『ブギウギ』でリリー白川を演じた清水くるみ Hey!Say!JUMP高木は頼りになる人「何でも話してくれる」

NHK連続テレビ小説『ブギウギ』でチャーミングなレビューガールを演じた俳優の清水くるみが、3月10日から上演の2人芝居『東京輪舞(トウキョウロンド)』(東京・PARCO劇場)に出演する。国民的な番組で知名度を上げた29歳が、俳優としての抱負やエンタメ愛を冗舌に語った。

インタビューに応じた清水くるみ【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じた清水くるみ【写真:ENCOUNT編集部】

二人芝居『東京輪舞(トウキョウロンド)』で共演

 NHK連続テレビ小説『ブギウギ』でチャーミングなレビューガールを演じた俳優の清水くるみが、3月10日から上演の2人芝居『東京輪舞(トウキョウロンド)』(東京・PARCO劇場)に出演する。国民的な番組で知名度を上げた29歳が、俳優としての抱負やエンタメ愛を冗舌に語った。(取材・文=大宮高史)

 清水は愛知・大府市出身。今年1月には市の広報大使に選ばれたばかりだ。

「広報大使として大府での初めてのイベントが、思ったよりたくさんの方が集まってくださいました。友達も大勢来てくれましたし、ニコニコしながら私のトークを聴いていただけました。おじいちゃん、おばあちゃんの皆さんにも楽しんでもらえて、『朝ドラの影響ってすごいんだ』と実感しています」

 2007年に13歳で芸能界デビューした。以来、ドラマ、映画、舞台とジャンルを問わず出演を続けてきた。『ブギウギ』には、主人公・スズ子(趣里)の親友、梅丸少女歌劇団員・リリー白川役で出演。清水は子どもの頃から快活なリリーさながらの、気さくで大胆なキャラクターだった。

「幼稚園に行く時、親と別れるのが寂しくて泣いてしまう子もいると思いますが、私はまったく逆で、ルンルン気分で園のバスに乗っていく子でした。迷子になっても泣かないで、迎えに来た母に逆に『どこに行ってたの?』と怒ったり(笑)。公園で初めて会った子とその日のうちに友達になったり、幼い頃から怖いもの知らずでした」

 子どもの頃の憧れは「ヒーローショーの司会をするお姉さん」だった。

「ステージに立って何かをする大人が好きでした。生徒会長もやってみたりと、注目されることが全く苦ではなくて。13歳でオーディションに合格した時も、そういったキラキラした世界への憧れの気持ちを持って上京しました」

 舞台『東京輪舞』は、ミュージカル『ロミオとジュリエット』(13年版)のジュリエット役などで舞台経験豊富な清水にとっても初めての二人芝居。Hey!Say!JUMPの高木雄也と、東京に生きる男女の情事をオムニバス形式で演じる。

「私は1人6役を演じます。セリフの量が尋常ではありませんし、舞台には高木さんと2人きりなので、逃げ場がないというか、ごまかしがきかない舞台劇です」

 そんな同作は、19世紀末のウィーンで生まれた原作を現代の東京を舞台に翻案。高木と2人で多様な愛の形の表現に挑む。

「かわいくて小悪魔のような女性を演じる機会はありましたが、今回は魔性の色気を見せる場面もあって、過去最大級の大人っぽいセクシーさを見せないといけません。身近にいる色っぽい人を想像したり、多くの作品を研究しています。1話ごとに『愛』にまつわるそれぞれのテーマを持っていて、『これを伝えるために何を強調して演じるか』など考えることも多いです。脚本を読むだけでも面白い作品ですが、その分、プレッシャーも大きいです」

 共演する高木のことは「おしゃべり大好きな私よりもフレンドリーな人です」と評し、「作品への考えも何でも話してくれるので、私の中のアイデアも引き出してくれます」と話すほど頼りにしている。

「舞台上の高木さんだけでなく、客席の女性をも誘惑してしまうような気品のある色気を舞台上でお見せしたいと思いながら、頑張っています。憧れられるような女性像を見せることが1つの到達点です。LGBTQなど『男女の1対1の愛』に縛られない人間関係が展開されていくので、私自身も人間観について勉強になる作品です」

俳優として息の長い活躍を目指す【写真:ENCOUNT編集部】
俳優として息の長い活躍を目指す【写真:ENCOUNT編集部】

目標は「とにかく息の長い役者になること」

 好きなエンタメは韓国ドラマで、魅力を語り出すと止まらない。

「ネットで配信中の作品を片っ端から見ています。『誘拐の日』や『私の夫と結婚して』など……ヒューマンドラマが特に好きです。主役だけでなく脇役の方にもしっかりスポットを当てて描いているのが韓国エンタメで、どのキャラクターも人物像が濃いので面白くなるんだなと思います」

 日本のドラマとの違いは、感情表現がストレートなところだという。

「ドラマでも、韓国の作品では怒りの場面になると髪のつかみ合いにまでなります。喜怒哀楽が豊かなところは舞台さながらですね。なので、ドラマの稽古中に(韓国ドラマを)見すぎると、影響されて私までオーバーな演技になってしまうので(笑)、気持ちを切り替えています」

 目標は「とにかく息の長い役者になること」と語り、そのために大きな役へのこだわりはない。

「主人公の友だちとか、脇にいる魅力的な人に興味があるので、そういった役で頼られる存在になれたらいいですね。もちろん、真ん中に立つ役も大歓迎です!(笑)」

「ずっと1人でしゃべっていられます」と言うほどトークに自信があり、「ラジオをやりたい」と熱弁した。

「『おすすめの韓国ドラマを教えて』と聞かれることも多くて、好きな作品を語ると皆『見たくなった』と言ってくれます。“布教”も得意なようなので、ラジオで時間をいただいてたくさん語りたいです」

 人懐っこく話し好きを自認する清水だが、「共演の役者さんと話すことってほとんどないんです。むしろ、『皆さんなんでそんなに会話することがあるんだろう』と思います」と話す。なぜだろうか。

「世間話はするんですが、俳優同士で演技の話をするのが何だか恥ずかしいんです。『役を作るにあたってのアイデアは自問自答して、葛藤や苦しみはすべて自分で消化したい』と思ってきました。そして、共演者にもそれぞれの演技論があると思うので、お互いの領域に踏み込まずにリスペクトしたいんだと思います。でも、『東京輪舞』は初めての二人芝居で、髙木さんが気さくな雰囲気を作ってくれるので、何でも1人で解決しようとしないで、疑問もどんどんぶつけていきたいです」

 役者としては「褒められると調子に乗ってしまうので、ダメ出しをしていただいた方が成長します」と言う。そして、役に入りきれない自分がいるとも分析している。

「演じながらも、どこか客観的な冷静な目線を保っているんです。劇場でもお客さんの表情をよく見て覚えていたり、『今日はあまり笑ってくれなかったな』と思ったら、毎公演客席の様子を録音して、その日の私のアクションと比較して分析してみたり。セリフが飛んでもパニックにならないで次のセリフが出てくるくらい、冷静ではいられます。逆に、我を忘れるほどの極限のパフォーマンスも1度は体験してみたいですね」

 10代で愛知県から東京の芸能界に飛び込んだが、寂しさよりも夢だった役者業ができる楽しさが勝って続けてこられた。

「父から『失敗しても命がなくなるわけじゃないから、人生は存分に楽しんだらいい』と言われて育ってきたおかげで、あまり緊張や不安を感じない性格になったようです。でも、同時に『こんなに色気のない娘はいない』とも言われてきたので(笑)、これからはそれを見返す気分で魅力的な女性の役もお見せしていきます」

 念願だった朝ドラ出演もかない、まさに追い風が吹いている。「二人芝居の次は一人芝居は」と聞くと、清水は謙虚に言った。

「二人芝居も初めてなので、まだまだです(笑)。まずは『東京輪舞』を完走して……映像作品ももちろん、ラジオのお仕事も待っています!(笑)」

 エンタメへの尽きない好奇心と強心臓ぶり。このまま“天職”の役者道を歩んでいく。

□清水くるみ(しみず・くるみ) 1994年7月16日、愛知県生まれ。上智大総合人間科学部社会学科卒。2007年に「アミューズ30周年全国オーディション」でグランプリを獲得し、芸能界デビュー。以降、ドラマ、映画、舞台で活動し、23年のテレビ東京系『親友は悪女』で連続ドラマ初主演。同年はNHK連続テレビ小説『ブギウギ』、TBS系『持続な能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』、ミュージカル『マリー・キュリー』、舞台『月とシネマ2023』などにも出演した。164センチ。血液型A。

※高木雄也の「高」の正式表記ははしごだか

【公演情報】
PARCO PRODUCE 2024『東京輪舞』 
出演:髙木雄也 清水くるみ
原作:アルトゥル・シュニッツラー
作:山本卓卓
演出・美術:杉原邦生
3月10日~28日 東京・PARCO劇場(渋谷PARCO 8F)
4月5日~6日 福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホール
4月12日~15日 大阪・森ノ宮ピロティホール
4月19日 広島・上野学園ホール

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