芸能界から会社員へ 33歳で人材紹介会社社員に転身した元グラビアアイドルのリアル

仕事は充実も結婚相手はまだ募集中【写真:山口比佐夫】
仕事は充実も結婚相手はまだ募集中【写真:山口比佐夫】

婚活にも破れて経済的自立を目指した

 デビューする前は地元で大学生をしていて、大学を出たら学校の先生になろうと思っていました。大学の友達がスカウトされ、その友達が私をスカウトマンに紹介してくれて、東京でオーディションを受けました。そうしたら、いきなり合格。「いけるじゃん、私!」って俄然やる気になって、どんな仕事がきても断らない覚悟で上京しました。当時の所持金は3000円(笑)。とにかく与えられた仕事を一生懸命やっていれば有名になれると信じて、ひたすらがんばっていました。

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 経済的には安定しませんでしたが、お仕事はグラビアも舞台もどれも楽しかったです。女同士の足の引っ張り合いやいやがらせはなかったし、セクハラとか枕営業を強要されたこともありませんでした。若いときにヌードになる仕事がきたことがあったらしいんですけど、私に知らせず事務所が断ったそうです。芸能生活も後半になると、「脱いで売れるならやってみれば良かったな」と思いましたけどね(笑)。

 30歳を過ぎると、アルバイト生活を続けるのはどうなのかな、と疑問に感じるようになりました。結婚してダンナさんの収入で生活して、やりたい芸能活動を少しずつ続けるのもいいかと思って、アイドルの肩書きを出してマッチングアプリに登録したりもしました。でも、うまくいきませんでしたね。それで、経済的に自立しないといけない、と思い就職活動を始めました。

芸能界で培ったスキルは会社員でも生かせる!

 去年11月、人材紹介サイト「芸人ネクスト」を運営し、元芸能人に特化した人材紹介サービスを展開している株式会社俺に就職しました。私は特に元アイドルや元女優の転職支援をしています。具体的には、元アイドルや元女優を雇いたいという企業を探す法人営業をしたり、キャリアアドバイザーとして、転職を考えているアイドルや女優に会ってお話をしたり、基本的なビジネスマナーやビジネススキルを身につけていただいたりしています。これまで20~30代の約10人の支援をし、5人が不動産会社や食品メーカーに就職しました。広報や人事、営業で力を発揮していますね。

 会社員の仕事も、当然ながらうまくいかないこともあります。でも、そんなときにどうすればいいか教えてくれる人がいるのが、とてもありがたいですね。芸能界ではほとんど誰にも相談せず、1人で考えながらやっていたので。SNSでマメに自分発信をするとか、現場では1人1人に挨拶をして仕事しやすい雰囲気を作るとか。気がついたら、初対面の人と話すのが苦ではなくなり、今、何を求められているのかを察するのが得意になりました。こういう芸能界で培ったスキルは、企業人として仕事をするときにもめちゃくちゃ生かせています。

 最初はまったく違う世界なので、“自分は何もできない”と思っていました。転職活動をするうち、そんなことはない、芸能界で培って生かせることがたくさんある、と気づきました。だから、今、アイドルや女優として行き詰まって転職を考えている人がいたら、自信をもって企業への就職を考えてほしいと思います。やりたいことが見つからない人もいると思いますけど、とにかくまず何か動いたら見える世界があります。経験からそう言えます。困ったり、悩んだりしたら、ぜひ相談してほしいですね。

就職したからこそできること、見えてくることがある

 就職して何が嬉しいって、ヒマじゃないことです(笑)。飲食店のアルバイトのときはともかく、映像編集のアルバイトをしているときは、芸能の仕事がないうえに案件がないとヒマなんです。お金がないから、レッスンに通うこともできませんしね。

 規則正しい生活を送れるようになったのも嬉しいですし、定期収入があるのも、本当にありがたいです。大学を中退して上京してきたので、親に迷惑をかけたぶん、少しずつ両親に仕送りを始めました。まだ5万円だけですけど。自分に対しては、部屋にドアがあるマンションに引っ越したい(笑)。今はワンルームなので。こんなことを考えられるのも、就職したからです。

 今思えば、芸能界のお仕事も「女優になる」とか目標を1つたててがんばれば結果は違ったのかな、と思います。あと、体重管理をしっかりやるべきでした(笑)。身長163センチでベスト体重は47キロなんですけど、油断するとすぐに55キロぐらいに増える。かわいい子が一杯いるなかで、太ってる場合じゃなかったですね。でも、芸能界に未練はないですよ。芸能界を辞めてすぐに転職支援というやりたいことが見つかって、ラッキーだと思っています。

□古崎瞳(ふるさき・ひとみ)1986年5月27日、広島県生まれ。地元でスカウトされ上京し2006年、自動車雑誌の携帯サイト「ケータイOPTION」クイーンに選ばれデビュー。2009年、「日テレジェニック2009」候補生に選ばれ注目された。2010年、ソロ初DVD「ひとみHeart」(トリコ)リリースし、「君が踊る、夏」で映画デビュー。2014~2015年は“汚部屋女子”としてバラエティ番組「解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)などに出演。2019年8月、引退。2019年11月、芸能人のセカンドキャリアを支援する株式会社俺に就職。

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