山本彩、4年ぶりのNHKホールでファイナル公演 初となるアジアツアーに意気込み「爪痕を残してこようと」

シンガー・ソングライターの山本彩が23日、東京・NHKホールで「Sayaka Yamamoto Hall Tour 2024 -RGB- supported by メメントモリ」のファイナル公演を迎えた。山本がNHKホールのステージに立つのは2020年の「山本彩 LIVE TOUR 2020 -α-」以来、4年ぶりとなった。

ステージで熱唱する山本彩【写真:(C)Manabu Numata】
ステージで熱唱する山本彩【写真:(C)Manabu Numata】

光の三原色“RGB”のように無限の表現力を魅せた

 シンガー・ソングライターの山本彩が23日、東京・NHKホールで「Sayaka Yamamoto Hall Tour 2024 -RGB- supported by メメントモリ」のファイナル公演を迎えた。山本がNHKホールのステージに立つのは2020年の「山本彩 LIVE TOUR 2020 -α-」以来、4年ぶりとなった。

 同ツアーは序盤のNHKホール以降の公演がコロナ禍の影響ですべて中止となってしまったため、声出しが可能になった万全の状態で挑む今回のライブには並々ならぬ強い思いがあったことは想像に難くない。客席を埋め尽くした多くのファンもまた、この日に向けた大きな期待を目に見えるほどの熱気として開演前の会場に充満させていた。

「何かをしようとすることもしんどかった」
「好きだったことも楽しめなかった」
「なんでやってんねやろ。もういいか、とか」
「とにかくこの気持ちから解放されたい」

 そんな自身の中に潜んでいた負の感情を吐露するオープニングVTRを経て、ライブは1曲目『劣等感』で幕を開けた。コロナ禍の最中に活動休止した21年から22年の自身の状態をあらためてなぞるような冒頭の流れは、その場所からしっかりと脱したこと、そしてネガティブなことさえも音楽として表現できるようになった強さをあらためてオーディエンスに提示するものだった。

 力強くアコギをかき鳴らしながら自身の“劣等感”を高らかに響かせる山本の歌声は、一抹の不安も感じさせない決意に満ち溢れ、NHKホールの空間を支配していく。その勢いのまま「東京行くぞ!」のあおりに歓声が激しく鳴り響く中、『TRUE BLUE』『Are you ready?』とパワフルなロックナンバーを連発し、テンションを無尽蔵に高めていく。

 山本は「NHKホールは“αツアー”ぶりなんで、また帰ってこられてライブができることがすごくうれしいですし、本日はソールドアウトということで、本当にありがとうございます。今日はここを世界で一番熱い場所にしましょう!」と叫んだ。

 小名川高弘(Key,G)、草刈浩司(G)、奥野翔太(B)、SATOKO(Dr)、Ayasa(Vn)、asami(Cho)という山本のライブを支えるバンド“チームSY”の面々が生み出す圧巻の演奏をバックに、『棘』では赤いレーザーが飛び交う照明演出と山本の歌声がクールな世界観をより深みをもって伝えていく。Ayasaによるバイオリンの調べからスタートした『unreachable』ではハンドマイクを使って切ない感情を表現力豊かに届けていった。

 4人のダンサーとともに卓越したダンススキルをアピールするインストパートに導かれるように、次のゾーンでは“踊る山本彩”がステージを彩っていく。この2月からスタートした3か月連続配信リリースの第1弾楽曲となるダンスチューン『Nocturnal』では、自身が手がけた、シンデレラをモチーフとするような歌詞をしなやかな歌とダンスで表現し尽くす。

 続く、ミディアムメロウな『feel the night』ではイスを使ったパフォーマンスでそこに込められたストーリーを繊細に披露していく。

 その後は、キャッチーなサビで観客がハンズアップした手が優しく揺れるピースフルな光景を生み出した『彼女になりたい』や、途中から客席に降りて歌うサプライズに大合唱が巻き起こった『Weeeekend☆』と、客席との距離を一気に縮める楽曲が続く。

 そして『ぼくはおもちゃ』ではライブ開催前にSNS上で公開されていた振り付けをその場にいる全員が一緒に楽しみ、最高の一体感を作り上げていった。

 ゲームをする山本が画面の中に吸い込まれていく映像に導かれて歌われたのは、人気RPG「メメントモリ」に登場する少女・ロザリーのために作られた『ラメント』。ストリングスのカルテットと共に披露されたその幻想的で壮大な世界観は、山本の表現力の豊かさをあらためて伝えてくれるものだった。

 さらに、「メメントモリ」との2度目のコラボとして書き下ろされたというできたてホヤホヤの新曲『残影』が初披露されるサプライズも。バンドマスターである小名川が手がけたというアレンジが、山本の新たな可能性を感じさせるふくよかで情感に満ちた歌声を引き出していたのが印象的だった。

 バンドメンバーとの和気あいあいとしたやり取りを交えたMCに続き、ストリングスカルテットと山本の弾くアコギのみで歌われたのは『愛なんていらない』。シンプルで美しい音像の中で響く繊細で柔らかな歌声に観客たちは息を呑んで聴き入る。続く『夢の声』ではカルテットの演奏だけで歌われた後、2コーラス目からはチームSYが加わり、広がりのある世界が表現されていった。

「まだまだ行けますかー!」という一言をきっかけにライブは後半戦に突入。観客のジャンプでフロアが大きく揺れた『Bring it on』、『逆風蹴散らして』という強いフレーズが聴き手の心を揺さぶるファイトソング『against』、爽快なサウンドに合わせてタオルが大きな風を巻き起こした『Let’s go Crazy』を連投。

 そして「ラストは公式の乾杯をしましょうか。愛を込めて」という一言に続き、本編ラストソングとなる『ドラマチックに乾杯』へ。ステージ上のミラーボールが拡散する無数の光の粒が降り注ぐ中、メランコリックな心情を笑い飛ばして生きる決意を高らかに歌い、多幸感に満ちたエンディングを迎えた。

 アンコールでは、4月4日から放送されるテレビアニメ『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?』のエンディングテーマであり、3か月連続配信リリース第2弾として、27日に発表される新曲『ブルースター』を一足先に届ける。

 山本は、4月7日からスタートのテレビ東京系テレビアニメ『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』のエンディング主題歌、5月&6月にはソロ活動後、初となるアジアツアーも控えている。「世界に飛んで山本彩の爪痕を残してこようと思います! “シンカリオン”だけに進化し続けていこうと思うので、これからもついて来てくれたらうれしいです!」と呼びかけた。

 オーラスは『レインボーローズ』を、ファンへの感謝と愛情を込めてプレイ。両手を広げ、客席に向けて放たれた「君に笑っていて欲しいから 僕は歌おう」というフレーズを、その場にいるすべてのファンたちが大切に受け取る。

 最後は、ステージ上に並んだメンバー全員が繋いだ手をあげてからお辞儀。山本の「最高の時間をありがとうございました!」という感謝の言葉を合図に、ツアーは大団円を迎えた。

次のページへ (2/2) 【写真】山本彩が開催したファイナル公演の様子
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