若い人と映画の未来を作りたかった―世界で活躍する永瀬正敏が学生映画に出る意味とは

「二人ノ世界」を1人でも多くの人に届けたいと熱弁した永瀬正敏【写真:山口比佐夫】
「二人ノ世界」を1人でも多くの人に届けたいと熱弁した永瀬正敏【写真:山口比佐夫】

学生たちは「立派な作品を作った。それは誇りに思ってもいい」

――コロナ禍の中、撮影再開も始まったようですね。

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「前からお話をもらっていたある企画の撮影に1日だけカメオ出演しましたが、撮影以外はフェイスガードをつけて対策をしていました。再開は体力のある組から、徐々に徐々に、という感じだと思います。インディペンデントでやっている人たちは本当に大変だと思います。それでも、いつでも再開できるように、自費でマスク、消毒液、フェイスガードなど必要となるものを買い集めておいて準備している監督もいます。どの組も映画を諦めてはいないですから。僕が出演する作品の撮影は9月から、だと思いますが、それも日程はまだ出ていないです。待つしかないですが、自分でも何かしたいなと思っています」

――コロナ禍で映画館も大変ですが、「二人ノ世界」を楽しみにしている方に最後に一言お願いします。

「本当に各映画館の皆さんは様々なジレンマを抱えつつやっていらして、言葉にできないほど大変な日々を送られていると思います。それでも映画を届けようと必死に映画館を開けていただいている。この作品もその思いに救われた作品のひとつです。宣伝費はほぼゼロみたいなものですから、本来であれば、僕も全ての劇場を回って直接お客さんに届けたいところですが、コロナ禍ではそうはいかない……。でも、できることは極力やりたいと思っています。というのも、『学生たちが一生懸命作って頑張ったでしょ』っていう作品ではなくて、彼らは本当にものすごくちゃんとした立派な作品を作った。それは誇りに思ってもいい。その作品を1人でも多くの方に観ていただければうれしいなと思っています。僕もそんな彼らと、またどこかの現場で会いたいです。これが接点になって、また一緒に作品を作れれば、と思っています」

(おわり)

□永瀬正敏(ながせ・まさとし)1966年7月15日生まれ、宮崎県出身。相米慎二監督「ションベン・ライダー」でデビュー。「ミステリー・トレイン」、「息子」など国内外の100本以上の作品に出演し、数々の賞を受賞。台湾映画「KANO~1931海の向こうの甲子園~」では、金馬映画祭で中華圏以外の俳優で主演男優賞に初めてノミネートされた。「あん」、「パターソン」、「光」ではカンヌ国際映画祭に3年連続で公式選出された初の日本人俳優となった。近年の主な出演作に「64-ロクヨン-前編/後編」、「Vision」、「パンク侍、斬られて候」、「赤い雪 Red Snow」、「ある船頭の話」、「カツベン!」などがある。また、写真家としても多数の個展を開き、20年以上のキャリアがある。2018年芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。今年は日本・イラン合作「ホテルニュームーン」(9月18日公開)、「さくら」(秋公開)などが控えている。

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