俳優の小出恵介（40）が自身初のファンクラブ「Keisuke Luncheon Klub ～Universal Axis～」を開設した。ファンとの交流だけではなく、海外進出を考えている人をサポートし、ノウハウを伝えることも考えている。アメリカ、日本の2拠点生活から、日本での活動を再開した小出が、その思いを語った。（取材・文＝平辻哲也）

　2020年に新事務所に移籍し、芸能活動を再開した小出。20年にはオフ・ブロードウェイで開催される主演ミュージカル『えんとつ町のプペル』が新型コロナの影響で延期になる中、一昨年冬からは東京に新たな拠点を構え、配信ドラマ『酒癖50』、主演映画『銀平町シネマブルース』、舞台出演など日本での活動を本格化させている。プライベートでは昨年1月にニューヨークで一般女性と結婚もした。

「向こうで結婚したことを報告したので、今もアメリカにいるイメージがついてしまいました。去年は米国を行ったり来たりしていましたが、今年1月に本格的に拠点を日本に移したのですが、それでも、伝わっていないようで、友達からも『今、東京にいるの？』と聞かれることが多いですね。だから、改めてお伝えした方がいいのかなと思いました」

　ファンクラブは2月に40歳の節目を迎えたことを機に開設した。プライベートな投稿、対面イベントや小出恵介プロデュースの完全オリジナルグッズ販売などを企画するほか、「Universal Axis」をテーマに、一味違う試みも行う。

　これからの時代に必要な、国を越えた（universal）視野に基づく個の軸（axis）を形成する環境を作るべく、自身の5年を超えたアメリカ生活での経験や知識をフルに還元しつつ、現在、アメリカのみならずあらゆる場所やジャンルで海外挑戦している人、これから考えている人を巻き込んでいきたいという。

「5年間以上の米国滞在では、ダンサー、シェフ、音楽アーティストなどいろんなジャンルの挑戦を見てきました。コミュニティー機能を使って、アメリカで培った経験などをお話することも考えています。例えば、俳優を目指している人、海外に行きたい人を巻き込んで、もっともっと奨励したいと思っています」

　リアルイベントを開催するほか、パーソナルな相談に乗ることも考えている。

「生活費がどれくらいかかるのか、ビザはどう取るのか。そういうことはなかなか分からないと思うんです。僕自身も苦労した部分もありました。情報共有をしたり、アドバイスするだけでも心強いと思います。そういうサービスも展開をしたいなと思っています」

　小出が新たな活動の場を求めて、ニューヨーク生活を始めたのは2018年10月。就労ビザを取り、語学学校で英語を学びながら、2019年1月からは演劇学校で学びながら、映画やCMのオーディションなどに挑戦した。

「僕はゼロベースで行ったので、苦労しました。でも、それが大抵の人のアベレージだと思うんです。いろんな洗礼は受けましたが、それが一番の自分の強みかなと思っています。最初のオーディションは昔のつてを使って、エージェントの方に紹介してもらいました。それから、ロサンゼルスの日本人のキャスティングディレクターを紹介していただいて、その方からオーディションの話をいただきました。今はいろんな方がSNSで情報を公開していますが、僕が間に入ることでつなぎやすくなるのかな、と思っています」

　昨今では、後輩の俳優から相談を受けることも少なくない。

「『実はアメリカで留学したいんだけど』とか『海外の演技レッスンを受けたくて』っていう相談を受けるようになったのは意外です。結構いい年で、キャリアもあるのに、そういうことを考えている人がいるんだと感じました」

　5月からは主演1本を含む舞台3本が控えているが、自身も機会があれば、海外でのオーディションに挑戦したいという。

□小出恵介（こいで・けいすけ）1984年2月20日、東京都出身。2005年、日本テレビ系ドラマ『ごくせん』でデビュー。映画『パッチギ!』（05）で注目され、その後数々の話題作に出演。18年10月より米ニューヨークに拠点を移し、20年より日本での芸能活動を再開。21年7月、ABEMA『酒癖50』で4年ぶりにドラマ復帰。23年2月には主演映画『銀平町シネマブルース』で本格的に映画復帰を果たす。今後は音楽劇『瀧廉太郎の友人、と知人とその他の諸々』（5月2日～4日、下北タウンホール）、「赤いハートと蒼い月」（5月17日～19日、キラリ★ふじみメインホール）、主演舞台「ジャックモーメント」（6月5日～9日、六行会ホール）、主演映画『愛のぬくもり』（7月公開）を控える。

ヘアメイク：永瀬多壱
スタイリスト：佐々木敦子