と言えば、派手なメイクや髪型、露出の高いファッション、陽気なキャラクターがイメージとして定着していた。しかし、実際の安西は内面的にもギャルとは真逆。真面目で、「期待を裏切ってはいけない」との思いから抱え込んでしまった結果、パニック障害につながってしまったのではないか、と復帰後に自ら語っている。当時、体重は30キロ台にまで減ってしまったという。

「正直、何をもって『ギャル』というのか定義がイマイチ分かりません(笑)。“見た目”のギャルと、“中身”のギャルは違うじゃないですか。黒髪で清楚なのにマインドがギャルの人はたくさんいますし、逆に見た目ギャルなのに超真面目で礼儀正しい人もたくさんいるので、ちょっと物申したくなります(笑)。『ギャル=遊んでいる、不潔、時間にルーズ、ギャル語をしゃべっているチャランポラン』みたいな先入観は寂しいですよね。私は当時ギャルではなかったし、いまだにギャルじゃないと自分では思っています」

 かわいいファッションと金髪の女子が好きゆえに、いわゆるギャルに分類されるのではないかと、安西は自己分析する。

「私たちが10代、20代の時は、ギャルが経済を回していました。清楚な人の方が遊んでいたりするので、『ギャルに失礼じゃない?』『なんでそう思われちゃうの?』という気持ちはありましたし、周りの子も言っていました。どこがギャルで、どこがギャルじゃないのか本当に不思議。ギャルの“境目ガイド”が欲しいです(笑)。自分で言うのもなんですけど、私、超真面目です(笑)。経験上、真面目なギャルほど精神疾患になっている人が多かったですね」

20代までは心無い声に「傷ついた」

 1990年代や2000年代はテレビや雑誌が全盛の時代。そこからネット社会へと移り変わり、Xやインスタグラムでの発信は今や当たり前となった。「SNSが普及したのは大きな時代の変化だと思います」。一方で、SNSは“諸刃の剣”であることも身をもって体験している。

「私がギャルと言われていたころはSNS文化がなくて、テレビ・雑誌でしか自分の本当の気持ちを伝えることができませんでした。SNSがあるのはいいことだと思いますけど、今の時代はSNSで病んでしまう人も多いので、使い方次第だなとは思います。私メカに弱いので、まず慣れるのに大変でしたし、戸惑いました(苦笑)」

 安西は2024年9月、自身のYouTubeチャンネルで小学校・中学校・高校といじめられていた経験があったことや、ネットでの誹謗中傷について「嫌なことがあると逆にポジティブに考えるようにしている」と心境を告白していた。「10代、20代の時は年頃だったので、本当に傷つきましたね」。さまざまな経験を経て、今は心無い声にも冷静に対処できるようになったという。

「誹謗中傷はデビューしてからもうずっとです(苦笑)。ただ、以前にお世話になっている方から、『そういうことを言っている人も安西さんを好きな人のうちに入る』『“どうでもいい人”になったら、思い出されなくなるから』と言われて考え方が変わりました。好きだから、うらやましいから嫌い嫌いと言っているだけの人もいるから大丈夫だ、と。「『それ誰だっけ?』となったら、もう可哀想な人ですよ。だから、忘れられていないということは、ありがたいなと思っています」

 安西は昨年12月29日、左耳の突発性難聴をインスタグラムで公表。治療を続けるも聴力は戻っておらず、今年4月23日には、医師から治療終了とともに「耳鳴りは慣れるしかない」と告げられたことを告白している。

 それでも、自身初となるペットグッズのプロデュースに挑戦し、7月11日には表参道でローンチ記念ポップアップを開催することが決まるなど、前を向いて日々を過ごしている。

「突発性難聴だったり、つらい思いをしている人が自分だけじゃないと思ったら、私がそうだったように、少し安心感がありますよね。人間は群れをなして生活していく生き物なので、1人ぼっちになると怖くなる。自分だけじゃないと思ってもらえたらうれしいです。いつか、パニック障害と突発性難聴から私は選ばれた、という本を出したいと思っています。苦労から何から全てを書いて、ハッピーな内容にしたいですね」

 ありのままの自分を見せる安西の生き様は、きっと多くの人に勇気をもたらすに違いない。

□安西ひろこ(あんざい・ひろこ)1979年2月9日、神奈川県出身。1996年にグラビアデビューし、平成ギャルを代表するカリスマ的ファッションリーダーとして人気を集めた。現在はモデル・タレントとして活動しながら、ライフスタイルを通して「自分らしく楽しむこと」の魅力を発信し、多くの女性に支持されている。

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