――それは役として、ですね？

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鈴鹿「性的な意味じゃなくて、人として変態なところがありそうだなと思っていました。現場ではオフも出番もほとんど変わらずいてくださった。1人1人スタッフの方に目を配っていたし、カメラ、照明、マイクがどこにあるかを把握した上で、『立ち位置はここにしようか』と言ってくれた。そういう意味では変態なのかもしれないですが(笑)、いろんなことを直接言葉で伝えてくださった。それ以外でも見て学んだこと、感じたこともあります」

満島「央士と同い年くらいの時に僕も真ん中(主役)の先輩たちを見てきたからね。いい経験をさせてもらったよ。央士もこれから、皆が期待している以上のものを背負わなきゃいけない。今は半分くらいしか感じられてないだろうけど、だからこそ今はすごくいい時期だなと思うんです。そんな時に共演するにあたって、自分は央士に何を伝えることができるのか。そこが課題でした。まず素直に心を開かせたかったんです。そうなることで、せりふを超えた関係性が映ってくると思っていましたから。そういう意味では、そこにカレーがあるのもすごく良かったんですよ。お互いに素直に『おいしいね』って言える喜びが距離を近づけてくれますからね」

――風来坊の陽一郎と内気な大学生の二汰。今も、ドラマの2人そのままって感じがします。

満島「そう感じてもらえるのは、すごくうれしいです。自分とすごく重なる部分があって、これまでの人生を投影したり、さらに広げられる役だと思ってました。僕は血がミックスしてるので、小さい頃から『どこから来たかわからない』とも言われてきました。この役だったら、自分がただ立っているだけでも陽一郎の持つ謎めいた世界が見せられるかもしれないと思っていたんです。最重要だったのは、そんなつかみどころのない主人公とどういうバディを作るかでした。2人の空気感がハマれば、あとは現場でどういうふうになっても、作品に奥行きが出ていくんじゃないか、と。オーディションで央士が来たときに『こいつだ』と思って、芝居のことだけじゃなくて、どこ出身で何が好きなのか？　と本人を探りまくってました」

――それを聞いて、鈴鹿さんはどう思いましたか？

鈴鹿「えっ、なんですか？」

満島「自分の番じゃないと思って、ちゃんと聞いていなかったろ(笑)。現場でも、こんな感じだったんですよね。こいつ何も考えてないなと(笑)。でも、それがいいところなんですよ」

――陽一郎役は、満島さんの個性がにじみ出ている。どこか寅さんを思わせましたね。

満島「それは制作側の狙いだったかもしれないですね。自分にもそんな空気はあるとは思っていました。僕自身も、よく旅をしていたし、出会いと別れに対しても陽一郎のようにあまり根に持たないですし、その瞬間瞬間の思いだけを大切に生きていくところがあるんです」