動画広告の専門家が見るSNS“ビジュアル訴求”の未来像 「状況を打破するきっかけに」
インスタグラムの裏技テクニックを伝授!?
そんな栗山氏は、京都芸術大学で工業デザインに惹かれ、イタリアの大学院に留学。有名な自動車メーカーの現役デザイナーたちとの連携プロジェクトで切磋琢磨した。
「留学中に学んだことですが、普段街を走っているメルセデスベンツやBMWなどがロゴを外して走行していたとしても、絶対にメルセデスベンツやBMWって分かりますよね。一方で、日本の軽自動車だとどうでしょうか? おそらくどこのブランドか判断が難しい。
実は、欧州の自動車メーカーというのは、ブランド資産として継承すべきコンセプトや形状は残しながら進化させていく。つまりブランド資産を守りながら新しいものを作っていくという考え方なんです。私はこの考え方にすごく感銘を受けて、自分がやりたいことは、姿形をデザインするのではなく、ブランディングを戦略的にリードする仕事なんだって気付いたんです」
帰国後は、楽天やフェイスブック ジャパンでブランディング、クリエイティブ分野で活躍し、仲間とサイバークラフト株式会社を立ち上げた。
「サイバークラフトという会社では、これまでのノウハウを生かして、インスタグラムをどうやって広告として活用したらいいのか分からないという方たちのために、広告からランディングページ(商品購入ページ)に飛んでもらうための仕組みだったり、企業のイメージアップを目的とした広告のコンサルティングや動画広告制作を行っています」
現在は、地方にも目を向けてサポートを行っている。
「先日地方で講演をさせてもらったのですが、中心部の人口は約35万人程度でした。今は楽天やAmazonであらゆるものが買えるので、地方の小売店の方々は大変なんです。しかし、インスタグラムを使えば、地元の35万人を対象に商売を考える必要はなく、一気にリーチできる人数を35万人から日本のユーザーの3000万人以上に広げ、さらにもしバズるようなアカウントに育てられれば、今度は世界中のユーザーに広がる可能性が出てくると、そんなお話をさせてもらいました。コロナ禍でさまざまなダメージを受けているビジネスや個人事業主の方も多いと思いますが、これまで『デジタルやネットの世界は、よく分からないから』と敬遠してきた人も、これをきっかけにインスタグラムのようなSNSを活用していくことが重要な一歩につながると思います」
さらに今後は、日本の文化を海外に発信していく意欲にもあふれている。
「世界に知られていない日本の魅力を強く発信していきたいです。日本には素晴らしい文化や工芸品、技術、アートなどがあふれていますが、今の日本は発信力という点では海外と比較すると強くないと思っています。日本の良いものが世界中に発信されて日本のビジネスやマーケットが活性化されていく。そんな手助けをしていきたいと思っています」
最後に誰でも簡単にできるインスタグラムの裏技テクニックを教えてくれた。
「意外と知らない方も多いかもしれませんが、ストーリーズの動画の文字をレインボーカラーにする裏技があります。まず文字を打ち込んで、その文字を全選択します。選択した状態の1番右側に指を置いたまま、もう片方の指でカラーパレットの1番右側の紫色を抑えた状態にするとパレットが表示されるので、両方の指をゆっくりと左に動かしていくと文字がレインボーカラーになります。またBoomerang(ブーメラン)というインスタグラムの動画が作れる無料アプリを立ち上げて、4本指でタップすると動画の速度やループなどの細かい設定ができる画面が出てくる、そんな技もあるのでよかったらぜひ試してみてください」
□栗山修伍(くりやま・しゅうご) サイバークラフト株式会社創業メンバー。“クリエイティブ・ディレクター”。フェイスブック ジャパンで広告クリエイティブ戦略に従事。国内外のさまざまなクライアントの動画広告クリエイティブの監修を務める。インスタグラム、フェイスブック広告のプロフェッショナル。ブランディング広告から獲得広告まで幅広い知識とノウハウを持ち、広告目的に合わせた最適なソリューションの提案が可能。これまでに携わった広告の数は1万本以上。
※取材時、栗山さんはフェイスブック ジャパンを退職されており、在職当時の知見・経験と現在の個人的な見解を合わせてインタビューにお答えいただきました。
サイバークラフト株式会社:http://cyber-c.jp