中嶋勝彦が「悪彦」に…いまやヒーロー潰しが快感、ノア制圧に王手

「お前のヒーローごっこは、もう終わりだ」。何とも憎々しげに吐き捨てる中嶋勝彦。プロレスリングノアの最強が決定する「N‐1 VICTORY 2020」優勝決定戦(11日、大阪府立体育会館)を清宮海斗と争う中嶋だが、もはや「勝彦」ではなく「悪彦」と、呼びたくなるほどの悪っぷりだ。

憎々しげに悪態をつく中嶋勝彦【写真:柴田惣一】
憎々しげに悪態をつく中嶋勝彦【写真:柴田惣一】

「N‐1 VICTORY 2020」優勝決定戦で清宮海斗と激突

「お前のヒーローごっこは、もう終わりだ」。何とも憎々しげに吐き捨てる中嶋勝彦。プロレスリングノアの最強が決定する「N‐1 VICTORY 2020」優勝決定戦(11日、大阪府立体育会館)を清宮海斗と争う中嶋だが、もはや「勝彦」ではなく「悪彦」と、呼びたくなるほどの悪っぷりだ。

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 この夏までは、潮崎豪との名タッグ「AXIZ」で、ノアの先頭に立っていた。ファイトに加え、潮崎との息の合った掛け合いコメントで、人気を集めていた。

 ところが、突如、潮崎を裏切りノアの反体制ユニット「金剛」入りしてしまった。声を上げてはいけないコロナ禍の会場で、この時ばかりは悲鳴が上がった。観戦マナーには定評があるノアのファンに、思わず大声を上げさせたのだから、その衝撃を物語る。

 金剛入り後は、これまでに増して、情け容赦ない攻めに終始。定評のあるキックを乱射し、拳で相手の負傷箇所を痛めつけた。

 元々、悪ぶって、正論で畳みかける辛らつなコメントを発していたが、いまや「悪彦」そのものなのだ。

 キャリア16年を誇る中嶋。とはいえ、実はまだ32歳。15歳でデビューしており、貫禄を感じさせる落ち着き払った物腰もうなずける。まだ若いのに「人生の半分はプロレスラー」なのだ。

 2002年12月、長州力が立ち上げたWJに入門。空手を習得しており、03年9月、WJの格闘技イベント「X-1」でプロデビュー。レスラーとしては04年1月にプロ第1戦に臨んでいる。

 その後、佐々木健介に弟子入りし、健介オフィスに所属。健介との「親子タッグ」で、様々な団体に参戦し、多くのタイトルを獲得。シングルでもジュニア戦士として活躍した。全日本プロレス、ノアでも大暴れし、健介の引退を受けてヘビー級に本格参入。16年にノアに正式入団している。

 新日本プロレスのG1 CLIMAXにも参戦するなど、着々と実績も積み上げ、16年にはGHCヘビー級王座を獲得。7回の防衛を重ねた。

 15歳の少年は、いつの間にか、ふてぶてしさを身に着け、悪態を得意とするようになった。もはや中嶋は、徹底的に悪く、憎々しい。「風貌も表情も、コメントも、すべてが見ていてゾワゾワする」と評するファンも多いが「ゾクゾク」ではない、その「ゾワゾワ」は、鳥肌に近い何とも言い得ぬ感覚で、今までにない。拳王ともまた違う。

「若きヒーロー」清宮とは、あまりにも好対照。10・11大阪決戦では、ヒーローをいじめる悪漢に徹するのだろう。

 清宮を蹴散らした暁には「中嶋悪彦」とリングネームを変更するのではないかとさえ思う。今までにない新しいタイプの悪のヒーロー、中嶋に注目だ。

次のページへ (2/2) 【写真】ロープを使って丸藤を攻め立てる中嶋
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