「天心VS皇治」は格闘界の数少ない“キラーカード”…「半沢直樹」の真裏で火花

激闘の後で笑顔を見せる那須川天心【写真:“Show”大谷泰顕】
激闘の後で笑顔を見せる那須川天心【写真:“Show”大谷泰顕】

天心から「強さ」よりも「上手さ」を感じた

 そして、極め付きは以下の発言である。

「それはやってみな分からんですし、相性とかもあるんですけど、自分がここでハッキリ言えるのは、(K-1の)武尊のほうが強いですよ。だから(天心と武尊が)やったら面白いんじゃないですかね」

 天心VS武尊の件は本題から外れるのでこれ以上は触れるつもりはないが、天心と皇治は、試合終了後に時間差でインタビュールームにやってきた。その際、天心の会見終了後に入れ違いで皇治が部屋に入ったため、通路ですれ違うことに。

 その際にも何か言葉を交わしていたが、天心が22歳で皇治が31歳であることを考えると、もしかしたら皇治の思いが届くのはもう少し天心がキャリアを重ねた後なのではないか。そんなことがふと頭をよぎった。

 また、特にRIZINの場合、初参戦でそれなりのインパクトを残すのは至難の技。それが堀口恭司であれ、浜崎朱加であれ、RIZINでは衝撃のパフォーマンスを発揮したとは言い難かった。そう考えれば皇治の次戦では、これ以上ないインパクトを残すことを期待してやまない。

 天心の圧勝を讃えながら、皇治を「見直した」とコメントしたのが、RIZINの榊原信行CEOである。

「判定で言えば圧勝だと思うけど、それがそのまま客の評価ではないよね。皇治はホント株が上がったと思う。天心は強いなと思ったけど、こいつは次元が違うとか化け物だとは思わなかった。化け物じゃないのかも、ってそう思わせちゃったかもしれない」

「競技としてはフルマークだけど、1ラウンドの最初のところは、これ、終わっちゃうかなっていう雰囲気はあったよね。だけど、天心も大変なんだよ、期待をされている分ね」

 RIZINでの天心の試合だけを振り返ると、判定まで至った試合は、堀口恭司戦(2018年9月30日、さいたまスーパーアリーナ)以来、2年ぶり。つまり、天心は2年間、ゴールデンタイムでKOを見せ続けてきたことになる。

 ただ、地上波のテレビ中継で格闘技を放送する場合、試合時間が長くなればなるほど、視聴者が高くなるという見方もある。そう考えると、生中継され、判定までもつれ込んだ天心VS皇治は、RIZINとテレビ局にとっては好都合だったことになる。

 しかしながら、そうは問屋が下ろさないのが今回のRIZINである。なぜなら冒頭に書いた通り、今回のRIZINは裏番組に「半沢直樹」の最終回が控えていたからだ。

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