【オヤジの仕事】正統派二枚目俳優・村上弘明は4人の子だくさん 子育てへの強い思いと心残り語る

子どもには絶対に手を上げないと心に決めていた【写真:荒川祐史】
子どもには絶対に手を上げないと心に決めていた【写真:荒川祐史】

子どもに対して、どんな時でも手を上げない

 僕は岩手県陸前高田市広田町で生まれました。広田半島にある漁師町です。半農半漁ですが、漁業のウエートが高いところです。オヤジは若い頃船に乗っていたこともあったようです。家業としては自転車屋をやっていたのですが、漁業組合に入って、わかめ養殖をやるようになり、僕も手伝わされました。

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 海の仕事は大体早い時間に終わる。で、仕事が終わると夕方頃から仕事仲間がうちに集まってきて、夕飯時には7、8人になり、酒の臭いとタバコの煙がリビングに充満していました。子どもにとっては非常に環境が良くない。僕は自分の部屋にいて、時々はその大人の中に入ったりしましたけれど、おふくろに言わせると、オヤジを含め、みんな「荒くれ者」。おふくろの言う荒くれ者というのは、あの世代の人の多くがそうだったのでしょうけれど、一言でいうと、男尊女卑。そんな時代でした。僕もそういう中で育ってきた。

 しかし、おふくろは「それは違う」と考えていました。ですから、僕に「しっかりした教育を受けないと、あんなふうになっちゃうよ」と言っていた。「ここに住んで漁業をやるのか、あるいはしっかり勉強してまっとうな仕事に就くのか、選択するのはあなた自身だからね」と子どものうちからずっと言われ続けてきました。

 そういう意味で、オヤジというのは僕が子どもを育てる上での反面教師です。僕にもそうでしたけれども、オヤジは手を上げることもありました。ですから、僕は子どもに対してはどんな時でも絶対に手を上げないと心に決めて子育てをしてきました。また、自分がしてほしくないことは人にもしてはならない、人に迷惑をかけるようなことだけはしてはならない、子どもたちにはそういう教え方をしました。

物心つく前から英語の学校に通わせる

 子どもには習い事や塾など、本人が興味を示すものには通わせました。僕は田舎育ちでそういうことができる環境になかったので、教育に関しては惜しみなく投資しました。特に英語。4人とも物心つく前から英語の学校に通わせました。これは妻の考えです。

 妻は長崎県佐世保市出身で、米軍基地があり、街でも英語が飛び交う。そういうところで育ち、大きくなっても同級生に基地で働いている人がいたり、留学する人がいたりして、妻もできれば留学したかったようです。だから子どもにも留学させたいという気持ちがあったのでしょう。

 日本語を使ってはいけない学校で、先生はみんな外国人。朝行って夕方帰ってくる。日本語を話す機会は家に帰ってからだけ。確かにネーティブな英語は身についたと思いますが、逆に日本語が心配でした。実際、小学校は日本の小学校に通って、最初は国語がちょっとついていけないという事が、息子たちにはありましたね。それと、英語と同じようにピアノも全員にやらせました。でも、こちらはものの見事に小学校のうちに4人ともやめちゃいました(笑)。

(後編へ続く)

□村上弘明(むらかみ・ひろあき)1956年12月22日、岩手県陸前高田市生まれ。法政大学法学部政治学科在学中の79年、「仮面ライダー(スカイライダー)」(TBS系)の主役で本格デビュー。85年から“必殺シリーズ”「必殺仕事人」(テレビ朝日系)にレギュラー出演。「炎立つ」「元禄繚乱」などのNHK大河ドラマ、「腕におぼえあり」「柳生十兵衛七番勝負」(NHK)、「八丁堀の七人」(テレビ朝日系)などの時代劇や刑事ものなどの現代劇で活躍。映画「極道の妻たちII」(東映)では日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。10月9日スタートのテレビ朝日開局60周年記念 連続ドラマ「24 JAPAN」(テレビ朝日系)にレギュラー出演している。

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