桜庭和志が激白 なぜ観客目線に立てたのか 生きたプロレスの経験
山本美憂を始め、女子の試合は動きが素早い
――過去にいろんな選手が出ていますけど、例えば山本美憂さんはどうでしたか?
桜庭「面白かったですよ。最後、1本は取られちゃったんですけど、やっぱりレスラーが持つ体幹の強さを感じたし。また、機会があれば出てもらいたいですね」
ターザン「ちょっと待て。山本美優って、女子もあるのか?」
桜庭「女子も1回やっていますね。女子は体重が軽いから、結構、クルックル回るんですよ」
ターザン「やっぱり視覚的刺激を高めないと、見ている人はつまらないですよね」
――女子の大会にはKINGレイナ選手も出ていますね。
ターザン「『QUINTET』ではウエイトオーバーはしなかったの?(笑)」
桜庭「(無視して)レイナちゃんもドローでしたけど、結構、面白い試合でしたね」
――MMAより向いているのかもしれないですね。
桜庭「誰の試合でもそうですけど、ずーっと抑え込んでいる試合って、見ていても面白くない。だから面白くない試合にはどんどん『指導』が出ます。しかも『指導』の回数は個人だけじゃなくてチーム全体に響くようにして」
ターザン「チーム全体? どういうことですか?」
桜庭「例えば大将同士が引き分けになった場合、チーム全体の『指導』の数が多いほうが負けになるんです。だから、なるべく『指導』されないような試合になりますよね。
ターザン「あー、消極的なほうが負けになると」
桜庭「それが同じ数だったら、大将同士の判定で勝ちが決まるんです」
――「QUINTET」の厳しさが伝わってきます。
桜庭「正直、まだ僕も『QUINTET』では勝ってないないんですよ。負けとドローだから」
ターザン「え!」
桜庭「5年前にやりたかった。51歳ですよ、今(笑)」
ターザン「今までの話を聞くと、『QUINTET』というのは僕の想像よりはるかに進化を遂げてきていますね」
――山本さんから見て、例えばプロレスやボクシング、総合、キックボクシングがある中で、この「QUINTET」というのはどういう位置づけになりますか?
ターザン「やっぱり殴り合いでブチかましをやるほうが楽しいじゃない」
――「打撃は格闘技の華」だと。
ターザン「打撃というのは相手の存在を無価値にする力があるんです。戦争でも勝った者がその国を取るし、負けたほうは奴隷になるみたいな。だからグラップリングの『QUINTET』は地味だなあと思って今日ここに来たんだけど、細かいディテールを聞いたら、すごく興味が高いわけですよ!」
――見方が分かりましたよね。
ターザン「桜庭さんが思考を重ねながら、改良に改良を重ねながらここまで来たことを聞いて、めちゃくちゃ楽しかったですよ!」