大阪城ホールで5000人集客のライブイベント 観客のマナーの良さが光り無事開催

「Osaka Music DAYS!!! THE LIVE in 大阪城ホール」に登場したサンボマスター【撮影:日吉“JP”純平、Yukihide“JON...” Takimoto】
「Osaka Music DAYS!!! THE LIVE in 大阪城ホール」に登場したサンボマスター【撮影:日吉“JP”純平、Yukihide“JON…” Takimoto】

サンボマスターは力いっぱい叫ぶ「負けないでくれ! 生きろ!」

 続く「打首獄門同好会」は、2月末にいち早く無観客の配信ライブを行って話題をさらったものの、観客の前での演奏は半年ぶり。8月8日というこの日の日付にちなんで、八十八ヶ所巡礼のお遍路さんの衣装で登場し、疫病退散を願って「88」から始めるというさすがのセンス。「筋肉マイフレンド」では運動不足ぎみの(と思われる)観客全員にその場でスクワットを強要するなど、特殊な状況を逆手に取ったユニークな楽しみ方を提案し、会場を大いに笑わせていた。そんな愉快なステージの締めは、自粛期間中に発表された最新曲の「明日の計画」。「いつになるかはわからないけど、必ずまたライブハウスで会いましょう」という大澤会長の言葉に、誰もが前向きな思いを抱いたはずだ。

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 この日のためにあるような曲「ロックンロール イズ ノットデッド」のタイトルコールから始まった「サンボマスター」は、代表曲を惜しみなくたたみかける豪華なセットリスト。「おまえの居場所、ライブハウスを忘れんなよ!」からの「忘れないで 忘れないで」、「コロナ禍でも、今日を最高のライブにできるか?」からの「できっこないを やらなくちゃ」といった具合に、一曲一曲に意味を持たせる山口の全身全霊の曲振りが胸を打つ。この日集まった観客やバンド仲間だけでなく、全国のライブハウスやライブ従事者、そして医療関係者にまで、「負けないでくれ! 生きろ!」と力いっぱいに叫んでステージを去った。

 トリを務めたのは、関西のロックシーンを牽引する「10-FEET」。この日の客席には、「10-FEET」が主催する「京都大作戦」のTシャツを着ている観客がひときわ多かった。「RIVER」に始まり、「その向こうへ」、そしてラストの「CHERRY BLOSSOM」まで、まさに太陽が丘の空を思い出さずにいられない選曲で、この夏最高の思い出をファンにプレゼントした。最後の曲ではドラムセットを180度反転させ、ステージ裏のスタンドにいる観客に向かって演奏するサービスも。「この状況でも、ライブを楽しもうとするおまえらの心意気に、俺はもうベロベロの酔っ払いや」というTAKUMAならではの表現で、ステージに立てる喜びを語っていた。

 どのバンドも、不慣れなルールに多少は戸惑いつつも、久しぶりに観客の前で演奏できる喜びを全身で噛み締め、そしてすべてのバンドが「次はライブハウスで会おう」という言葉を残していったのが印象的だった。

 何よりも光ったのは、集まった観客5000人のマナーの良さだ。声を出さず、自分の席から離れず。「10-FEET」の「CHERRY BLOSSOM」でも、普段なら恒例となっているタオルの投げ上げをしている客がほとんどいなかった。演奏中の楽しみ方だけでなく、転換時間のロビーやトイレの様子、入退場時の並び方を見ていても、全員がルールを守って動いていた。

 ロックが息を吹き返し、ようやくトンネルの出口が見えてきた。まさに関西の音楽業界全体が心を1つにして、ライブを愛してやまない5000人のロックファンとともに、踏み出した大きな1歩。これから何年か経ったとき、この1日が伝説となって語り継がれるかもしれない。

 9日は、阿部真央、瑛人、奥田民生、go!go!vanillas、Saucy Dog、スターダスト☆レビュー、マカロニえんぴつ、山内総一郎(フジファブリック)が出演している。

文=浅井博章(FM802 DJ)

次のページへ (3/3) 【写真】ソーシャルディスタンスを保った観客席の実際の様子
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