【プロレスこの一年 ♯3】小橋建太と佐々木健介 15年前の7月18日ドームに鳴り響いた衝撃の“200発超チョップ”

7月18日といえば、いまから15年前の2005年、プロレスリングNOAHが前年に引きつづき東京ドーム大会を開催した日でもある。

試合終了直後に互いを称えた小橋建太(左)、佐々木健介【Photographer:平工 幸雄】
試合終了直後に互いを称えた小橋建太(左)、佐々木健介【Photographer:平工 幸雄】

2005年プロレス大賞ベストバウト選出 小橋VS健介

 7月18日といえば、いまから15年前の2005年、プロレスリングNOAHが前年に引きつづき東京ドーム大会を開催した日でもある。

 外野席も開放した場内には6万2000人の大観衆が詰めかけた。お目当ては5年ぶりの対戦となる三沢光晴VS川田利明と、小橋建太VS佐々木健介の2大カード。とくに小橋VS健介は正真正銘の初一騎打ちとなるドリームマッチで、この試合は3か月前の4・24日本武道館で発表されて以来、前哨戦はおろか、公の場では一度も顔を合わせないまま決戦の日を迎えることとなった。

 なんのあおりもない状態で対峙したのは、“試合で語る”という男のプライド。それはこれまで接点のなかった2人の気持ちを盛り上げていくとともに、自然とファンの想像を駆り立てていく効果さえもたらした。

 そしてリングで向かい合えば、小橋と健介の“熱”が激しい火花を散らしまくった。しかも、プロレスではシンプルな技と言えるチョップがファンの想像力をはるかに上回る驚きの展開。しかも東京ドームという、正直プロレス観戦には不向きな大会場でのチョップの打ち合いである。

 下手をすれば単調な試合になりかねないスタイルながら、小橋も健介もすべてのチョップに魂を込めて放っていった。広大なスペースだからこそ、その威力を客席最後方にまで伝えようとしたのだろうか。5分間に及ぼうかというラリーをはじめ、ケサ斬りや大根斬り、マシンガン式、ローリング式など、手を変え品を変え相手の胸板にチョップを叩き込んでいく。その数はトータルで200発を超えた。と同時に、お互いの十八番技やここ一番の飛び技も繰り出していく。

 最後は豪腕ラリアットで小橋が劇的な勝利。勝ったのは小橋だが、壮絶すぎる超チョップ合戦に勝者も敗者もなかった。小橋と健介にしかできないプロレスは、プロレスのすごさ、すばらしさ、そして醍醐味を存分に伝えたのだ。もちろん、この試合はその年のプロレス大賞でベストバウトを獲得。「絶対王者」とも呼ばれていた小橋は3年連続の同賞受賞(VS秋山準=04年、VS三沢=03年)で、健介は前年度プロレス大賞MVP(05年は小島聡が受賞)、全日本のチャンピオンカーニバルを制覇した上でNOAHのリングに乗り込んできた。つまり、両者ともキャリア絶頂期での激突だったのである。

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