元K-1ファイター・角田信朗が格闘界に提言「どこを目指しているの?」

変化が必要な格闘界 ラグビーに学ぶこと

――そんな角田さんが、今の格闘技界に対して思うことはありますか?

角田 うーん……。世の中のコンプライアンスとか、いろんなものが厳しくなってきて、その中で相変わらずタトゥーを入れた選手がリングに上がってきてボコり合いをしてるわけですよ。僕が思うのはね、どこを目指しているの? っていう話なんですよ。例えば格闘技がメジャースポーツを目指すとしたら、僕は競技人口だと思っているから、いかに競技人口を増やすかなんですけど、僕の思っているメジャースポーツの定義があるんですね。

――メジャースポーツの定義?

角田 ええ。僕の定義は、親が見た時に、子どもにやらせたいかどうかなんですよ。だからタトゥーを入れて、倒れた相手の上に馬乗りになってボコったり、相手のことを罵りあったり、記者会見で乱闘騒ぎになったりとか。相変わらずそんなことで話題を作ってたら、それはひと昔前と何も変わってないわけでね。今さらそんなことをやったって、卓球、サッカー、テニス、ゴルフ、ラグビー……、そういったジャンルに勝てないですよ。

――格闘界も進化する必要があると。

角田 ええ。僕らの時代はまだ、ファンの方の目も肥えていなくて、何をやっても許される時代だったでしょ? 今はファンの方々の学習能力って半端なく早いから。何がいい試合、ダメな試合、いい選手、悪い選手をパパパパーッと値踏みにかけちゃうから。そこを分かっている選手だけが人気が出たし、お金も稼げたけど、そうじゃない選手は煮湯を飲まされていた感じがしますよね。

――なるほど。

角田 だから、格闘技はどこを目指しているの? っていう話ですよね。そこを目指してないんだったらいいんですよ。ごっちゃごっちゃにしたらいいんちゃいますか? って。中途半端にやらずにとことん徹すればいいし。その辺りの見え方が、今の格闘技はメチャクチャ中途半端だなと思いますね。要はテーマはなんなの? って、そこが知りたいですね。夢よもう一度じゃないと、僕は思いますよ。あんなこと目指していたって、2度とできないですよ(キッパリ)。

――ハードルは決して低くないでしょうね。

角田 ラグビーがあれだけ盛り上がったのだって、みんなの力をつないで最後にって。みんなが体を犠牲にして、つないでつないで、頼む、あと行ってくれーって。そこじゃないですか。でも、そこには日本のスポーツ界が否定してきた、フィジカル能力を上げるために、ウエイトトレーニングを、1日に4回とかやっていますからね。オールジャパンの選手たちは。

――1日に4回も!!

角田 だからそれだけウエイトトレーニングをやるなんて、常識で考えられないことを、ずーっと年間、3分の2くらいはキャンプを張ってやってきたわけでしょ? だからこそ世界の列強と互角以上に闘えたというね。ガンガンぶつかり合って。その姿に感動するわけじゃないですか。

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