プロレス界に異色の“ヴィーガン”戦士 ハヤブサに憧れてデビュー

「イギリスからのプロレス留学生」ドリュー・パーカーは2012年、14歳の時に、母国のイギリス・ウェールズでレスラーデビュー。19年に初来日し、日本のデスマッチにはまってしまった。

ヴィーガンのドリューだが、体はしっかりと仕上げている【写真:柴田惣一】
ヴィーガンのドリューだが、体はしっかりと仕上げている【写真:柴田惣一】

卵や乳製品も口にしない

「イギリスからのプロレス留学生」ドリュー・パーカーは2012年、14歳の時に、母国のイギリス・ウェールズでレスラーデビュー。19年に初来日し、日本のデスマッチにはまってしまった。

 20年4月には、大日本プロレスに正式所属。大日プロの合宿所で若手選手たちと共同生活を送りながら、デスマッチ修行に励んでいる。

 日本語もかなり話せるようになり、日常生活には困らないが、食事だけは苦労している。バターとポテトがないとダメ、ちゃんこは苦手……ではなくドリューはヴィーガンなのだ。

 菜食主義者(ベジタリアン)は、動物性食品を食べないが、ヴィーガンは、動物製品を使ったものも避ける。肉、魚はもちろん卵や乳製品も口にしない。下ごしらえや調味料にも動物由来のモノは、使えないのだ。

 出汁文化の日本料理で、一体、何を食べているのか、心配になってしまうが「醤油とゴマは大丈夫だから」とニッコリ。豆腐、納豆、ブロッコリー、米が大好物。

 となると、体作りも大変だろうが、ヴィーガンの誓いは固い。4年前、18歳の時に動物映画を見て、動物愛に目覚めてしまった。動物を愛するあまり、口にすることができなくなってしまったのだ。

「腹いっぱい食べろ、とことん飲め」の世界で、さぞや苦労も、と思いきや、アルコールは大丈夫。ヴィーガンビールもある上に、日本酒、ウイスキー、ワインなど、いける口だ。大日戦士たちとも、仲良くやっている。

 プロレスが趣味だが「13日の金曜日」などホラー映画も大好き。音楽もパンクロックが好みと、食生活を除けば、22歳の若者そのものだ。

“不死鳥”ハヤブサに憧れて

 アブドーラ・小林率いる小林軍団の一員として、デスマッチ王の座を目指して戦う日々。デスマッチファイターの勲章である体のキズも、少しずつ増えている。「レスラーになったころは、ハヤブサさんがアイドルだった。今は小林さん、宮本裕向さん、竹田誠志さんが目標です」と、流ちょうな日本語が冴えわたる。

 9月7日には、DDTの後楽園ホール大会に乗り込み、ユニバーサル王者クリス・ブルックスに挑戦する。「同じイギリスからのプロレス留学生で親友だけど、リング上は別」とキッパリ。通算成績では分が悪いが「彼には1勝しかしてないけど、デスマッチでは僕が勝った。今度はノーDQマッチ。反則なしだから、僕の土俵です」と英国対決にも自信をほのめかす。

「クリスはDDT所属。僕は大日本所属。良くしてくれるみんなのためにも負けられない」と、大日魂も燃やしているドリューは「もっと強くなりたい。もっとデスマッチもたくさんしたい。そして日本語。日本語はとても難しい。でももっとうまくなりたい」と、リング上とは打って変わって、かわいらしい瞳をクリクリさせる。

「日本のガールフレンドはいないの? その国の言葉を覚えるのはピロートークが一番と言うけど」と振ってみたところ「そうね! そう言いますね。でも……フフフッ」と照れ笑い。恥ずかしがり屋で純粋な青年という一面も垣間見えた。

 異色のヴィーガン英国戦士が日本ではばたく。その言動から目が離せない。

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