ジャルジャル後藤淳平、俳優業で「別人に」お笑いとは異なる魅力語る
慣れないダンスに苦戦、監督からは「大丈夫ではないから」の一言
「下積み生活は自分と重なりますので。結果が出ない中、もがく感じは駆け出し芸人そのもの。僕らもオーディションになかなか受からない中、どうしたらええねん、みたいな。ずっと、もがいていたので。その当時の気持ちと監督の気持ちはすごく似ているんです。自分の過去を思い出しながら演じました。力を入れて芝居したというのはなくて、素に近いというか、ほぼ僕。昔の気持ちを思い出しながら演じました」
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ここまで聞いていると、苦労なく、楽しく演じたようだが、あえて苦労した場面をたずねると、すぐに劇中のダンスシーンを挙げた。
「僕は大変でした。みんなうまいから、見劣りするんじゃないかと。僕としては何とか食らいついてやってはいましたが、撮影の合間に監督に大丈夫でしょうかと確認すると、監督は『大丈夫ではないから』。ああ、やっぱり大丈夫じゃなかったんだ」
当時を思い出して苦笑いだが、監督からは「顔で踊ってくれたらいい。表情さえしっかりしてくれたらいい」と言われて演じたという。出来上がったダンスシーンを見た後藤は、顔のアップになっていたり、脚の動きもうまく編集されていたと笑った。それでもダンスは上手に見えた。
後藤は「ダンスの先生が根気強く教えてくれました。みんなでやるレッスンが数時間ありましたが、それにプラスして僕だけ1人のために数時間、特訓しました。何とか人に見てもらえるレベルにはなったかなと思います」
影の努力をひけらかすことなく、控えめ。言葉の端々から誠実さも伝わる。主人公と同様、下積み時代を必死に耐え、花咲く日を夢見て努力を続けてきた苦労が、今の後藤という人間を形成したのかもしれない。そんな後藤に、この作品で伝えたかったメッセージをたずねると、後藤らしい言葉が返ってきた。
「まだ、何者でもない若者がもがいて、あがく姿は美しいなという部分」
もがいている時代の自分に、もし、今の後藤が声をかけるならと聞くと、スッキリした表情できっぱりと語った。
「迷わないでいいぞ。そのまま行ったらいいから、と言ってあげたいです」